ついに始まる!ゴルフ賞金女王「稲見萌寧の無双時代」
群雄割拠の中、世代最強を証明!最終戦「リコーカップ」でも崩れず、古江彩佳は一歩およばず 休みなしで、年末年始も練習漬けの予定"完璧な選手"を目指す
戴冠が決まった瞬間、彼女の頬に涙が流れた。コロナ禍によって2年におよんだ今シーズンが11月28日に終幕。賞金女王に輝いたのは、稲見萌寧(もね)(22)だった。
今季9勝(’21年8勝)、獲得賞金は2億5519万円。夏の東京五輪で銀メダルを獲得するなど、今年の女子ゴルフ界を先頭に立って牽引した。’92年、’95年の賞金女王であるプロゴルファー・解説者の塩谷育代氏も手放しで稲見を絶賛する。
「私はJLPGAでコースセッティングを担当していますが、出場選手の皆が苦戦するコースでも、稲見選手だけがスイスイとバーディを重ねて勝ってしまう。そんな強さが今季の彼女にはありました。難しいセッティングになればなるほど、他の選手と差が出る。日頃の練習の成果であり、並外れた集中力あってのことでしょう。彼女はプロになる前から一日8時間練習するのが当たり前だそうです」
賞金ランキング2位だった古江彩佳(21)とは844万円、3位の小祝さくら(23)とは5476万円の差をつけたが、それ以上に、ゴルフの”質”で圧倒した。国内女子プロの中で稲見は平均ストローク1位、パーオン率1位、パーセーブ率1位、平均バーディ数1位だったのだ。
「稲見選手は調子が悪い時にパーをキープする、その守りのゴルフがズバ抜けています。また、2年間戦い抜いたスタミナも素晴らしかった。シーズン後半は腰痛に苦しみながら、安定したゴルフでトップを走り続けた本物の実力者です」(プロゴルファーで解説者の沼澤聖一氏)
稲見の唯一の弱点は飛距離がやや物足りないこと。今季のドライバーの平均飛距離は238ヤード。海外ツアーでシード権を得ることは難しいかもしれないが、それも本人が一番よくわかっている。
「一番の目標は永久シード」
稲見はそう公言し、国内30勝を目指す。シーズンオフも無休で、「飛距離をアップさせたい」と練習に取り組む予定だ。
「ライバルの古江は海外ツアー挑戦に意欲を見せています。現時点では稲見のライバルというレベルの選手は他に見当たらない。古江がいなければ、来季も国内は稲見が2年連続賞金女王でしょう」(ゴルフジャーナリスト・宮崎紘一氏)
今夏、稲見は「無双状態になりたい」とインタビューで答えている。少なくとも、来季の日本ではそうなりそうだ。



『FRIDAY』2021年12月17日号より
PHOTO:AFLO Getty Images