壮絶!アイドルプロデューサーがポーカー世界王者になるまで
日本人ポーカー王者インタビュー 世界大会を制して賞金2400万円を獲得
「優勝できたのはラッキーです。勉強で少しは勝率が上がったかもしれませんが、最終的な勝因は運だと思います」
文字通りのポーカーフェイスで優勝の理由について淡々と語るのは、岡村元義氏(42)だ。
競技人口1億人以上、世界170ヵ国以上でプレイされ、マインドスポーツの最高峰と呼ばれるポーカー。岡村氏は今年9月から約2ヵ月にわたりアメリカ・ラスベガスで開催された世界最大のポーカー大会『WSOP』(ワールド・シリーズ・オブ・ポーカー)を制した世界王者だ。
「『WSOP』には今回が初めての参加でした。大会では約90のポーカー種目が開かれます。ポーカーにはいろんな種目があり、最も人気なのが『ノーリミット・ホールデム』と呼ばれる手元に配られた2枚のカードとボード上のカードを組み合わせていく種目。僕が優勝したのは、その『ノーリミット』と次に人気の『ポットリミット・オマハ』というゲームを8回ずつ交互に行う『ミックスゲーム』です。この種目には、世界中から約850人が参戦していました」
これまでに5人の日本人が『WSOP』のチャンピオンになっているが、岡村氏は歴代王者のなかでも一線を画す異色の経歴の持ち主だ。
「ポーカーを始めたのは1年半ほど前です。僕は芸能事務所でアイドルの総合プロデュースをやっているんですが、コロナ禍でライブがまったくできなくなった。時間ができたなか、後輩から『今、ブームが来てるからやりませんか?』と言われたのがきっかけでした」
遊び感覚で始めたポーカーだったが、瞬(またた)く間にのめり込んでいった。
「ポーカーって運の要素だけではなく勉強したら勝てる競技なんだと気づき、一気にハマりました。勉強することで勝率がかなり変わるんです。今年に入ってコーチをつけましたが、それまでは独学で毎日8時間ぐらい勉強してました。時間は無限にあったので、朝起きてから寝るまでずっとポーカーだけやることも。今もどんなに忙しくても毎日何時間かは勉強の時間を作ってます。
現在はAIや計算ソフトの発達で、ポーカーもこのシチュエーションでどうアクションしたら期待値が出やすくなるかというパターンの答えが出つつあって、それを自分なりにまとめることが主な勉強です。パターンを覚えれば毎回勝てるわけではなく、運の要素が大きいところもポーカーの魅力ですね」
今回、『WSOP』の優勝賞金は日本円で約2400万円。使い道について岡村氏はこう語る。
「賞金は全額、大会への参加費などの軍資金に回します。僕は芸能事務所の他に太陽光関連や山林開発の会社も経営しているので、正直、賞金には全然興味がないんです。『WSOP』で優勝するには70年ぐらいかかると計算していたので、優勝は一生の目標になるだろうと思ってました。それがラッキーで達成できたので、今後はポーカーを究めたいと思ってます。アイドルの仕事も好きなのでそちらも本気でやり、ゆくゆくは海外を拠点にポーカーをしながら暮らしたいです」
世界最速チャンピオンの挑戦はまだまだ続きそうだ。
『FRIDAY』12月17日号より
- PHOTO:小松寛之(1枚目)