トランプを救世主と礼賛するアメリカ人 「Qアノン」ってなに?

トンデモ陰謀論を信じて

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オハイオ州で開かれたトランプ大統領の集会で。手前に「Q」という文字看板を掲げる支持者が見える

民主党が下院を制した米国中間選挙の裏で、不気味な勢力が蠢(うごめ)いていた。「Q」あるいは「Qアノン」と呼ばれる、荒唐無稽な陰謀論を本気で信じる人々だ。

「オバマ前大統領やヒラリー・クリントン氏は小児性愛者で、トランプ大統領はそんな異常者を一掃しようとしている」

「北朝鮮の金正恩委員長はCIA(米中央情報局)に支配されていたが、トランプがそれを解放した」

米国は「ディープ・ステート(闇の政府)」に支配されており、トランプ氏はそれら巨悪と戦う救世主なのだ……。

こんな話を拡散する「Q」とは一体何なのか。ホワイトハウスにパイプを持つジャーナリストの堀田佳男氏が解説する。

「米国エネルギー省のトップシークレットへのアクセス権限を、『Qクリアランス』と呼びます。その権限を持つ高官はペンタゴン(国防総省)の軍事情報にもアクセスできるとされる。『Q』がネット上に登場した頃、政府高官によるリークと思えなくもない情報が書き込まれたため、『Q』の正体はエネルギー省の高官だろう、などと言われたのが発端です」

Qを名乗る人物が、米国のネット掲示板「4chan」「8chan」(日本の5ちゃんねる=旧2ちゃんねるに似た掲示板)に書き込みを始めたのは昨年秋のこと。「アノン」とは「Anonymous」(匿名)の略で、「Qアノン」とはQを信じる匿名の人々、というような意味で使われる。

本来ならQが主張するような、証拠などまったくないトンデモ情報は一笑に付されて終わるところだ。だが、それを信じ切ってしまう人々が大挙して出現したところに米国の「闇」がある。

「米国では、白人が人口比率から見てマイノリティーに転落しつつあります。今回の選挙で上下院の候補者は約1000人でしたが、白人男性候補数が半数を割りました。これは史上初の事態で、白人社会には動揺が走っています。Qは、人口比率が低下して地位が脅かされると危惧する白人、とくに男性の本音を語ってくれるとして、支持する人たちが少なからずいるのです」(前出・堀田氏)

トランプ大統領は、QとQアノンを巧妙に利用する。「信者」たちは、Qがアルファベットの並びで17番目であることから、17という数字を何らかの意味がこもった「サイン」とみなしている。そのため大統領は、17を含む意味深なツイートを連発して、Qアノンたちの気を引き、歓心を買っているのだ(3枚目写真)。

こうした「悪ノリ」が、Qアノンたちを増長させ、より先鋭化させている。

「今年6月にはネバダ州のフーバーダム近くで、武装したQアノン支持者が『隠蔽されている民主党幹部の犯罪行為を公開せよ』と要求してハイウェイを封鎖する事件も起きています。Qが恐ろしいのはデマを流すだけでなく、行動も促していること。凶悪化するQの支持者たちの姿は、まさに米国社会の病巣と言えます」(国際ジャーナリスト・山田敏弘氏)

愚かな為政者を妄信する愚かな人々によって、米国が壊れていく――。

トランプ氏の集会では「Q」と描かれたTシャツを着た人々が参加し気勢を上げる
「Q」がアルファベットの17番目であることから「9.11から17年」など17を強調

写真:ZUMA Press/アフロ

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