契約継続が一転…退団の巨人・陽岱鋼「移籍候補の意外な球団」
「赤っ恥の退団」
「巨人 来季構想大丈夫か」
スポーツ関連のメディアに、懐疑的な見出しが並ぶ。11月25日に巨人が自由契約にすると発表した、陽岱鋼(34)のことだ。5年契約が切れる今季。一時は来季も契約を結ぶ方針が伝えられたが一転、本人の「新たなステージに挑戦したい」という意思で退団が決まった。
「巨人は陽と、5年総額15億円といわれる破格の契約をしていました。しかし日本ハムからFA移籍した17年以降、100試合以上に出場したのは19年だけ。今季の出場はわずか7試合で、とても年間3億円の働きをしているとは言いがたい状態でした。要因はケガの多さにあります。巨人に入ってから太モモを痛めるなどケガが常態化している。日ハム時代は脚が自慢でしたが、現在は満足に走れる状態ではないんです。
陽の現状を考えれば、巨人が来季の契約を結ぼうとしていたこと自体、周囲が疑問に感じるのも当然です。ましてや陽のほうから、要請を断られるとは……。巨人が迷走していると受けとられるのは、仕方ないでしょう」(スポーツ紙担当記者)
制限を超える大幅減俸
だが、背景はそう単純ではないようだ。
「来季の契約延長は、巨人の陽に対する敬意ですよ。陽は小学生時代からナショナルチームに所属し日本でプレーする、台湾のスーパースターです。巨人戦は台湾でも放送されています。『英雄』陽は、台湾での巨人人気を支えていましたから。
ただ、戦力になっていなかったのも事実。巨人は来季の年俸として、あえて3000万円程度の大幅減俸を提示したといわれます。減額制限(40%)をはるかに超え、今季の10分の1ほどです。成績を考えれば妥当な金額だと思いますが、陽としてはプライドが許さない。陽側から退団を申し入れたのは、巨人にとっては『計算ずく』だったんですよ」(夕刊紙デスク)
陽は今後、メジャーでのプレーも視野に入れて移籍先を探す。
「ここ数年、日本で満足に働いていないのに、メジャーが獲得に動くとはとても思えません。マイナーですら厳しい。米国で可能性があるのは、独立リーグぐらいでしょう。しかし台湾のスターとしてプライドの高い陽が、環境の悪い独立リーグで20歳前後の若手にまじり、安い年俸で働くとも思えませんが……」(同前)
現実的なのは国内移籍だ。可能性があるのは、意外な球団だという。
「ソフトバンクです。陽は地元・福岡第一高校出身で、ドラフト時にはソフトバンク入りを希望していました。ホークスには兄の陽耀勳も過去に在籍していて、パイプもあります。
ソフトバンクとしても13年の首位打者・長谷川勇也の引退などで、外野手は補強ポイントの一つ。ケガから回復すれば、陽はまだ使えると考える可能性はあります。8年ぶりにBクラスと低迷したチームの起爆剤として、獲得に動くかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)
メジャーや日本にこだわらなければ、「英雄」を迎え入れる台湾の球団はあるだろう。母国なら、指導者として将来も約束される。孤高の陽は、どんな決断を下すのだろうか。
写真:時事通信社