箱根駅伝 名門・法政と早大「シード権で明暗を分けた意外な理由」 | FRIDAYデジタル

箱根駅伝 名門・法政と早大「シード権で明暗を分けた意外な理由」

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13位でゴールした早大の最終ランナー山口賢助(4年)。3年ぶりにシード権を失った(画像:共同通信社)
13位でゴールした早大の最終ランナー山口賢助(4年)。3年ぶりにシード権を失った(画像:共同通信社)

もう(前が)見えてるから、一気に行くぞ!」

坪田智夫監督からのゲキに、法政大3年の川上有生は軽く右手を上げた。

「これ、いけるなと思った」

レース後、川上は報道陣にこう語っている。東京・大手町のゴール前、わずか1km。最終区を走る川上は東海大4年の吉冨裕太を抜きさり、総合10位となってシード権を勝ち取ったーー。

青山学院大学の圧倒的な勝利で終わった、第98回箱根駅伝。優勝争いだけでなく、注目されたのが翌年も無条件で箱根駅伝に参加できる、10位以内のシード権争いだ。今年もゴール直前まで争奪戦は混沌。最終10位入りしたのは、土壇場で東海大をかわし3年ぶりのシード権獲得となった法大だ。

自身も早稲田大で箱根駅伝に出場した、駅伝解説者の金哲彦氏が語る。

「東海大の吉富選手は(低血糖で)フラフラでしたが、川上選手は良いポジションにつけていました。タスキを受け取った時点では、東海大との差は32秒。かなり厳しい差でしたが、吉富選手のペースが良くないのを察知して一気に抜き去りましたね」

大逆転を生んだ「伏線」

法大のシード権獲得の立役者として川上が注目されるが、前出の金氏は大逆転の裏に「伏線」があったとみる。

「法大は大半の区間で、各選手が10位前後(出場は20チーム)で走っています。最終ランナーの川上の力走が注目されますが、その前を走る選手たち安定した位置を維持してからこそ大逆転が実現できたんです。

今年の箱根駅伝は、青学以外の大学は実力が伯仲。どこが上位に入っても、シード落ちしても、おかしくありませんでした。実力差がない分、ポイントになったのがミスや失敗をしないこと。各区間で突出した順位はありませんでしたが、法大はミスなく最終区までタスキを繋いだのがシード権獲得につながったのだと思います」

川上はレース後、こんな安堵の言葉を残している。

「(シード権が)あるのとないのでは(天国と地獄の差があり)、1年間の過ごし方が変わってくる。来年につながる箱根になりました」

一方、下馬評は低くなかったが総合13位と低迷し、3年ぶりにシード権を失ったのが名門・早大だ。金氏が、意外な敗戦理由を明かす。

「早大の戦略は、先手必勝の逃げ切りでした。往路1区から井川龍人(3年)、中谷雄飛(4年)、太田直希(4年)と1万m 27分台のスピードランナーを序盤にそろえ、先行逃げ切りを図っていた。しかし区間順位は、いずれも16位。14位、13位と順位を上げられませんでした。

彼ら3人だけでなく、早大の選手はいずれも調子が良くなかった。法大と違い、ほとんどが区間下位に低迷しています。これでは、とても上位は狙えない。早大は13度も箱根を制した伝統校です。全国から優秀な選手が集まり、勝つためのトレーニング方法やセオリーを知っている。おそらくチーム全体に影響する、想定外のアクシンデトがあったのでしょう。私が中継解説をしていたNHKは、早大から試合直前のコメントを取れなかったと聞いています。異例なことです」

シード権をなくし予選会からの出場をしいられる早大の相楽豊監督は、試合後、悔しさのにじむコメントを残している。

「選手の足並みがそろわなかった。今の箱根はごまかしがきかない。甘さを捨て、チーム一丸で戦うことからやっていかないと……」

シード権の有無で、天と地ほどの差が出る箱根駅伝。喜びや悔しさを胸に、選手たちは次を見据える。

  • 写真共同通信社

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