バリー・ボンズが語った「2022年の大谷翔平」大活躍の根拠 | FRIDAYデジタル

バリー・ボンズが語った「2022年の大谷翔平」大活躍の根拠

MVPを獲得した昨シーズンを上回る活躍間違いなし! 今季は本塁打王&最多勝のダブル奪取の可能性も バッティング、ピッチング、人気、すべてが規格外

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昨年11月、帰国会見後にジムへ直行した大谷。低酸素環境下でトレーニングできる最先端施設で、3時間ほど汗を流した
昨年11月、帰国会見後にジムへ直行した大谷。低酸素環境下でトレーニングできる最先端施設で、3時間ほど汗を流した

“ショータイム”第2章が幕を開ける。

メジャー4年目の昨シーズンは打者として46本塁打・100打点、投手として9勝2敗と、二刀流を貫いた大谷翔平(27)。満票でア・リーグMVPに選出されるなど歴史に残るシーズンとなった。

だが、大谷の進化はこれで終わりではない。日米の大物元メジャーリーガーや球団関係者への取材から見えてきたのは、彼がまだ発展途上の選手であるという事実だ。今季は、本塁打王と最多勝のダブル奪取の実現すらあり得る、「最強の二刀流」が完成するかもしれない。

バリー・ボンズ氏も太鼓判

昨季は46本塁打を放つも、トップに2本及ばずホームラン王を逃した大谷。しかしMLB歴代1位の通算762本塁打を放ったレジェンド中のレジェンド、バリー・ボンズ氏はその才能を高く評価する。

「大谷のスイングはビューティフルです。ホームランを打つにはヘッドスピードとタイミングとボールとのコンタクトポイントが重要ですが、大谷はインパクトの瞬間、最も大きな力がボールに伝わるように打っています。私の場合は筋肉に裏打ちされたパワーで打っていましたが、大谷は力が足りない部分を技術でカバーしている。素晴らしい」

ボンズ氏は「まだまだ本塁打数は伸びる」と語る。理由は、昨季あれほどの活躍を見せたにもかかわらず、はっきりとした改善点が見えているからだという。

「タイトルを取るためにはコンスタントにホームランを打たなければなりません。しかし昨シーズンは何度かボール球に手を出す期間があった。特に調子が上がらない時期に、焦りからか無駄なスイングが多かった。私がアドバイスをするとすれば『ボール球に惑わされない心の余裕を作れ』ということです。メンタル面を安定させるコツはルーティーンを作ることです。

決められた動作を行うことで、『自分はできる』と確信を持てる。おそらく大谷も平常心を保つための自分のルールは決めていると思います。それを打席の前のルーティーンにすれば、50本以上ホームランを打てる可能性はあります。簡単なことではありませんがね」

タンパベイ・レイズなどで活躍し、現在は独立リーグの福島レッドホープスでオーナー兼監督を務める岩村明憲氏は、大谷のバッティング面には他にも伸びしろがあると語る。

「昨年の最大の収穫は、二刀流のやり方をある程度確立できたことだと思います。シーズンを通してやってみて、力の抜きどころや休み方がわかったことは大きい。昨シーズンの後半戦はホームランを打とうとして全打席引っ張るようになっていました。その経験を元に焦らず、’21年シーズンの前半戦で見せていたようなスイングを続けることができれば、50本塁打が現実になってくると思います」

ボンズ氏は投手・大谷も高く評価。特に自分の調子に合わせて配球を変える投球術と、試合を通じてのペース配分がうまいと語る
ボンズ氏は投手・大谷も高く評価。特に自分の調子に合わせて配球を変える投球術と、試合を通じてのペース配分がうまいと語る

打席数の増加と最強チームメイトの復活

ボンズ氏をして「ビューティフル」と言わしめる大谷のスイング。バッティング技術はすでにトップレベルだ。スポーツ科学が専門の筑波大学体育系准教授・川村卓(たかし)氏が解説する。

「ゴルフのスイングのように下から上にバットを振り上げるバッティングフォームを身につけました。これにより打球を地面に対して30度の角度で飛ばせるようになった。本塁打になる理想の角度です。さらに大谷選手にしかない特長として、上半身の柔軟性が挙げられます。

大谷選手はピッチャーもやっていますから、肩甲骨周りの筋肉がとても柔軟なんです。そのおかげで身体に巻き付くような、しなりの良いスイングをすることができ、効率的に球に力を伝えることができています。二刀流の大谷選手ならではの、唯一無二のスイングと言えます」

スポーツジャーナリストの友成那智氏は、ホームラン王獲得へ、さらなる追い風があると語る。

「鍵を握るのは打席数です。昨季、48本塁打を放ちタイトルを獲得したブルージェイズのゲレーロJr.選手(22)、ロイヤルズのサルバドール・ペレス選手(31)は、大谷より70〜80打席多く打っています。そんな大谷の打席数増加へ、今季ナ・リーグで導入が検討されているDH(指名打者)制がプラスに働く可能性があります。大谷の所属するエンゼルスはア・リーグですが、交流戦の際にこの恩恵を受け、大谷がDHで出場できるようになる。これだけで30打席ほどチャンスが増加します。

