北島三郎もついに…大物アーティストが続々サブスク解禁のワケ
御大・北島三郎が楽曲747曲をサブスクで解禁するというニュースが、年末の芸能ニュースを賑わせました。ちょっとした祭りです。
一定料金で大量の音楽を楽しめるサブスクリション、通称サブスク。アップルミュージックやスポティファイ、YouTubeミュージック、Amazonミュージック、LINEミュージックなどが人気です。
‘21年には大瀧詠一、ZARD、郷ひろみらがサブスクを解禁し話題になりました。‘19年暮れにはサザンオールスターズ、‘18年5月にはMr.Childrenが解禁しています。
「大物も続々解禁している。今もかたくなに配信に消極的で、パッケージにこだわっている大物と言えば、中島みゆきと山下達郎ぐらいじゃないでしょうか」(スポーツ紙記者)
年の瀬に、冒頭の北島がサブスクに打って出ましたが、アーティストがサブスクを解禁する背景はどこにあるのでしょうか。うまみはあるのでしょうか。レコードメーカー幹部は
「音楽はもう儲からない」
と自嘲気味に語ります。
「パッケージは売れない。ミュージシャンを目指す若者も減っている。音楽が儲からないということは、レコード会社も大変、歌い手も作詞作曲家も大変。
そういう状況ですから、売れない過去のヒット曲をそのままにしておくよりは、サブスクで少しでも稼げればというのが経済的思惑で、アーティストサイドには、もっと広く音楽を聴いてほしい、という思いもあるようです」
ガラケーに代わり、高齢者もスマホを持つようになったことも、北島三郎の解禁には影響しているそうです。
「それ以上に期待できることは、配信先の中にはカラオケとして歌える、つまり歌を小さくして音楽に合わせて歌えるように配信されているものがあるんです。これこそが北島三郎の解禁に期待されていることです」(前出・スポーツ紙記者)
“儲からない音楽”の救済策として期待が寄せられるサブスク。CDなどのパッケージより、音楽配信額が音楽を届ける媒体としては世界で最も売り上げを上げている以上、そこに乗らない手はありません。
ところでサブスク、儲かるのでしょうか?
ある関係者が明かしてくれました。
「1曲聴かれて、レコードメーカーに入って来る金額は、0.4円ほど。配信先、アーティストによって多少条件は違うかもしれませんが、ほぼ1円未満です。
ですから、100万回再生されて40万円。これをレコードメーカーや著作権保有者で分配するわけですから、売れなくなったCDの分を補填できるほどの額ではないことは確かですが、じっと何もしないよりはマシです」
作品に対し、客が対価を出します。それによってアーティストが新たな創作活動ができるという循環も、音楽環境の変化で従来通り、とは行きません。生き残るためには、変わらなければならないのです。
音楽関係者から、こんな声を聞きました。
「早くコロナ禍が収束し、ライブをやって物販をする!」
この音楽業界の黄金の法則に期待です。‘22年はコロナが1日も早く収まり、音楽業界にとって飛躍の年になってほしいものです。
- 文:ワタベワタル
- 写真:Motoo Naka/アフロ
夕刊紙文化部デスク、出版社編集部員、コピーライターなどを経てフリーランスのエンタメライターとして活動。取材対象は、映画、演劇、演芸、音楽など芸能全般。タレント本などのゴーストライターとして覆面執筆もしている