高校野球「熾烈すぎる中学生スカウト合戦」のスゴい舞台裏 | FRIDAYデジタル

高校野球「熾烈すぎる中学生スカウト合戦」のスゴい舞台裏

現地ルポ ’21年12月11〜12日に開催された中学生硬式野球・関西No.1決定戦「タイガースカップ2021」に有名高校20校以上が集結

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181㎝、80㎏の『関メディヤング』の金本君は、「最近、筋トレを始めて体重を増やしています」と語った

プロ野球も高校野球もオフシーズンとなる師走に、甲子園球場では毎年、『タイガースカップ』が開催される。シニア、ボーイズ、ヤングといったリーグの垣根をこえて中学硬式野球の関西ナンバー1を決するこの大会にはもう一つ、大きな意味がある。有望選手は中2の3月には進学先が内定するため、2023年4月に高校へ入学する中学2年生にとって、名門校へアピールする最終テストの場なのだ。準決勝に進出した明石ボーイズの筧新吾監督が言う。

「この大会で活躍すれば人生が変わる。選手たちには、3年夏の日本一ではなく、中2の冬に開催される『タイガースカップをまずは目指せ』と伝えてきました」

バックネット裏には大阪桐蔭の西谷浩一監督や明石商業の狭間善徳監督をはじめ、智弁学園、東海大相模といった全国の名門校の関係者がズラリと並び、眼を光らせていた。タイガースカップはさながら将来の甲子園球児の見本市だ。

前出の明石ボーイズには、今大会最注目選手のスーパー中学生がいた。181㎝の高身長から、癖のない美しいフォームで130キロ台中盤の直球を投げ込んでいた福田拓翔(たくと)君だ。

「MAXは137キロです。藤川球児さんのような、浮き上がるような直球を追求したい。変化球は2種類のスライダーと、自信のあるスプリットです」

もちろん、この大会は進路を決定する重要な大会と位置づけていた。

「(高校の)監督さんたちがいらしているのは知っています。アピールの場ではあるんですけど、意識しすぎず、チームのことが最優先だと思っています。(進学先は)3月には決めたい。どれくらいの話をいただいているのか僕はわからないですけど、グラウンドに来てくださっているのは知っています。大阪桐蔭か東海大相模に行きたい気持ちはありますが、明石商業も候補に入っています」

筧監督によると、「関西にあるほとんどの強豪校から話が来ている」といい、その数は20校をこえる。

選手勧誘のルールとして、高校関係者が選手と直接接触することは許されておらず、中学硬式野球チームの関係者を通じて〝獲得〟の意志を表明する。そこから練習や試合に足を運び、熱視線を送ることで選手や保護者の心を動かしていく。図式はプロ野球のスカウティングと同じだ。関東の高校の監督が話してくれた。

「いわゆる『特A』と呼ばれる有望選手は、寮の部屋数の関係上、約20人の枠しかない大阪桐蔭や、智弁和歌山など人気校から内定していく。次のランクの選手が全国の強豪校に散らばり、さらにその選に漏れた選手たちが選ぶのが、東北や四国などへの野球留学です。声をかけたら無条件で入学を希望する大阪桐蔭などとは違って、他の強豪校は特待生待遇などの条件面”や環境面、甲子園への行きやすさで熱意をアピールしていきます」

準決勝でライトスタンドに特大アーチを架けたのが『関メディベースボール学院ヤング』の金本貫汰君。中学生離れした筋肉質の肉体にも目を見張ったが、聞いて驚いたのはそのスイングスピードだ。

「149キロです(笑)」

14歳の時点で高校生……いや、すでに大学生のトップレベルのスピードだろう。

「中学での通算本塁打は11本で、すべてフェンスオーバーです。行きたい高校というのはなくて、試合に出られる学校を選びたい。目標はイチローさんです」

師走の聖地では、数年先の甲子園とドラフトを占う熾烈(しれつ)な争奪戦が繰り広げられているのだった。

『明石ボーイズ』は準決勝で敗れた。「もう一度、甲子園のマウンドに上がりたい」とエースの福田君は話した
大阪桐蔭の西谷浩一監督は準々決勝4試合を視察。東海大相模や浦和学院など関東の学校関係者も数多く見られた

『FRIDAY』2022年1月7・14日号より

  • 取材・文柳川悠二

    ノンフィクションライター

  • PHOTO『関メディベースボール学院ヤング』提供(1枚目)

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