「チャイナエステ」強盗 被害者が語った恐怖の犯行一部始終 | FRIDAYデジタル

「チャイナエステ」強盗 被害者が語った恐怖の犯行一部始終

非合法営業の店を狙い撃ち 他愛ない会話をした後、突如女性に暴行を働き、店にあった現金を奪い取る 防犯カメラの映像には女性の髪を掴む姿がはっきりと映っていた

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強盗事件と見られる防犯カメラの映像。女性従業員が男に髪を摑まれる様子がはっきりと映し出されていた
強盗事件と見られる防犯カメラの映像。女性従業員が男に髪を摑まれる様子がはっきりと映し出されていた

「どこだよ!」

低い声でカネのありかを尋ねる男に、息を切らしながらカタコトの日本語で抵抗するネグリジェ姿の女性。女性は隙(すき)を見て玄関から避難を試みるが、男に髪を掴(つか)まれ、部屋の奥へと引きずり戻されてしまう。その後、男は女性から奪い取ったと見られる紙幣を折りたたむ余裕を見せ、悠々とその場を立ち去った。犯行時間は1分余り。残された女性は「返してお金!」「救命啊(ジウミンア)!(中国語で『助けて!』の意)」と泣き叫んだ――。

上の画像は、関東圏のチャイナエステ店で頻発している強盗事件の一部始終を映した防犯カメラ映像だ。チャットアプリ『微信(ウィーチャット)』上で、在日中国人らの間で被害情報を共有するために出回っており、埼玉県内のエステ店での犯行と見られている。撮影日時は11月23日夜9時過ぎ。終始落ち着き払った男の態度からは、常習性も窺(うかが)える。

「こいつに間違いないよ!」

この映像を見てそう怒りを露(あらわ)にするのは、埼玉県内を中心に複数のエステ店を展開する40代の中国人経営者だ。

「あれは11月20日の深夜のことだった。この男は客としてやって来て料金も支払い、普通通りにマッサージも受けた後、服を着てから女性従業員にカネを出せと脅(おど)した。渋った女性従業員は、顔を殴られ、髪を掴まれて引き倒され、さらに下腹部を蹴られるなどの暴行を受けた。

店には当時彼女一人で、『このままでは殺される』と思って、店にあった売上金と自分の日当合わせて11万円を渡すと、男はようやく店を出て行った。私も防犯カメラに映っていた男を見ているけど、顔や髪型、背格好はそっくり。30代くらいの日本人という特徴や髪を引っ張るという手口も共通している。女性は全治2ヵ月の大ケガで、店もやめてしまった」

同様の手口はここ半年で、10件以上起きている。だが、いずれも警察に被害届は出されていない。その理由について、この経営者は声を潜(ひそ)めて言う。

「うちも含め、中国系のメンズエステの多くは、風営法の届け出をせずに、ギリギリのサービスをしているグレーな存在。だから警察に対して目立つようなことはしたくない。それに、うちのお店は普通のマンションで営業しているから、管理会社にバレたら追い出されてしまう」

被害届を出せない「グレーなエステ店」を狙った強盗事件は、実は昔から起きていた。しかし最近は、事情が変わってきているという。

「中国系のメンズエステは、6〜7年前に急増し始めたんだけど、その頃はしょっちゅう強盗が入っていた。ただ当時は、多くの場合は中国人が犯人で、中国マフィアとかライバル店に雇われていることが多かった。それが最近は、コロナで貧乏になった日本人が強盗に入るようになった。ちゃっかりサービスを受けてからカネを取るのが貧乏の証拠。

私の知り合いがやっているお店も2軒、10月に別の日本人に強盗に入られたばかりだよ。でもその知り合いは、不法滞在の従業員を雇っていたから、ゼッタイ警察には通報できない。人伝に聞いたものも入れたら、今年に入って関東圏で20軒くらいはヤられている」(同前)

強盗犯に狙われる店には、共通点もあるようだ。

「目立たないように風俗雑誌やネットで広告を出すことを控え、代わりに女性従業員にSNSや出会い系サイトなどで集客させていたところが狙われることが多いみたい。そういう店を狙えば、被害を警察に通報したがらないって犯人は知っている」(同前)

事情を抱えたエステ店を狙った狡猾(こうかつ)な犯行だが、仮に強盗被害を警察に届け出た場合、店側の不利益となる可能性はあるのだろうか。刑事事件に詳しい、『加藤・浅川法律事務所』の加藤博太郎弁護士が語る。

「被害届を出せば、警察は必ず現場の実況見分や被害者への聴取などを行います。その過程で違法営業や不法就労の実態が浮かび上がってくれば、司法取引が存在しない日本では、警察としても摘発に動かざるを得ない。ただ、弁護士が交渉することによって、被害届を出す前に自らの違法状態を解消していれば、グレーな営業については大目に見てくれる場合もあるでしょう」

非合法営業や不法就労者の雇用はもちろん悪い。しかしそれを狙った暴虐な強盗犯は、けっして野放しにしてはいけない。

今年11月に強盗被害を受けた中国人経営者。犯人には怒り心頭だが、被害届は出せず、対応策に苦慮している
今年11月に強盗被害を受けた中国人経営者。犯人には怒り心頭だが、被害届は出せず、対応策に苦慮している
傷口が生々しい被害女性。客を装って入店し、髪を引っ張るなどして脅すなど、犯人の手口は共通している
傷口が生々しい被害女性。客を装って入店し、髪を引っ張るなどして脅すなど、犯人の手口は共通している

『FRIDAY』2021年12月31日号より

  • 取材・文広瀬大介

    ライター

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