高校野球の歴史を変える「1年生スラッガービッグ3」の実力 | FRIDAYデジタル

高校野球の歴史を変える「1年生スラッガービッグ3」の実力

規格外の打力とパワーを持ち、左打ちの一塁手、体格まで似た3人、来春センバツに揃い踏み!

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花巻東・佐々木麟太郎

いやはや、なんともスケールの大きい1年生スラッガーが登場したものだ。それも、3人。そろってチームの主軸として同じ日にホームランを打ち、一塁を守る左打者というのも共通している。

佐々木麟太郎(花巻東・岩手)

佐倉侠四朗(九州国際大付・福岡)

真鍋慧(広陵・広島)

の3人だ。そのパワフルな打力だけでなく、彼らは体格も似ている。佐々木が183センチ117キロ、真鍋は189センチ89キロ、そして佐倉が183センチ106キロ。体格でも大学生並みの、文字通りの“ビッグ3”なのだ。

「骨折していても本塁打」花巻東・佐々木

大阪桐蔭の初優勝で幕を閉じた、第52回明治神宮野球大会・高校の部(全国10地区の秋季大会優勝校が集う大会)。“ビッグ3”の一番手で登場したのは、佐々木麟太郎だ。国学院久我山(東京)との開幕戦。三番として初回の打席に入ると、2球目を叩いた打球は弾丸ライナーで右翼席に飛び込んだ。これが早くも、高校通算48号。花巻東の先輩・大谷翔平は高校の3年間で56本塁打したが、それをはるかにしのぐ超ハイペースだ。

「たくさんの方に応援していただき、いい形で先制点を取れてよかったです。ただホームランというのは、そのときの状態を示す結果だと思っていて、あまり意識していません」

と本人はいたって謙虚だが、先の東北大会中に左すねを疲労骨折した「そのときの状態」での一打だから恐ろしい。威圧感あふれるスイングは中学時代、大谷の父・徹さんが監督を務める金ヶ崎シニア時代に築いたもの。佐々木が明かす。

「たまたま抽選で当たり(笑)、高橋由伸さんからリモートで指導を受ける機会があったんです。上からさばくようなバットの出し方を教わり、心がけています」

準決勝で広陵に9対10で敗れたチームの課題は投手力だが、佐々木は中学時代、最速137キロを投げるエースでもあった。現在でもたまに投球練習はしているというから、大谷先輩ばりの二刀流が見られるかもしれない。大会開幕前には、その大谷がア・リーグのMVPを獲得しており、

「翔平さんが活躍しているからこそ、自分たちもやらなきゃ、という思いが強いです」

と、令和の新怪物候補は自覚も十分だ。夏までの背番号17は、下級生時に大谷がつけていたのと同じなのだとか。

「西武・森友哉を彷彿させる」九国・佐倉

続いて、同じ日の第2試合に登場したのが、佐倉侠史朗。クラーク国際(北海道)を相手にした9回、ダメ押しのタイムリーを放った。重心を低くしてバットを高く構えるフォームは、西武・森友哉のようだ。九州大会4試合で43得点した強力打線は、1800グラムの超重量バットを振り込む日常から生まれたものだが、183センチ106キロの佐倉は、上級生が四苦八苦するその重さを軽々と扱う。そのパワーで、11月23日、大阪桐蔭との準決勝では2回に先制のホームラン。敗れはしたものの、

「2戦目までは長打力という持ち味を出せませんでしたが、そこは見せられた」

という高校通算8号だった。

九州国際大付・佐倉侠四朗

「驚異のスイングスピード150キロ」広陵・真鍋

同じ11月23日、花巻東と広陵の直接対決となった準決勝第1試合では、佐々木が大会第2号の3ランを記録し、真鍋慧も2回、右翼席に3ランを打ち込んだ。“ビッグ3”は同日にアーチをかけたことになる。

初戦でも3安打と大当たりしたこの1年生四番の真鍋。中井哲之監督によると、「見てきたなかで、スイングスピードは歴代ナンバーワン」で、入学当初からついたニックネームが“ボンズ”。メジャー歴代最多762本塁打のバリー・ボンズにあやかった。真鍋はいう。

「中学時代から、水の重みを利用したトレーニング器具などでパワーをつけ、スイングスピードは150キロくらいです」

スイングスピードの高校生平均は120キロ前後というから、これはべらぼうな数字だ。ホームランは10本目と、佐々木とは差があるが、「(一大会6本塁打の記録を達成した同校OBの)中村奨成(広島)のように大舞台に強くなれば」(中井監督)、ハイペースでの追撃があるかも。

広陵・真鍋慧

この真鍋、準優勝した広陵にあって神宮大会3試合で「15打数8安打6打点」。ベスト4・花巻東の佐々木は「10打数6安打でなんと9打点」、同じ4強の九州国際大付・佐倉は「9打数3安打2打点」。高打率を残した。そして繰り返すが、いずれも1年生だ。ある高校の監督が明かす。

「過去の神宮大会で、これだけ1年生が活躍するのはちょっと記憶にないですね。いまの2年生は、昨年のコロナ禍でチーム練習が制限されたり、試合が少なかったりしたでしょう。”高校野球”の経験という点では、今年入学した1年生は、通常の年ほど2年生との差がないのかもしれません」

さらに3人は、前述のとおり、体格でも大学生並みの、文字通りのビッグ3だ。その3人が、同じ日にそろってアーチをかけるのだから、スターに不可欠な“華も”ある。佐倉が「いまは全然向こうが上ですが、東の佐々木、西の佐倉といわれるようになりたい」と話すように、お互いに意識するのも無理はない。

ともあれ来春のセンバツでは、3人がそろい踏みすることが確実で、大いに盛り上がるはずだ。ちなみに……佐々木の麟太郎という名は、社会科教諭でもある父・佐々木洋監督が、勝海舟の幼名にちなんで命名したもの。高校球界の歴代最多本塁打は、早稲田実でやはり1年生から活躍した清宮幸太郎(日本ハム)の111本といわれる。江戸から明治へ歴史を大転換させた勝海舟のごとく、佐々木麟太郎が、そしてビッグ3が清宮の記録を、さらに高校野球史を大きく書き変えるかもしれない。

  • 取材・文楊順行PHOTO松橋隆樹(佐々木)、小池義弘(佐倉、真鍋)

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