「コント」で世界を目指す!ゾフィー上田が追いかける野望 | FRIDAYデジタル

「コント」で世界を目指す!ゾフィー上田が追いかける野望

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気付いたら終わってた今年の「キングオブコント」

キングオブコント決勝に2度進出した実力者で、腹話術人形“ふくちゃん”を操る芸人としてもお馴染みのゾフィー・上田航平。2019年からは事務所の垣根を超えたコントユニット「コント村」をスタートさせるなど、若手をけん引する存在としても知られている。

そんな彼は、今年のキングオブコントをどう見ていたのか。初参加となる2014年からの大会の変遷、若い世代のコントユニットが同時期に多発した理由、今思い描いている壮大なビジョンまで、上田の知るコント事情について幅広く語ってもらった。

(撮影:スギゾー。)

空気階段は、1本目のネタを見終わった後に「優勝だな」って

――今年のキングオブコントは残念ながら準々決勝で敗退。率直な心境をうかがえますか?

上田:今まで奇跡的にずっと準決勝までは行けてたから、ずっと落ち込んでましたね。相方が濃厚接触者になっちゃって、動画審査っていう形だったからライブ会場にも行ってないし。「ウケたのに」とか「ウケなかったからなぁ」っていうのもなくて、気付いたら終わってた感じなんですよ。 

今までは準決勝終わってから結果が出て、2、3週間で決勝じゃないですか。それが今回はヘコむ期間が長過ぎて、何とも言えない気分になりました。でも、テレビで決勝戦を見たらめちゃくちゃ面白くて、「あ、面白いは悔しさに勝るんだ」と思って。それから、やっぱあそこに立ちたいし、今後もコントを作ろうって前向きな気持ちになりました。

――決勝のファイナルには、男性ブランコ、ザ・マミィ、空気階段が残りました。この3組が残ったことについて何か感じたことはありますか?

上田:空気階段は、1本目のネタを見終わった後に「優勝だな」って思いましたね。ただ、誰が優勝しても不思議じゃないくらいみんな面白かった。やっぱり半分はタイミングが重要だと思うんですよね。みんな面白いのは確定してるわけで、あとは会場の空気、出順、審査員のコンディションとか、いろんなタイミングで優勝が決まる。 

ただ一つ言えるのは、あの大会って最初の1本目がすごい大事だと思うんですよ。そこで、「こいつ面白い」って印象がついて、「もう優勝させるから2本目頼むよ」っていう空気になるというか。フルスイングでみんな来てるから、どう考えても温存できない大会だと改めて思いました。 

準優勝したザ・マミィとは一緒にツーマンライブやったりする仲なんですけど、「卯月」っていうトリオ時代から酒井(貴士)くんの破壊力が半端じゃなかったんです。もう初見の一発目で虜になりましたね。だから、「台本が面白かったらめちゃくちゃ強い」っていうのはずっと思ってました。 

今回、松本(人志)さんを含め、錚々たる審査員の方たちが酒井くんを面白いと思って点数を入れたわけですよね。もちろん林田(洋平)が書く脚本あってのことですけど、そこにグッと来ました。親しいだけに「おい、優勝すんの!?」って焦りはありましたけど(笑)。

2人でどういう空気を醸し出せるのか

――大きな変化と言えば、大会の審査員が一新されたことです。歴代王者の審査でしたが、さまぁ~ず、バナナマンとの違いは感じましたか?

上田:今年審査員になった方々は、僕らに年齢的にも芸歴的にも近い。ちょっとおこがましいかもしれないですけど、去年の方々よりも僕らに近い目線で見られていたって気がするんですよ。ライブ、テレビを経た熟練の方々が審査するのと、今まさに戦ってる、もしくは戦って来たばかりの人たちが審査するのとでは、また違うんだろうなと感じました。 

すげぇ人って感覚的というか、あんまりロジックで考えてなかったりすると思うんですよ。もちろんご本人の中にはあるんでしょうけど、下の世代のほうがよりロジック寄りな気がします。キングオブコントが終わって、芸人それぞれがラジオやYouTubeとかで分析、意見、感想言うのって割と最近のことだと思うんですよ。しかも、見た人もそれを聴いてる。だから、より今年は「なるほどな」って思いながら見られた気もしますね。 

――決勝進出者の平均年齢もグッと若くなりました。今回の盛り上がりはその影響もあるんでしょうか?

