NHKも立川志の輔らを切り「観ない若者」に媚びるテレビ界の矛盾 | FRIDAYデジタル

NHKも立川志の輔らを切り「観ない若者」に媚びるテレビ界の矛盾

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立川志の輔が司会をするNHK『ためしてガッテン』も3月いっぱいでの打ち切りが発表された

「長寿番組も聖域なく見直します」

昨年末にNHKで行われた定例会見で、正籬聡放送総局長が発したコメントです。

同局の長寿番組『ためしてガッテン!』と『バラエティー生活笑百科』が今年3月で終了することに関しての発言ですが、当たり前すぎる、差しさわりのない決意でした。

「この番組だけは特別、聖域です」

なんて口が裂けても言えるわけがないからです。

NHKだけではありません。民放でも『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(テレビ朝日系)が今春、27年の歴史に幕を閉じます。番組は生ものですから、1クール(3か月)の短命番組もあれば長寿番組もありますが、一般紙の放送記者は

「民放もNHKも、”長寿番組切り”に走っています」

と指摘。こう続けます。

「CMの影響を受けないNHKでも、関係者によれば若者にシフトした番組作りをしていきたい、ということでした。民放はCMを見て、さらに購買してくれる20~49歳をターゲットに番組作りをしていますが、30代、40代になった際に購買層になるために、二十歳前後の視聴者を取り込みたいという本音もあるようです」

この指摘から、面白い図式が見えてきました。

テレビ局は今、テレビを見ない若い人のためにテレビ番組を作ろうとしているのです。これは、なかなかの矛盾です。とはいえ、本当に若者に見てもらえる番組が作れれば、それはテレビ局の勝利になります。

勝算はあるのでしょうか?

「私のようなテレビっ子でも、仕事じゃなければテレビドラマを見なくなった。ネットフリックスで韓国ドラマを見たら、脚本、役者の圧倒的な熱量にはまってしまう。日本のドラマは軽量過ぎる」

そう指摘するのはウェブサイトでテレビ記事を担当するライターです。日本のバラエティーや情報番組に代わる番組は配信されていないのでは?と疑問をはさむと、

「要は、時間のぶんどり合戦なんですよ。ネットドラマに時間を取られれば、他に消費できる時間はない、ということです」(前出・ライター)

ネットフリックス、ディズニープラス、Huluなど動画配信サービスが一生かかっても見られないほどの作品を配信しています。それらは月額制ですが、YouTubeやABEMAなどのタダ動画もありますし、TikTokを見ているだけであっという間に1時間2時間が過ぎていることもざらです。

「でしょ!そんな感じなんですよ、今の若い世代、Z世代とよばれる彼らは、それ以前の世代がテレビとして日常に組み入れていた家電にまるで関心を示しませんからね」(前出・ライター)

日本の広告費は、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会、一般社団法人日本広告業協会、それに民間のメディアのトライアングル内で循環しています。三角形はなかなか倒れません。

いびつになってはいても、倒れません。循環するその広告費を払っているのが、私たち消費者です。

広告のある世界から、私たちが逃れる手段はありません。テレビでも無料動画サイトでも、広告が絡んでいます。唯一、動画配信サービスを利用すれば逃れられます(NHKしか見ない手もありますが…)。

そう考えると、若者のテレビ離れという事態は、若者の広告離れ、という言い方もできるわけです。

そこに民放局がこぞって”長寿切り”に走り、若者向けを狙う理由があります。若者を消費者にしなければならないからです。それが民放の使命なのです。一時、YouTubeでミニマリストの動画が大流行りしましたが、

「テレビの情報番組でその手の企画を出しても通らない。消費を否定するわけですからということを、放送作家に聞いたことがあります」

と前出・ライターが明かします。

同じようにテレビ局は、若者のテレビ離れを検証する番組を組むこともしません(できるのに)。テレビはいつまでもつのかといったことを各方面から問う番組もありません(できるのに)。

もしそのような番組を作ることができれば、それは現実を直視しているということですから、打開策も見つけられるかもしれませんが、そんな特集を組める勇気のある番組制作者の登場を待ちたいところです。

  • ワタベワタル

    夕刊紙文化部デスク、出版社編集部員、コピーライターなどを経てフリーランスのエンタメライターとして活動。取材対象は、映画、演劇、演芸、音楽など芸能全般。タレント本などのゴーストライターとして覆面執筆もしている

  • 写真共同通信

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