斉藤和巳が特別解説 ソフトバンクを日本一に導いた「ワンプレー」

2018日本シリーズを振り返る

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第4戦5回2死、甲斐キャノンが安部の二盗を阻止。二塁まで1.8秒というメジャー級の強肩

日本シリーズで打ったヒットはわずかに2本で打率は.143。打点はゼロ。それでも、ソフトバンクの甲斐拓也(26)が日本シリーズMVPに輝いた理由は何なのか? 6連続盗塁阻止という日本シリーズ記録を樹立したから。それは確かにそうでしょう。ただ、僕は6連続という「数字」より、「刺し方」に価値があったと思います。第6戦の田中広輔(29)以外はすべて余裕でアウト。あれだけ簡単にアウトにされると、なかなかランナーを動かすことができなくなる。広島はエンドランさえも使えなくなったのです。

ソフトバンクと広島が激突した日本シリーズは、第2戦終了時点で広島の1勝1分け。両軍の実力は拮抗し、最後までもつれるかと思われた。だが、そこから4連勝でソフトバンクが快勝。勝敗を分けたワンプレーは何だったのか? ソフトバンクの元絶対的エースで沢村賞投手の斉藤和巳氏(40)は、「甲斐キャノンの破壊力」だと見ている。

第4戦の5回2死、安部友裕(29)が二盗を試みて悠々アウトになりました。これで4連続盗塁阻止となり、第5戦以降、広島の攻撃に迷いが見られるようになった。本来なら勝負をしにいっていい場面でランナーがスタートを切れなくなった。顕著だったのが第6戦です。2回1死一、三塁で打席に野間峻祥(たかよし)(25)を迎えた場面。野間の次はシーズン打率.177のキャッチャー・石原慶幸(39)、その後はピッチャーのジョンソン(34)でした。スクイズなのか、セーフティスクイズなのか、一塁ランナーを動かすのか。勝敗を左右する重要な局面でしたが、ここで広島は動けなかった。無策でした。

野間が倒れて2死一、三塁。ならば、一塁走者の安部がディレードスチールを仕掛け、一~二塁間で挟まれている間に三塁走者がホームへ突っ込む――という手を打つのかなと思いました。ここぞの場面で広島がよく使う作戦です。しかし、広島は動かない。

結局、2ストライクと追い込まれてから安部が漫然とスタートを切り、甲斐に刺されてチェンジとなりました。仮に安部の盗塁が成功していたとしても、打者は石原。しかもカウントは追い込まれている。無策で無謀な盗塁です。甲斐に刺され続けたことが尾を引き、チグハグな攻めになってしまった。4回に西田哲朗(27)のスクイズで先制したソフトバンクとは対照的でした。

盗塁阻止以外にも、ソフトバンクはホームでのクロスプレーで2度、走者を刺しています。一方の広島はピッチャーゴロをファンブルしたり、二遊間がお見合いしたり、ミスで失点した。

投手陣にも差がありました。武田翔太(25)、大竹耕太郎(23)という左右2枚の第2先発にアンダースローの高橋礼(23)など、駒を豊富に持っていたソフトバンクに対し、広島のブルペンは右のオーバースローばかり。左はフランスア(25)ひとりで、選択肢が限られていた。ソフトバンクが打ち勝ったイメージがありますが、守りの差がすごく大きかったと思います。

走れない、守れないとなると短期決戦で勝つのは難しい。広島の機動力野球を狂わせたのが甲斐であり、だからこそMVPを獲れたのだと思います。

Photo Gallary1

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