たけし、坂上だけじゃない…「重鎮離れ」が進むテレビ局の裏事情 | FRIDAYデジタル

たけし、坂上だけじゃない…「重鎮離れ」が進むテレビ局の裏事情

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今年3月いっぱいで『バイキングMORE』を降板する坂上忍。自ら降りることを申し出たが…
今年3月いっぱいで『バイキングMORE』を降板する坂上忍。自ら降りることを申し出たが…

『バイキングMORE』(フジテレビ系)が今年3月で打ち切りに、またビートたけしが同じく今年3月いっぱいで『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)を降板することが発表された。

『バイキング』MCの坂上忍は、政権や芸能事務所に忖度せずズバズバものを言う姿勢が受けて視聴率も上がっていただけに、残念がるファンは多い。

たけしはあの独特の存在感で、やはり忖度なしの“毒ガス”コメントを飛ばし、隣にいる番組MCの安住紳一郎アナが対応しきれずに苦笑いしている場面が視聴者に受けていた。ただ最近は活舌が悪くなり、安住アナや共演者さえも彼が何を言っているのか理解できていないことが多くなったという。

多くの視聴者もそれを感じていただろう。彼の降板については「番組にそぐわなくなった」、「ギャラの高さがネックになりTBSが“クビ”を宣告した」という報道が多く見られたが、実際のところは坂上と同じくたけし自ら降板を申し出たのだという。

二人の降板理由とは異なるが、実際いまテレビ業界では大御所と呼ばれるタレントたちのリストラが敢行されている。キー局プロデューサーはこう語る。

「コロナの影響は深刻で、テレビ業界も明らかに不況に陥りました。広告費が減額されたことで、当然制作費も減額されています。制作費を抑えるために一番簡単なのはタレントの出演料を削ることです。真っ先に標的になるのは出演料が高く、数字(視聴率)の獲れないタレントです」

特に大御所と呼ばれる人の中には若手に比べギャラが格段に高い人もいて、一人降板するだけで制作費が大幅に浮く場合もあるという。民放各社が大御所のリストラに動く理由がわからないでもない。

だが、前出のキー局プロデューサーによれば、テレビ局が大御所タレントのリストラを進めるのは、テレビ局が目指す新たな方向性も関係しているという。

今年の7月、在阪キー局であるABCテレビの山本晋也社長は今秋終了するクイズ番組『パネルクイズ アタック25』についてこう語っていた。同番組がクイズ番組の草分け的存在としながらも、

「ターゲットを考え、コンテンツも見直さなければならない」

と、46年間も続いた長寿番組の終了させることについて理由を説明し、さらに、

「U49(49歳以下)をターゲットにする。この5年、10代~20代の若い層は、スマホの普及などライフスタイルが変わっている状況。テレビが期待されるメディアであり続けるために届くコンテンツを制作する」

と新たな視聴者獲得方針を発表した。

テレビと切っても切れないのが視聴率。ただ視聴率といっても実はいくつかの種類があり、我々がよく目にする、またほとんどの人が思い浮かべるのが世帯視聴率。これは読んで字のごとし、番組をどれくらいの世帯が視聴しているかを数字にしたものだ。

ほかに個人視聴率やコア視聴率などがあり、数年前から民放各局はコア視聴率を指標とするようになった。コア視聴率とは‘04年頃、日本テレビが他局に先駆けて導入したもので、男女13歳~49歳を重点ターゲットに定義し、その世代がどれだけ番組を見ているか数字で表したものだが、最近はコア視聴率が番組制作の指標となっている。

TBSは‘15年3月から「ファミリーコア」(男女13~59歳)を設定したのだが、昨年4月からさらに10歳若がえらせて「新ファミリーコア」(男女4~49歳)を重点ターゲットにすると発表した。

フジテレビも一昨年10月から「キー特性」(男女13~49歳を設定している)を重点ターゲットに定めている。テレビ朝日は「ファミリー層」(男女13~59歳)を重点ターゲットに定めている。

前出のキー局プロデューサーによれば、

「坂上さんやたけしさんでさえも、『コア層』の視聴者には合わなかったようです。ギャラの件も含めて、そろそろと考えていた時に降板を申し出てくれたことは渡りに船だったんじゃないでしょうか」

そして、大御所リストラの波が押し寄せているのはタレントだけではない。最近ワイドショーなど情報番組に出演しているコメンテーターが男女問わず若い人たちになっていることに気が付いた人は多いだろう。

ワイドショーでコメンテーターを務める人たちといえば、ジャーナリストや評論家などその分野の専門家や、俳優、タレントなど様々だが、舌鋒鋭い論客、辛口、毒舌をウリにしている大御所のジャーナリストやタレントを見る機会がめっぽう少なくなっている。変わって20代、30代の学者やベンチャー企業代表、NPO法人代表、法律家など職種は様々だが、これまでに比べて明らかに若いコメンテーターが増えている。

「うちの番組ではまだ、“重鎮”たちが出演しています。ただ、これまでは番組スタートからエンディングまでスタジオにいて多方面に渡ってコメントしていましたが、今は専門分野に関するコメントをした後は退出するようになりました。

コア層の視聴者は“オジサン”たちが何でもかんでもコメントすることに違和感があるようです。まあ“絵面”もよくないですしね」(在阪キー局プロデューサー)

辛らつな意見や納得できる解説をしてくれる古参のコメンテーターたちではあるが、若年層の人たちには鬱陶しいと思われることもあるようだ。またコロナ禍でスタジオ出演の人数を減らし、一部のコメンテーターがズームなどの“リモート出演”しなければならなくなったことも影響しているというのはワイドショーのスタッフだ。

「年配の方たちはリモート出演を嫌がる人が多いんです。嫌がるというかできないんですね。

やり方を説明してもよくわからないようで、リモート出演を断ってくることがよくありました。それなら若くてこちらの要求に対応してくれる人がいいということになったんです」

しかも最近の若いコメンテーターたちは“重鎮”と同レベルの洞察力、取材力がありコメントも的確で、なおかつ見た目もよく笑顔が爽やかでファミリー層、特に女性には人気があるというのだ。

テレビ離れが進む中で、各局は若い世代の視聴者を取り込もうと四苦八苦しているようだが、今後“大御所リストラ”は多岐にわたって進むだろうと思われる。

『サンデーモーニング』(TBS系)が最後の砦となるのか……。

  • PHOTO島 颯太

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