大阪ビル放火で24人死亡 患者が語る「クリニック院長の献身」 | FRIDAYデジタル

大阪ビル放火で24人死亡 患者が語る「クリニック院長の献身」 

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火災現場のビルと献花。4階は焼け焦げた姿をさらしていた。12月18日、撮影

事件から2日たっても、火災現場のビルは生々しい姿をさらしていた。

4階の窓枠は焼けただれ、外からでも真っ黒にススけた内部が見える。周囲に薄っすらと漂う焦げた臭い。1階はブルーシートに覆われ、10人ほどの警察官が警戒にあたっていたーー。

12月17日、午前10時20分過ぎ。JR大阪駅から200mほどの場所にある「堂島北ビル」(大阪市北区曽根崎新地)の4階から、火の手があがった。煙はまたたく間にフロアー全体に拡散。30分ほどで鎮火したが、27人が病院に搬送され24人が亡くなった(12月19日現在)。

「原因は放火とみられます。4階には『西梅田こころとからだのクリニック』という、心療内科がありました。診療開始直後、60代の男が手に持っていた紙袋を受付近くの床に置き蹴り飛ばした。袋から流れ出た液体が、暖房器具で引火。クリニックは79㎡ほどの狭さで、あっという間に黒煙に包まれ、有毒ガスが発生したようです。

4階から逃げるには、受付を通りエレベーターか非常階段を使うしかありません。受付近くで発火し、逃げ場を失った患者やスタッフは、次々に倒れていった……。駆けつけた消防隊員に運び出された被害者の多くは、身体を『くの字』に曲げていたそうです。亡くなった方のほとんどに外傷はなく、死因は一酸化炭素中毒でした」(全国紙社会部記者)

予定を熟知した計画的犯行か

谷本容疑者の自宅とみられる家に入る捜査員

放火の疑いがあるのは、クリニックに通院していた大阪市西淀川区在住の谷本盛雄容疑者(61)だ。自身も心肺停止で病院に搬送され、意識不明の重体。ビルの構造を知り、あえて患者やスタッフが逃げられないように、受付付近で火を起こしたと思われる。

「クリニックは、うつ病や発達障害に苦しむ人たちをサポートしていました。ビジネス街にあるため、中高年の患者が多かったそうです。午前中に診療があるのは火曜と金曜日だけで、働く人たちのために午後は夜10時まで開院していたとか。

事件当日は、休職した人が職場に復帰するための『リワークプログラム』が予定されていました。そのため、通常より多くの方がクリニックを訪れていたんです。谷本容疑者は、そうした事情を知っていたのかもしれません」(同前)

クリニックの院長は、発達障害の診療で有名な西沢弘太郎氏(49)。親族によると、連絡がとれていない状態だという。

西沢氏はどんな医師だったのだろうか。クリニックに事件直前まで通院していた、大阪市内に住む田中俊也氏(56)が語る。

「決して上から目線でアドバイスせず謙虚で、とても丁寧に診療してくださる先生です。トラブルを起こすような人ではありません。なんで放火などされたのか……。

私は旅行業界に勤めていたのですが、3年ほど前にパワハラを受けうつ病を発症。ずっと真っ暗闇の中を生きているような重症でした。先生は、そんな私の話を一所懸命聞いてくれ後、こう言ってくださいました。『休んでください。ゆっくりしてください』と。何もヤル気にならんない自分を情けないと思い、悩んでいた私は、その言葉にどれほど助けられたことか……。

私は『リワークプログラム』にも参加しましたが、同じように悩んでいる人が大勢いることを知って、気持ちが和らぎました。ムリに自分を奮い立たさなくてもエエのやな、ということがわかった。本当に救われた。今の自分があるのは、先生のおかげです。なんとか生きていてほしいです」

評判の良い医師と、多数の罪のない患者やスタッフが犠牲となった未曾有の火災事件。警察は谷本容疑者の回復を待ち、動機解明のための捜査をする予定だ。

ビル前には多くの献花が
献花に祈りを捧げる人
1階にはブルーシートが張られ警官が警備している
ビルの外観。横の小さな窓の黒いススから黒煙が出ていたことがうかがえる
出火元となった4階を撮影する報道陣
  • 撮影有村拓真 山崎高資

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