紅白、ダウンタウンでもない…波乱の大晦日「視聴率戦争」真の勝者
今年の大晦日「視聴率戦争」は例年とはひと味違うものになりそうだ。
王者として長らく君臨するのはNHK紅白歌合戦。毎年これに続いていた『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)の“笑ってはいけないシリーズ”が、今年は一旦休止。『絶対笑って年越したい!笑う大晦日(仮)』のタイトルでお笑い生番組を放送する。
タイトルがタイトルだけに、松本人志と浜田雅功らおなじみのメンバーが登場するかと思いきや
「現時点でダウンタウンが生で出続けるということはありません。ザックリ言ってしまえば、お笑い芸人による長時間のネタ見せ番組。局内では早くも『爆あたりか爆死か』という予想で分かれています」(日テレ関係者)
となると、がぜん威勢がいいのが、格闘技大会『RIZIN2021』を放送する予定のフジテレビだ。先月30日に行われた会見でRIZINの榊原信行CEOは
「千載一遇のチャンス」
とニヤリ。視聴率10%超えを目標に置いたが、ここにきて突如出現した変異ウイルス「オミクロン株」の影響により、海外大物選手の来日から会場の客入れまで不確定要素が増したことは否めない。
さらに目玉カードの1つになるであろう朝倉未来が、先月20日にABEMAで配信されたストリートファイト企画で左ひざの半月板を負傷していたことが判明。朝倉は自身のユーチューブチャンネルで
「いまでも痛くて走れない状況。走ると痛いというぐらいのケガです」
と報告した上で
「大みそかに出ると完全に断言できない」
と欠場もほのめかした。
「朝倉側は自分目当てでチケットを買ってくれる人がいるため申し訳ないという気持ちで動画をアップしたようですが、RIZIN側からすれば、たまったものではありません。当日どうなるかはまだわかりませんが、朝倉をうまくコントロールできるのか、予断を許さない状況でしょう」(スポーツ紙記者)
ライバル番組の退場と失策で、紅白歌合戦が有利かと言えばそうでもない。今年は年間を通してヒット曲に乏しく、初出場はKAT―TUN、上白石萌音、DISH//、Awesome City Club、BiSH、millennium parade×Belle(中村佳穂)、Snow Man、平井大、布袋寅泰、まふまふの10組。主要視聴者層の年配男女からすれば「誰それ?」状態だ。
現時点で発表されているのは、紅組「22」組に対し、白組「21」組で、業界では“隠し玉”があるとウワサされているが…。
「今年の最大トピックである東京五輪でNHKのテーマソング『カイト』を歌った嵐の一夜限りの引きずり出しを画策しているという話が聞こえてきます。ただ、交渉は難航しているようで、櫻井翔と相葉雅紀の2人だけでも…という条件ですら実現は厳しいと言われています」(音楽関係者)
どれもパッとしないとなれば、他局がおこぼれにあずかる可能性もある。テレビ朝日系は『ザワつく!大晦日 一茂良純ちさ子の会(仮)』(午後6時~)、TBS系は『THE鬼タイジ 大晦日合戦』(午後7時45分~)、テレビ東京系は『孤独のグルメ 2021大晦日スペシャル』(午後10時~)で勝負をかける。
「意外と健闘しそうなのがテレ東。見られない地域があるのが惜しいですが、何も考えずに“だら~”っと見るのにはうってつけ。
しかもコロナ禍において“一人飯”というのは、最強のコンテンツなんです。逆にテレ朝とTBSはよくある“敗戦処理”と言われていますよ」(テレビ局関係者)
コロナでも注目された“人流”はテレビに限ったことではない。ユーチューブやインスタグラムのインフルエンサーたちも年末年始にカウントダウン生配信を予定しており、広告代理店関係者は
「世帯視聴率では計れない部分で、かなりの数がSNSに持っていかれると予想している」
という。しかも大半がクライアントが重視する若者世代。
「年末年始に限れば、テレビよりインフルエンサー狙い撃ちで広告を出した方が得策。そういう意味でも、SNSが真の勝者になるかもしれない。企業も最近“攻め方”を変えてきていますからね」(同・代理店関係者)
そもそも視聴率とは、CMの値段を決めるための一つの指標となるもの。テレビ各局は少しでも広告料を上げるためしのぎを削っていたが、これも時代の流れなのか…。
PHOTO:原 一平