上田:僕の感覚では、今まで面白いと言われてた最後のグループがバーンッて出て来た印象です。そいつどいつ、男性ブランコ、ジェラードンさん、蛙亭もそうだし。「いつも決勝行けなくて悔しい思いしてるよね」っていう人って例年は1、2組なんですけど、一気に5、6組が決勝に行ったっていう感じがしましたね。だから今年は、より濃い人たちが集まった大会になったんだと思います。

――前回と比べて、コントの見せ方にも変化があったように思います。

上田:“よりしっかり世界を作る”っていう人たちがたくさんいた感じがしますね。少し前は「新しいもの開発しました」ってシステムを見せて、それが当たればドーンッてハネる仕組みだった気がします。わかりやすいのがにゃんこスターで、ああいう仕組みが出て来ると、高い得点がついて注目も浴びましたよね。もちろん、その中でかまいたちさんが優勝してるからすごいんですけど。 

ここ最近はだんだんそれが落ち着いて来て、もっと世界観というか、2人でどういう空気を醸し出せるのかってところが大事になって来てる。本当にその人たちにしかできないコント、っていう感じがしました。とくにジェラードンさんなんかは、あの台本でやれって言われても絶対にできない(笑)。あのお三方だから5分間持つわけで、すごいなと思って見てましたね。

大会はパイの取り合い…「今年は蛙亭がそのパイを全部取った」

――2014年からキングオブコントにエントリーされていて、ほぼ準決勝まで進出されています。2010年代中盤と現在とで、コントの潮流に違いはありますか?

上田:僕が初めて準決勝に行った時は、赤坂BLITZ(2017年から呼称を「マイナビBLITZ赤坂」に変更。2020年9月にライブハウスとしての営業を終了)の舞台袖とかで全部見れたんですよ。そのうえで思うのは、「いかにエッジの効いたネタをやるか」って空気がちょっとあって。かもめんたるさんのネタを見て「なんて嫌な見方するんだろう」って興奮してましたから。きっとお客さんもそうだったと思いますし。 

ネタが面白いという前提で、プラス「一発角度のキツいことをやってやろう」っていうきらいというか。それこそ巨匠が新聞紙にパチンコ玉入れておっさん作ってるとか、鬼ヶ島さんの操られてる学生とか(笑)。『怪獣大戦争』みたいな感じがあったんです。 

でも、ちょっとずつハートフルな方向に動いていったじゃないですか。それって下の世代が優しくなったのも多少あるかもしれないけど、エッジの効いた芸人の揺り返しって感じがすごいするんですよね。新しいことをやるには、そっちに行く必要があったというか。ベタが支持された後に、ピリッとする芸風がウケたりするじゃないですか。その繰り返しで、今は広く楽しめる感じが多くなったんじゃないですかね。

――2018年にハナコが優勝していますが、そこから大会の傾向が変わった感じはしますか?

上田:その年だけ一瞬思ったんですよ。キングオブコントでハナコが優勝して、M-1グランプリで霜降り明星が優勝して、「うわっ、若い世代が駆け上がってく時代だ」みたいな空気になったじゃないですか。そんな矢先、次の年にどぶろっくさん、ミルクボーイさんが優勝ですよね(笑)。だから、やっぱり関係ないっていう。どの時代でも面白かったら評価されるってことだと思います。 

お笑いって基本は裏切りで、みんなが予想してないことが起きて笑うわけじゃないですか。それって大会全体もそうだと思うんですよね。若い人が出て来たっていうフリでおじさんが優勝したし、今度は「ついに来た! おじさん世代」みたいなフリで若いヤツが勝つっていう。 

僕は、あの大会そのものが“パイの取り合い”だと思ってて。たとえば最初に音楽を多用する人がいて、次も同じような人が出たら印象も弱くなるし、照明が暗転するネタが続けば、同じ構造だから新鮮には見えにくい。今年は蛙亭がそのパイを全部取ったんですよ。ビジュアルの面白さ、派手さもあって、音も使って、構成も面白い。「まず全部1回取りました」ってところから始まる映画みたいなもので「え、もうそんな展開になっていいの?」っていうぐらいの衝撃でしたね。 

――たしかに蛙亭からずっとフルスイングしている大会だった印象です。そのほか、今年の大会で変化したと感じる部分はありますか?

上田:漫才との差別化も、よりはっきりした気がしますね。ニューヨークさん、マヂカルラブリーさんは漫才でめちゃくちゃ面白いの見ちゃってるから、やっぱり同じ形式だとそっちがよぎっちゃう。それで、「コントじゃなくても」っていう評価になったのかなと思いますね。漫才師としての面白さがネックになったと感じました。 

じゃあ何がコントとして面白いのかって考えると、「常識人とは言い切れない」「指摘してるように見える人も結局ちょっとズレてる」ってことかなと。それをより際立たせたものが、コントの醍醐味ってことになるかもしれない。ただ、1人がツッコミに徹してくれると見やすいってネタもあるから難しいですけどね。今年の決勝メンバーは、「どっちの目線で見ればいいのかな」ってならなかったのがうまいなと思いました。

2019年ぐらいまでは、「絶対、コント番組なんかできない」って言われてた

――2019年に「第七世代」ブームが起きて、上田さんは「コント村」、関西では「関西コント保安協会」というコントユニットも結成されました。若い世代にこうした動きが出て来た要因は何だと思いますか?

