来年も箱根駅伝優勝を確信させる青学大「強さの再生産」の仕組み | FRIDAYデジタル

来年も箱根駅伝優勝を確信させる青学大「強さの再生産」の仕組み

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今年は一体どんな指導法を取り入れたのか…!(AFLO)

「2位の順大とは距離にすると約3キロ以上もの差をつけての圧勝だった」(スポーツ紙記者)

第98回箱根駅伝で、2年ぶり6度目の優勝を果たした青学大。2位の順大に10分51秒もの差をつける、大会新記録となる10時間43分42秒。まさに青学大の完勝だった。

「総合3位以上というノルマはクリアしてほっとしているが、青学大は強かった。2位はうれしい半面、優勝には遠かったので悔しさが残る」

昨年7位から2位と大躍進した順大の長門俊介監督は脱帽の様子だった。

大会前、青学大の原晋監督はチームについて「史上最強軍団」と表現し、自信をのぞかせていた。

青学大の圧巻の勝利の要因はどこにあったのだろうか?

「それは、青学大の選手層の厚さ、総合力にほかなりません。箱根駅伝の戦力の指標として、トラック1万メートルのタイムが用いられますが、青学大は今回の箱根駅伝にエントリーした16人(控えにまわった補欠含む)が1万メートル28分台の選手です(男子1万メートルの日本記録は27分18秒75)。

また青学大は、例年、箱根駅伝の登録メンバー16人から外れた選手で、『箱根駅伝0区』と呼ばれる1万メートルの学内の記録会を行っています。この記録会は昨年12月25日に行われましたが、上位3人が28分を記録しました。しかも5000メートルを13分台で走る選手が26人もいます。そんな圧倒的な戦力を誇っている大学は青学大だけですよ。

青学大の2軍が箱根に出場してもシード権(10位以内)は確実と言われています。選手層の厚さは他大学と比べて突出しているのです」(前出・スポーツ紙記者)

原監督は大会前に、

「いまの箱根駅伝は高速駅伝になっている。そのため区間順位2ケタが1人でもいれば優勝から遠ざかる、各区間5位以内で勝負していきたい」と発言していた。

実際、今回の青学大の各区間の順位を見ると、 往路では1区5位、2区7位、3区2位、4区3位、5区3位、復路では6区8位、7区1位、8区2位、9区1位、10区1位と、抜群の安定感を誇った。

「各区間で、まったく大崩れすることなく、まさに原監督の読み通りの展開となった。しかも終盤の9区・中村唯翔、10区・中倉啓敦の両選手は区間1位はもちろん、区間新記録となる快走を見せ、2位以下を大きく引き離した。これは原監督の予想を上回る結果だったと思います。

各大学ならエース級の選手を復路の7〜10区に配置できる、駅伝偏差値の高さは、青学大の絶対的な強さの秘訣だ。今大会、青学大は4年生は2人しか出場していません。来年以降もその無類の強さは続くでしょうね」(大学駅伝関係者)

その一方で、青学大の対抗馬と見られていた、昨年の箱根駅伝王者の駒澤大学は、エースの田澤廉が花の2区を走り区間賞を獲得したが、全体で見ると誤算の連続だった。

「3区の安原太陽が16位と失速して波に乗れなかった。また翌日の復路8区でも1万メートル27分台の期待の2年生・鈴木芽吹が故障の影響もあり区間18位と大ブレーキ。区間によって乱高下の激しいレース展開になり、優勝争いから脱落した」(同前)

まさに今大会の青学大の完全優勝はチームの総合力の賜物といえるだろう。前出の大学駅伝関係者は、加えてこんな指摘をする。

「実は青学大には、駒澤大・田澤や1区で区間新記録を出した中央大・吉居大和、昨年の東京オリンピック3000メートル障害に出場し、7位入賞を果たした順大・三浦龍二のような、大学生ながらオリンピックや世界選手権の日本代表も狙えるようなS級のスーパー選手はいない。ただ、そのような何年にひとりの逸材はいませんが、近年、高校生時点で長距離ランナーとしてはAランク評価の選手たちの青学大人気は高いのです」(同前)

なぜ、青学大に有力選手たちが次々と集まるのだろうか?

「もちろん、青学大はレベルの高い環境で切磋琢磨し選手として成長することができ、毎年、箱根優勝を狙える常勝軍団になったことが大きな要因として挙げられます。原監督が様々なメディアに出ることで、『自分も青学大に行って、この人の指導を受けたい』と思う学生は年々増えています。ただ、それ以外にも有力選手が集まりやすい理由はあります」と、前出の大学駅伝関係者は明かす。

実は、いまコロナ禍の影響もあり、母体企業の業績が低迷する中、規模縮小や廃部を検討する陸上競技部も増えている。

「つまり年々、実業団の門戸は狭くなっているため、大学卒業後に陸上競技の続行を希望しても叶わない選手もいるんです。そのため大学卒業後の進路に悩む選手も少なくない」(同前)

箱根駅伝の盛り上がりとは対照的に、一部のトップクラスの選手を除き、大学卒業後には厳しい現実が待ち受けているという見方もある。

「そうしたなか、大学卒業後は陸上競技から退き、一般企業への就職を希望する選手も少なくない。そのうえで青学大ブランドは、選手たちが一般企業への就職を希望した際にも面接受けが良いなど、絶大の威力を発揮しているようです。これまでにも青学大の元選手たちの中にはメガバンクや大手ビールメーカーや食品会社、地方テレビ局などに就職しています」(同前)

選手たちが将来の不安を感じることなく陸上競技に没頭できる手厚いサポートがあることが、青学大のチーム力の底上げにつながっているのかもしれない。

  • 取材・文大崎量平

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