歓楽街・蒲田最強の弁護士に聞く「嘘つきホストに復讐する方法」 | FRIDAYデジタル

歓楽街・蒲田最強の弁護士に聞く「嘘つきホストに復讐する方法」

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「絶対に、だまされてなんかいない。100%私たちは結婚するんだって思ってたんです」
「絶対に、だまされてなんかいない。100%私たちは結婚するんだって思ってたんです」

山中由美さん(仮名・22歳)は、ホストクラブで働く彼と付き合っていた。忙しい彼氏は、空いた時間をぬって、公園に山中さんを誘ってストロング系の酒を一緒に飲む。これが彼女たちのデートだった。極力、山中さんにお金を使わせないようにしたいという彼の気持ちがすごく伝わってきたという。

そんな彼氏の気持ちが嬉しくなって、山中さんは、彼氏の誕生日に彼の勤め先であるホストクラブでお金を使ってあげようと考えたのだという。サプライズプレゼントだ。

しかし、短大を出て、アパレルの店員をする山中さんの月給からは、そんなお金は捻出できない。「たぶん、ホストクラブで頑張る彼氏を喜ばすには、10万円から50万円ぐらいは必要」だと計算し、「一年に一回のサプライズだな」と少し悲しい気分になりながらも、覚悟を決めたという。

「なんかいいバイトないかな?でも、風俗とか絶対ムリだよ笑」

と冗談めかして、ホストの彼氏に聞いてみた。新宿御苑でのデートで由美さんが買ってきたストロング系飲料を飲みながら、キャバクラでも紹介されるんだろうかと思いながら、恐る恐る聞いてみた。自分が売られると感じたら、別れようとも決心して聞いたのだ。

すると、「いいバイト」があるよとすぐに紹介してくれたのが「チャトレ」という仕事だった。チャットレディ、チャットバイトなどとも称されるこの仕事は、音声やメッセージのやりとりをして報酬をもらうもの。出会い系のサクラなど、お金を払う男性と疑似恋愛のような形でメッセージのやりとりを行うことで、高額の対価をもらう。中には、オレオレ詐欺の片棒を担いだり、違法なデート商法に手を染めてしまう人もいる。

仕事の内容を聞いて、山中さんはとても嬉しかったのだという。リアルで男性の相手をしなくていいということと、仕事終わりや週末頑張れば、月額20万円ほどの収入になりそうだったからだ。「おれ、由美が男と対面していること考えたら嫉妬しちゃうじゃん」という彼氏の言葉が決め手となった。

はたして、山中さんは、ホストの誕生日に「サプライズ」で登場し、一晩で50万円を使った。その夜、ホストの彼氏からは「結婚しよう」というLINEのメッセージが寄せられて、山中さんは歓喜した。

山中さんが騙されていたことに気づいたのは、その一年後だった。アパレルの仕事を辞め、副業だったチャトレにほぼ毎日精を出していた。公園デートはなくなり、もっぱら週に一度のホストクラブがデートの場になっていた頃だ。

「正直、上京してからはじめて充実した毎日でした。大好きな彼氏のために一生懸命働き、ホストクラブで褒めてもらう。そして、いつかはこの人と結婚するんだって思っていたのですから」

自分の彼氏の写真を、地元の友だちに、送ったときのことだ。「ホストなんて絶対騙されている」とアドバイスをくれたものの、結婚を約束していると聞いて、それなら大丈夫かもね、と言ってくれていた友だち。その友だちに、写真を送ったら「この人、〇〇の兄貴じゃない?たしか結婚してるはずだよ」という返信がきた。

偶然にも、ホストの彼は、同級生の兄だったのだ。

結婚式にも出たというその友人の証言を彼に伝えると、彼からは「ごめんね…」という短い返事。もろもろの修羅場を経て、山中さんの恋は終わった。

山中さんの体は今、怒りに満ち溢れている。「ぜったいに許さない」「復讐したい」と考えて、友人や知り合いの弁護士にも相談したが、ほとんど相手にされなかった。

自業自得といえばそれまでなのだが、結婚まで信じていた彼女、払ったお金だけでも返してもらえないのか。

都心で事務所を構える大手法律事務所の弁護士に「依頼が相手にされない事情」を聞くと、

「弁護士の本音を考えると、正直、ホストという身分も不安定、社会的にもどんな勢力と関わっているかもしれない職業を相手にするトラブルを積極的にやろうという弁護士はいません。しかも、ホストの給料は、現金払いだったり、日払いだったりと差し押さえにくく、また、よほどのホストでないとお金になるような財産というものもない」

もう山中さんは袋小路なのか。

ここで、「蒲田最強の弁護士」に登場いただこう。城南中央法律事務所の野澤隆弁護士だ。京急蒲田駅近くに本拠を構え、蒲田で10年以上、歓楽街にまつわる複雑な法的問題を解決してきた猛者だ。

「たしかに、こういったケースでは、弁護士報酬は、出来高払いでは割に合わないのが濃厚なので、弁護士が働いた分を時給換算等で事実上払う形にしないと、弁護士もまともに動かないでしょう。

ざっと計算して、100万~200万円程度は弁護士から請求される可能性がありますが、結婚詐欺だという点を突いて、ホストからもらえるお金はせいぜい50万~100万円程度ではないでしょうか。依頼主がお金に糸目をつけずに復讐したいというのでなければ、おすすめできません。どの弁護士に頼もうとしたところで、ゴニョゴニョと依頼を辞めさせるべく、ごまかされてしまう可能性が高い」

しかし、と野澤弁護士は続ける。

「私の知る限り、ホストに『社会的費用』を払わせた例はあるようです。あくまで例として紹介しますが、彼氏がお風呂に入っているときに、運転免許証を写メしておいた。都心のホストクラブの従業員は、免許証を持ってない場合もありますが、その場合は『健康保険証』です。さすがに健康保険証を持ってない人はあまりいません。最近では歌舞伎町に蔓延したコロナも怖いでしょうし、不特定多数の女性と関係を持っているなら性病も怖い。

この行為の狙いは、実家の住所です。ホストという職業についたことについて、実家のお父さんお母さんが面白く思っていないケースは少なからずある。ホストの実家に出向いて、ご両親に起きたことを詳細に相談してみるのです。家の恥を無視するわけにはいかないと、親身になってくれるケースもあったようです」

実はまだまだやり返す方策はあるんですが、とつぶやく野澤弁護士。この先はまた違う機会にお話を伺うとしよう。いずれにしろ、結婚を踏みにじられた1人の女性の人生が、これ以上狂わされることのないよう祈るばかりだ。

  • 取材・文小倉健一

    イトモス研究所所長

  • PHOTOAflo

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