精巧すぎる!とSNSで話題「紙で造る生き物たちの世界」 | FRIDAYデジタル

精巧すぎる!とSNSで話題「紙で造る生き物たちの世界」

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「サケの一生」をパノラマ風に仕立てた作品がツイッターで評判に

Twitter上で、とあるペーパークラフトが話題になった。それは、紙で「サケが川に帰ってくるまで」をパノラマ風に仕立てた作品だ。円柱型の作品上には、サケの成長の様子と共に、サンマやスケトウダラなどの北の海の生き物たちが表現されている。

作者の1031(いちまる)さんは、某有名私立大学の現役大学生であり、8月には品川区での展覧会に参加し、注目を浴びた。

サケの一生
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材料費は1つの作品あたり100円ぐらい…

紙での作品作りを本格的に始めたきっかけはコロナ禍で大学が休みになったことだというが、“出発点”は、小さい頃に親が作ってくれていて、自身も中学生の頃に始めた折り紙にあった。

1031(いちまる)さんの作品は、とても紙で作られたとは思えないようなリアリティを持つが、その秘訣は、紙という素材へのこだわりにある。

「丸みを帯びた作品のときは、薄い和紙のような柔らかい紙を使って、それをボンドで丸めて固めるなどして、丸みを出すように頑張ってみたり。家に常時色んな種類の紙を揃えてあるので、その紙ごとの質感を生き物など、作りたいものに合わせます。 

新宿の画材屋・世界堂の2階にいろいろな種類の紙をバラ売りしているコーナーがあるので、そこで気に入った質感のものなどを買ってきていますね」 

森の賢者と白の遣い

1031(いちまる)さんの場合、作りたい作品に合わせて紙を選ぶというより、“気に入った質感の紙”から何を表現したいか考えるケースが多いよう。

爪楊枝や消しゴムなど、紙以外の素材も使用するというが、そもそもなぜ「紙」なのか。

「柔らかさや温かみもありますが、あとは経済的な理由で(笑)。紙だと、平均しても1つの作品あたり100円もしないですから(笑)。よく買うのはハガキサイズの紙で、1枚15円くらいで、その一部しか使っていないので、コストが全然かからないんです」

100円未満でリアルな生き物を作れると思うと、やってみたくなるが、そこは完全に1031さんのセンスと技術あってのもの。

また、紙ならではの大変さもある。

「紙は、保管が大変で。紙の大敵は湿気で、ケースに入れておかないと劣化しちゃうんです。水を含むと、ふにゃふにゃになって崩れてきてしまうので。だから、100均のコレクションケースと作品の底面に板状の磁石を貼って、倒れないようにしています。多分コレクションケースが一番お金かかってます(笑)」

手のひらサイズの作品は、構想から完成までで約2週間。

「最近は水の生き物系の作品を作ってるんですけど、釣りに行ったり、水族館に行ったりして、『この場所を作りたいな』といった具合に場所が思い浮かんでから作り始める手順で。

生き物が好きなのは、物心ついた時からですが、高校生になってから一人で遠出できるようになり、高2から釣りに行き始め、自分でカメラなどを沈めて水中映像を撮ったりするようになりました。水中映像に映った生き物を作品にすることもあります」 

伊豆諸島の魚たち

すべて独学。新しい挑戦も

さらに1031さんが追求するのは、造形的なリアルさばかりではない。

「生き物同士の関係とか、誰が誰に食べられるとか、どういう環境にいるかみたいなものは考えて作品に入れるようにしています。例えば、夜にしかいないとか、岩陰にいるような魚は、ちゃんと作品でも岩陰に配置するとか。あとは、食べられる魚を追っている魚を表現して入れてみるとか」

Twitterで多数のいいねを集めた作品「サケの一生」も実際の生態系を表現しているものの一つだ。

「水辺の生き物を作り始めた当初から、何かの一生を表現してみたいという気持ちがあったのですが、最初の頃は技術力がなくて。やっと自分でできるんじゃないかと思えたときに考え付いたのがサケだったんですよ。 

小学生くらいの時にサケの放流イベンがあって、家で卵からサケを育てるみたいな体験が頭の中に強く残っていたので、それでサケを作ろうと」 

職人的なクオリティに見えるが、美大進学という選択肢はなかったのだろうか。

「全くなかったです(笑)美大とかに行く人って、勝手なイメージですが、創作活動をいずれは仕事にしたいとか、なんらかの手段でお金を稼ぐことが絡んでくる気がするんですよ。

その点、僕はただ好きな気持ちで作りたい、完全に趣味は趣味としてやりたいんです」

月に1、2点のペースで作っているが、実は毎回新しい表現にもコッソリ挑戦している。

「コブダイの作品は、紙を編んで鱗を表現しようというチャレンジをした作品で、それが個人的にも新しかったし、上手くいったなと。紙を細く切って、互い違いに合わせるんですが、紙を編む作業だけで1週間くらいかかっちゃいました(笑)」 

ちなみに、こうした「新しい挑戦」となる技術はどれもこれもガイドブックやネット情報などの資料によるものではなく、完全にオリジナルという点も驚きだ。

「幼稚園の頃から工作教室に通っていて、中学校で折り紙をやっていたこともあるかな。まあ、器用な方かなとは思います(笑)」 

コブダイの縄張り
沢のヌシ

設計図からスタートする作品

リアリティを極めた水辺の生き物以外に、独創的で面白いのが「ティッシュネズミ」の世界だ。

「ティッシュネズミは、設計図のようなものを作ってから作品作りをします。建物とか家具とかを作ることが多いので、全部それは設計図を書いて作っています。水辺の生き物系の作品は逆で、何も設計図を書かずに、最初に全部生き物を作った後に、こいつらをどう配置しようかを考えながら、岩なり海藻なりを作って配置していますね。自然物を描くのがもともとあまり得意じゃないからですが(笑)」 

PORTION BAR
階段下の秘密基地

1031(いちまる)さんは数学がもともと非常に得意で、所属学部でも成績上位の“秀才”だ。そうした理系的な知識が立体物の設計に生きているのかと思うが、本人は「関係ないんじゃないですかねぇ(笑)」とあっさり。

「今後手掛けてみたいのは、大きいサイズの作品ですね。僕的には、サケの一生が結構大作だったんですが、ああいう円の作品じゃなくて一面にでかいやつを作ってみたい気持ちはあります。魚系の作品は生き物を全部作ってみないと大きさが決まらないので、どれだけ多くの生き物を登場させるかによって、大きさは変わりますね。 

実物大に近いものになると、膨大な時間が必要になるので、もしそんな時間ができたらやってみたいと思います(笑)」

  • 取材・文オオタアイカ

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