「娘をよろしくお願いします」 98歳主人公の「男の美学」に涙 | FRIDAYデジタル

「娘をよろしくお願いします」 98歳主人公の「男の美学」に涙

ドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』拡大公開中

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「ポレポレ東中野」を皮切りに、関西での公開を経て感動の輪をさらに拡大し続けているドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』。信友直子監督のインタビューに続き、映画の舞台でもある広島でお披露目された際の、感動的なひとコマをレポートする。

「本日はお集まりいただきましてありがとうございます。親父でございます」

これは、去る11月18日、広島県呉市の映画館でのひとコマ。認知症になった80代の母を献身的に介護する90代父の超老老介護の日常をありのまま記録した話題のドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』上映後舞台挨拶に登場したのは、監督を務めた信友直子さんの父・良則さん。この日、故郷での公開に合わせて現地入りした娘の応援のため、急遽駆けつけた98歳の“主人公”が深々と頭を下げると、満員の客席からは惜しみない拍手が贈られた。

良則さんは同市内在住。現在も、脳梗塞で入院中の妻・文子さんを見舞いながら暮らしている。大正9年生まれの父は、典型的な日本の父。妻の認知症が判明した当初は、「男の美学がある」として他人の手を借りずひとりで介護を担っていた。

「いちばん不安だったのは、家庭内でふたりが引きこもり状態になっていた頃ですね」と信友監督。しかしが、次第に介護ヘルパーや地域の人々の力を借りて共生への道を歩んでいく姿などが、温かい視線で綴られている。

老老介護が始まってもなお、娘には、自分の仕事を全うせよと伝えている良則さん。映画の公開を誰よりも喜び、日々、近所の人々にチラシを自ら配布するなど宣伝活動に務めている。舞台挨拶の最後には、「わしは98でもう長うないですが、娘はこれからの人生なんで、どうぞよろしくお願いいたします」と再び頭を下げ、観客の笑いと感涙を誘った。

「本当に、いつの間にこんなにいい男になったんだろう? って思いますよ(笑)。私自身は、こうした父の愛に甘えている部分もあるんですが……でも、子どもの側としても、親の介護の後も生きていかなければならない現実はある。介護を通して、家族それぞれの新しい生き方が見えてくることもある。その先を、これからも見つめていきたいと思います」(信友監督)

『ぼけますから、よろしくお願いします。』は東北に続いて九州での公開も決まり、全国35館の予定で順次拡大公開中。感動と共感の輪がさらに広がりそうだ。

『ぼけますから、よろしくお願いします。』 監督/信友直子 製作・配給/ネツゲン フジテレビ 関西テレビ 東京・ポレポレ東中野、広島・呉ポポロシアター、横川シネマ、大阪・シネマート心斎橋、京都・京都シネマで公開中。11/24(土)より愛知・名古屋シネマテーク(初日舞台挨拶あり)、兵庫・元町映画館(同じく)、広島・シネマ尾道、12/1より広島・福山駅前シネマモードほか全国公開予定。

公式サイトはコチラ

  • 取材・文大谷道子

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