上田:2019年ぐらいまでは、「絶対、コント番組なんかできない」ってすっごい言われたんです。けっこう上の先輩に相談しても、「不景気でお金ないからセットも組めない」とか「毎週新ネタとか無理だよ」とかって。でも、やりたいって言い続けてたら、特番のコント番組『お助け!コントット』とか『東京 BABY BOYS 9』(ともにテレビ朝日系)につながったんです。 

そのことで、「できんじゃん! やり方の問題じゃん」ってスタッフさんや芸人がなったと思うんですよね。その後、コント番組がめちゃくちゃ増えましたし。でも、そんなの言わなきゃわかんないんですよ。だって、『東京 BABY BOYS 9』にしても、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(前同)のディレクター・北野(貴章)さんから「上田くん、コント番組やろう」って言われたのがきっかけですから。 

あの番組を作ってる人にコントのイメージなかったから驚いて、「え、コント番組やりたいんですか?」って聞き返したんですよ。そしたら、「もちろんバラエティーも作りたいけど、コント番組もやりたい」と。そんなの口に出さなかったら絶対にわかんない(笑)。そういうのもあって、「周りに言ったほうが現実になる」とか「やりたいからやる」って流れになっていったんじゃないかなと思うんですよね。

――「コント村」以外のコントユニットが同時期に立ち上がったのは偶然ですか?

上田:偶然じゃないですかね。ただコント村をやり始めた時に、空気階段の(水川)かたまりくん、やさしいズのタイくんが「コント村に入れてもらえませんか?」って来たのはあります。そこで僕は「吉本にもコント好きはいっぱいいるはずだから。その人たちで1回合致して盛り上がって来たら、また団体同士でくっつけたほうが楽しいし、損もしないと思う」って言ったんです。 

僕はぜんぜんウェルカムだし、みんなも同じだと思う。けど、コント村って集団がどんどん増えちゃうと結果的にみんな損するんじゃないかって気がしたんですよね。「ここに入ってない人たちは認められてない」とか「あいつら群れて変なこと言ってる」って見えたら嫌だなと思って。 

そしたら2人が「コント犬」ってユニットをやり始めて。空気階段なんか優勝しちゃってね(笑)。やっぱ好きで一生懸命やった人が結果を残してる。関西コント保安協会のメンバーも決勝行ったりしてるし、後々一緒に何かやれたら面白いなとは思うんですけどね。

ガチでコントを英訳して…言葉が理解できたら、ぜんぜん国境ぶち抜ける

――上田さんをはじめ、今でもシティボーイズを支持する若手は多くいます。時代を経てコントは進化してると思いますか?

上田:進化してるかどうかはわからないですけど、今っていろんなものを見られるじゃないですか。それこそNetflixもありますし、もっと広くコントができるんじゃないかっていうはあります。 

今、僕オンラインで英会話を習ってて。世界各国の講師がいるから、しゃべれないなりに「あなたの国のコメディー事情はどんな感じですか?」みたいな話を投げかけてみたんですよ。そしたら、ケニアの人が「アフリカの中でも経済的に発展してる地域はコメディーがあるし、ちょっとそこまでじゃない地域はそんなにお笑いライブとかないんだよ」って言うんです。 

それって東京と地方の構図と同じじゃないですか。ちゃんと言葉が理解できたら、ぜんぜん国境ぶち抜けるなって思えて来たんですよ。日本人が抱く“世界で笑わせるイメージ”ってビジュアルの面白さ、動き、ものまねとかじゃないですか。でも、世界各国の人に話を聞くと、むしろ向こうが「日本ってベタなんだ」と思ってるっぽいんですよ。“海外向けの笑い”が、そのまま“日本人の笑い”だと受け取られてるんでしょうね。 

ある講師の人に紹介してもらったコント動画なんて、「さらば青春の光さんみたいなことやってんじゃん!」って思いましたから。めちゃくちゃ設定がよくて、意外とキャラコントやってなかったりするんです。だったらガチでコントを英訳して、言葉として面白いもので通用するんじゃないかなって。「この設定どう?」って言って「おもろい! じゃ展開はこうしたら?」ってチリの人とかに言われたら、めっちゃ興奮すると思うんですよね。

――壮大なビジョンで驚きましたが、ぜひ実現してほしいです!

上田:同い年ぐらいのコロンビアの子が、「僕はもうドラゴンボール世代だからねぇ」みたいなこと言ってるんですよ。アニメをやってるチャンネルがあって、ドラゴンボールをずっと見て来たと。そんな感じなら、面白いと思うものが被ってる可能性も高いじゃないですか。 

だから、まずは一緒にやってくれる人を募集したいですね。僕はいろんなメディアで言って、自発的に英語だけは勉強してるから、あとはとんでもない大金持ちが「じゃあロサンジェルスでライブやらないか?」って言ってくれるのを待ちます(笑)。 

今までアジアではそういう動きもあったんですけど、太平洋をまたいだ成功モデルがないんですよ。なかなかお会いする機会もないですけど、そのへんはゆりあんレトリィバァとか渡辺直美さんともちょっと話してみたい。これを読んだら連絡もらえると嬉しいです!

  • 取材・文鈴木旭

    フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中。http://s-akira.jp/

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