ソニー生命「不正送金」事件32歳社員が盗んだ170億円の行方 | FRIDAYデジタル

ソニー生命「不正送金」事件32歳社員が盗んだ170億円の行方

FBIが捜査に乗り出し国際犯罪に発展

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被害額の大きさに比して、あまりに情報が少ない異様な事件である。

11月29日、警視庁捜査2課はソニー生命保険の財務部勤務の社員・石井伶容疑者(32)を逮捕した。今年5月、関連子会社から約170億円をアメリカの口座へ不正送金した詐欺の疑いである。

送検される石井容疑者。取締役会を経由しない異例の送金が実行されてしまうなど、ソニー生命の管理責任を問う声も 撮影:蓮尾真司
送検される石井容疑者。取締役会を経由しない異例の送金が実行されてしまうなど、ソニー生命の管理責任を問う声も 撮影:蓮尾真司

「石井容疑者は子会社『エスエー・リインシュアランス』(バミューダ諸島)の清算業務を担当していました。小規模な部署で、チェックを行う上司は一人のみ。犯行が行われたとみられる5月は、緊急事態宣言下で在宅作業だったため、監視の目も届きにくかった。そういった隙を突いて、上司の承認を偽装して、子会社の米国口座からアメリカの銀行へ送金を指示していました。警視庁はFBIに協力を要請し、連携して実態解明にあたっています」(捜査関係者)

ソニー生命の関係者によれば、石井容疑者の勤務態度に問題はなかったという。動機も不明のまま。最大の謎は170億円もの途方もない額のカネを、30代前半の若手社員がどこへ送ったのかである。犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、共犯者の存在に注目している。

「これだけの額を動かすのは一人では不可能。背後に国際的な犯罪シンジケートがあると思います。アメリカには、詐欺など犯罪の温床になる非正規口座が多い。送金直後に、そういう他人名義の口座や架空口座を転々とさせられたら、行き先はわからない。熟練の組織犯罪です」

ITジャーナリストの三上洋氏は「すでに仮想通貨などに形を変えているはず」と見ている。

「昔はカジノのチップに換金する方法などが取られましたが、今回は額が巨大すぎてその可能性は低い。スイスなどマネーロンダリング対策が甘い国の銀行に分散し、仮想通貨に変え、足がつかないようにしている可能性があります」

もう一つの疑問は、なぜソニー生命の管理がこんなにズサンだったのか、ということだ。170億円もの損失をどう穴埋めするのか。事件から半年間、何をしていたのか。送金先のメドは立っているのか。ソニー生命は、こう回答した。

「170億円は特別損失として既に計上しております。今後も全容解明に努めてまいります」

解決への道のりは、まだまだ遠い。

リモートワーク中に、自宅マンションで犯行に及んだ石井容疑者。容疑の認否は明かされていない
リモートワーク中に、自宅マンションで犯行に及んだ石井容疑者。容疑の認否は明かされていない
  • 撮影蓮尾真司

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