解体されて消滅 相模原・やまゆり園 19人殺害現場をドローン撮

知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」が解体された

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
今年11月にドローンで撮影した画像。点線で囲んだ部分が10月末までに解体された居住棟など

林に沿って細長く広がっていた、2階建ての建物は解体され更地に。戦後最悪の大量殺人事件の現場は、跡形もなく消滅していた――。

知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」(神奈川県相模原市)で、惨劇が起きたのは’16年7月26日だ。同施設の元職員・植松聖(さとし)被告(28)が窓ガラスを破って施設に侵入し、刃物5本を使い入所者をメッタ刺し。19人が死亡、27人が負傷するという未曽有の惨事となった。

いまだ初公判すら決まらず

あれから2年余り。凄惨な事件の現場では解体工事が進んでいる。

「昨年10月にまとめた『再生基本構想』に沿って、解体が進められています。建物を壊す理由は、利用者や職員が事件を思い出さないようにとの配慮などからです。事件現場となった居住棟、渡り廊下、作業棟が対象となります。ちょうど10月末で取り壊しが終わりました。今後は壁の撤去や整地をし、来年3月末に工事は完了します。跡地には新たに障害者施設を建てる予定です」(神奈川県共生社会推進課再生グループ、後藤浩一郎氏)

県は再発防止策として、防犯ガラスやセンサー付きカメラなどを設置し警察との連携を進めるという。だが、かつて「やまゆり園」で働いていた81歳の榎本亨氏は、少ない職員数が心配材料だと話す。

「昼間は多くの職員が働いていますが、夜間帯は少ない。私が働いていた40年ほど前は50人の入居者に対し、わずか3人の職員で見ていました。事件が起きた夜も、入所者157人に対して職員は8人。一人だけいたガードマンも仮眠中で、事件を止められなかったんです。惨事を二度と起こさないために、的確な人数の職員を確保することが必要でしょう」

これほどの惨事にもかかわらず、事件は解決に向け動き出していない。被害者が多いことなどから証拠調べに時間がかかり、事件から2年以上が経った今でも初公判の日程すら決まっていないのだ。

植松被告と20回以上面会した、雑誌『創』編集長の篠田博之氏が語る。

「精神鑑定で、植松被告は『自己愛性パーソナリティ障害』と診断されました。本人は自分が病気だとは思っておらず、意思疎通が困難とされる重度障害者を『社会からいなくなったほうが良い』とする考え方は事件当時と変わっていません。最近では拘置所内で創作活動めいたことをしていて、作品をあちこちに送っているようです。私のところにも映画監督・北野武の顔を描いたイラストや、小説のようなモノなどが届きました」

犯行現場は解体され、加害者に反省の色は見えない――。被害者の無念が晴らされる日は、やって来るのだろうか。

解体工事開始前の’16年12月に撮影した写真。上部の横に細長く伸びた建物が犯行現場の居住棟や作業棟
自慢気に入れ墨を見せる植松被告。施設を辞めた後は、一時彫り師に弟子入りしていた
植松被告が一人で暮らしていた施設近くの家。現在は住む人もおらず廃墟となっている
  • 撮影・取材桐島 瞬

    ジャーナリスト

Photo Gallary4

share icon記事をシェアする

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事