5300万円脱税で逮捕! 日大のドン「栄光と転落の半世紀」 | FRIDAYデジタル

5300万円脱税で逮捕! 日大のドン「栄光と転落の半世紀」

田中英壽理事長 青森の農家の三男として生まれ、日大相撲部で頭角を現し「アマ相撲界の大鵬」に。 戦後最大のフィクサーや六代目山口組組長とも交誼を結び、ついに司直の手に落ちた

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自宅から関係者にガードされて出勤する田中容疑者(’18年7月)。12月1日に理事長辞任の意向を示した

〝日大のドン〟がついに当局の網にかかった。11月29日、東京地検特捜部は日本大学理事長の田中英壽(ひでとし)容疑者(74)を所得税法違反の疑いで逮捕した。日大の取引業者から受け取った金銭などを申告せず、約5300万円を脱税したというものだ。特捜部はすでに日大附属板橋病院の建て替えをめぐる背任事件で、日大元理事の井ノ口忠男被告(64)と医療法人『錦秀会』前理事長の籔本雅巳被告(61)を逮捕、起訴している。全国紙記者が話す。

「特捜部は籔本被告が田中容疑者に6000万円を手渡したという供述を引き出していましたが、捜査は難航。理由のひとつは田中容疑者が普段ほとんど携帯電話を使っていないこと。通話記録やメールのやり取りなどからの捜査が困難を極め、長期化していました。しかし、籔本被告が側近に『銀行からおろしてください』と指示したLINEメッセージ、さらには籔本被告が引き出した紙幣の番号を調べ、その一部が田中容疑者宅にあった紙幣と一致するなど、地道に証拠を積み上げ、捜査を進めていました」

田中容疑者が日大に足を踏み入れてから半世紀あまり。いかにして〝ドン〟となり、転落したのか。

田中容疑者は1946年に青森県五所川原市で生まれた。農家の三男で、地元の公立高校を経て、’65年に日大に進学。同大の相撲部に所属すると、瞬(またた)く間に頭角を現した。卒業後も全日本選手権優勝3回など、34個のタイトルを獲得。「アマ相撲界の大鵬」と呼ばれた。

’83年に日大相撲部の監督に就任。3枚目写真は’95年に青森県にある合宿所で撮影されたもの。当時、監督だった田中容疑者が、相撲部員らとともに大浴場で汗を流しているところだ。

多くの関係者は田中容疑者のことを「人たらし」「話すと気さくな人」と評する。そんな彼がカネと権力のなかで麻痺(まひ)していったのは、この相撲部監督時代からだったとみられる。日大関係者は当時、田中容疑者がこう話す姿を目撃している。

「部員たちの食事量がとんでもなく多い。私は政治家とも関係が深いから、何(の株)が上がるかという情報が入ってくる。その(株を売買した)お金で部員たちを食わせている」

真偽のほどは定かではないが、「インサイダー取引」を行っていることを漏らしていたのだ。田中容疑者は’99年には日大理事、’08年には理事長に選出されるなど、着々と権力の階段を上っていった。

「田中氏の権力基盤が決定的になったのは、’05年のことです。この年、彼は日大の『校友会』の会長に就いた。校友会はOBなどによる互助組織なのですが、年会費1万円を徴収しています。日大は卒業生だけで120万人を超すため校友会の資金力は非常に高い。このカネが、彼の権力の源泉になったのです」(日大OB)

人脈も広く、さまざまな人々と交誼(こうぎ)を結んだ。戦後最大のフィクサーと呼ばれた許永中との関わりが報じられたり、六代目山口組の司忍組長との写真が複数のメディアにバラ撒(ま)かれたこともあった。

その権勢は多少の動揺では衰えない。’18年に起きた、日大アメフト部の「殺人タックル事件」をご記憶の向きも多いだろう。この事件で、口封じ工作を行っていたのが、先に逮捕された井ノ口被告。が、実はこの事件には続きがある。

「このとき実際に選手に指示を出したのが、アメフト部コーチの井上奨(つとむ)氏でした。井上氏は懲戒解雇処分になりましたが、調停などを経て、現在は日大に復職しているのです。当時アメフト部の監督だった内田正人氏、そしてそこに連なる井上氏は〝田中派〟でしたので、井上氏の復職には田中容疑者の意向や周囲の忖度(そんたく)があったと考えられます」(日大関係者)

本誌は井上氏復職の事実を11月上旬につかみ、日大側に取材を申し込んだ。その際、日大は井上氏の復職を認めたうえで、以下のように回答した。

「本学は、第三者委員会の事実認定に基づき井上氏を懲戒解雇としましたが、井上氏の復職は、捜査機関の捜査結果や裁判所の強い勧告を踏まえた妥当な対応と考えています」

確かに田中容疑者は司直の手に落ちた。だが、この「転落」ですべてが終わったわけではない。

「田中氏の人脈は広く政界にも及んでいました。田中氏が『俺が逮捕されれば裏金のことも全部ぶちまける』と言ったという報道もあった。田中氏の逮捕から、永田町に飛び火する可能性も十分にあります」(前出・記者)

日大事件は始まったばかりなのかもしれない。

逮捕、起訴された籔本被告(右)と井ノ口被告(中央)。ヤクルトなどで活躍した広澤克実氏(左)の姿も
’95年、青森の合宿所で撮影された田中容疑者(中央)。当時は自身もまわしをつけて部員らと組み合っていた

『FRIDAY』2021年12月17日号より

  • PHOTO蓮尾真司(1枚目)

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