神田沙也加さん「弱みを見せない名女優」が人知れず背負ったもの | FRIDAYデジタル

神田沙也加さん「弱みを見せない名女優」が人知れず背負ったもの

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神田沙也加さんの急逝は世間に衝撃を与えた。彼女のSNSにはときおり、真面目すぎる彼女の意思が見え隠れしていた……
神田沙也加さんの急逝は世間に衝撃を与えた。彼女のSNSにはときおり、真面目すぎる彼女の意思が見え隠れしていた……


「何かできることはなかったか…」

12月18日に急逝した女優の神田沙也加さんをめぐり、関係者が唇を噛んでいる。

神田さんは同日昼過ぎ、主演ミュージカル『マイ・フェア・レディ』札幌公演のため宿泊していたホテルの上層階から転落し、帰らぬ人となった。北海道警は事件と事故の両面で捜査したが、現場の状況から早々に「事件性なし」と判断。遺書などは発見されていない。

神田さんは‘86年10月1日生まれ。父は神田正輝で、母は松田聖子。‘99年、短編映画『ビーン・ケーキ』でデビューし、‘02年にはSAYAKA名義で歌手デビューも果たした。

デビュー当初は「松田聖子の娘」として注目を集めたが、近年はミュージカル女優として確たる地位を築いた。‘14年の大ヒット映画『アナと雪の女王』日本語吹き替え版のアナ役でも知られる。

突然の訃報に芸能界に衝撃が走った。母・聖子は翌19日に恒例のディナーショーを予定していたが、中止に。所属レコード会社を通じて、

《未だこの現実を受け止めることが出来ない状態です》

とコメントを発表した。父・神田正輝も同様で、大きなショックを受けているという。

彼女を知る人は皆「ナゼ?」と声を揃える。『マイ・フェア・レディ』は神田さんにとって特別な作品で、‘18年以来の再演に感激。インスタグラムでは劇中イライザの衣装を着て、

「今年も袖を通せて嬉しいです」

と綴っていた。

「チケットの売れ行きも好調で、18日公演分は完売していた。何か悩みを抱えている様子は微塵も感じさせなかった」

とは舞台関係者。それは神田さん自身が“弱み”を人に見せない性格だったことも起因する。

以前、インスタのストーリーズ(24時間で投稿が消える機能)で、ファンから、「落ち込んだり不安になることはありますか?」と聞かれ、

「人前に出る仕事なのでそれはひた隠しにしています」

と返していたという。

SNSでも自己満足しない面は端緒に表れていた。11月9日にはインスタで、

《不甲斐なくて後悔で哀しくて、聴けなかった曲が、やっと聴けた。こればかりだったのに今日まで歌えることもなかった。新たに引き締まる気持ちもあるけれど、時薬に頼り過ぎることなく、今度こそ誠実に向き合いたい》

と投稿。「時薬(ときぐすり)」とは、時間が薬となって困難を解決してくれるという意味だ。

11月14日から始まる『マイ・フェア・レディ』に向けた記述と思われるが、どこか理想と現実のギャップのはざまで苦しむ様子がうかがえる。

「周りから見たら、神田さんはひと一倍努力しているように見えましたが、本人の中では違ったようです。ストイックという言葉では片付けられないほど、多くのものを背負っていたのかもしれません」(前出・舞台関係者)

そんな神田について、初主演ミュージカル『イントゥ・ザ・ウッズ」(‘04年)で演出を担当した演出家の宮本亞門氏は、『真相報道 バンキシャ!』(日本テレビ系)で次のように語っている。

「(神田さんに)とにかくあなたが本当に一番良かったのだから、お願いだから信じてよって言った。そうしたら少し微笑んで、『私本物になりたいんです』って。『私はお母さんとは違う道を神田沙也加という一人の人間が、本気で生きていく姿をみんなに見てほしいです』って言っていました」

続けて、

「周りから見たら生き急いでるようなテンションの強さはあったと思います。彼女は本気で生きて、本当に素晴らしい歌や演技を観客に届けたことを知ってほしい。もちろん不安定な気持ちもいろいろあったと思います。でも、それをも超えて、ここまで生き抜いた神田沙也加という人はすごいなと思ってます」

と語った。享年35。人知れず大きなものを背負い、懸命に生きた「神田沙也加」の幕は下りた――。

(日本いのちの電話連盟)

・フリーダイヤル0120-783-556(毎月10日午前8時~翌日午前8時)

・ナビダイヤル0570-783-556(午前10時から午後10時まで)

  • 撮影原一平

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