また、今季はMLB最強打者と名高いマイク・トラウト選手(30)が怪我からチームに復帰し、大谷の後に控えます。昨シーズンはリーグ最多の20回の申告敬遠を含む96四球を記録するなど勝負してもらえませんでしたが、今季はそう簡単に勝負を避けられません。そうなればホームランを打てるチャンスは増加します」

今季の大谷にとっては、50本の大台すら通過点に過ぎないのかもしれない。

唯一無二のスイングの秘密は下半身にもある。ハムストリングスと臀筋(お尻の筋肉)の使い方がうまいと川村氏は語る
唯一無二のスイングの秘密は下半身にもある。ハムストリングスと臀筋(お尻の筋肉)の使い方がうまいと川村氏は語る

昨シーズン中に完成した超省エネ新フォーム

一方、メジャー通算216勝を記録し、「マウンドの鬼」の愛称で知られた元レッドソックスのカート・シリング氏は、大谷のピッチングをこう絶賛する。

「140キロ中盤〜160キロの速球と、切れのいいフォークボールを自由自在に投げ込める。その才能は本物です。チームの援護を受けられれば、最多勝を獲れる可能性は十分にあります」

故障もあり、苦しんでいたピッチングでも昨季は大きく飛躍した。その背景には、昨シーズン途中に行ったフォーム修正が関係している。

「肘(ひじ)を早く上げることで、ためが少なくなり腕の振りがコンパクトになりました。これにより球威は減りますが、逆に制球力は上がりました。おかげでスライダーやフォークボールが効果的に決まるようになり、投球に幅が出た。昨シーズンは7月ごろからこのフォームを試すようになりましたね。特に9月は四死球も少なく安定していました。

この投球フォームのもう一つの利点は大振りしないためスタミナの消費が少なく、怪我のリスクも少ないことです。今シーズン、完成した新フォームで1年間勝負できるとすれば、勝利数は増加すると思われます」(前出・川村氏)

新フォームと共に、投球術を身につけられれば最多勝も見えてくる。アスレチックスやジャイアンツなどでプレーした藪恵壹氏は、活躍に太鼓判を押す。

「たとえば通算3度のサイ・ヤング賞を受賞したクレイトン・カーショー選手(33)なんかは、テイクバック時にグローブを高く上げるんです。このおかげでグローブがブラインドになり球の出どころがわかりにくくなるので、バッターは本来よりも速く感じるんです。トップ選手は細かい部分まで工夫している。そういう部分も身につけてほしいですね。

ボールはすでに超一流です。チーム事情もありますが、昨シーズン23回だった登板回数が、28〜32回まで伸びてくれば、15勝できると思う。そうなれば最多勝も見えてくるのではないでしょうか」

鋼の肉体を作り上げた徹底した生活管理

もはや課題は「怪我なくシーズンを送れるか」ということだけ。その点も大谷にぬかりはない。そのストイックさには、エンゼルスの球団関係者も脱帽する。

「’18年に渡米してきたときは、専任の管理栄養士に『高たんぱく、低脂質』をテーマに毎月100品を用意してもらい、その中から自分に合った食事を見つけていきました。時には『チョコレートのカフェイン含有量』など成分についてこと細かく栄養士に問い合わせることもあったようです。野球に関わることならどんなことも貪欲に追求する姿勢は、ずっと変わっていません」

結婚や恋愛についても盛んに取り沙汰されているが、大谷は野球のことだけに集中しているようだ。

「練習が終われば球場から15分の自宅に直帰。女遊びにはまったく興味はないようです。怪我のリスクを下げるため、毎日必ず8時間以上、睡眠を取るようにしています。周りもあまりの禁欲生活にビックリしてますよ」(同前)

徹底した生活管理により鋼の肉体を手に入れた。筋肉量が増え、体重も100キロを超えた
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アメリカでも大谷フィーバー新契約は8年総額3億ドル!?

「球団公式ストアでは、Tシャツやタオルなど30種以上の関連グッズを販売していますが、どれも品薄状態が続いています。大谷翔平の名前が漢字でプリントされたレプリカユニフォームはその典型で、シーズン中は、何度入荷してもわずか数時間で売り切れてしまう。2〜3週間待ちの状態が続いていました」

公式ストア関係者がこう明かすように、昨年はアメリカでも大谷フィーバーが吹き荒れた。昨夏のオールスター戦では、大谷グッズが全商品の売り上げ内の28%を占めたという。実力だけでなく、人気も最強の選手へと近づいている。そんなニュースターへ、球団側も破格の契約を用意しているという。前出の友成氏が言う。

「昨年2月に総額約8億9000万円で2年契約していますが、貢献度を考えれば物足りない。まだエンゼルスから新契約の発表はないですが、気の早い球団でしたら8年総額3億ドル(約340億円)で契約更改していてもおかしくありません。ただ、二刀流は怪我のリスクも高いですから、エンゼルスとしては長期契約には腰が引けるかもしれない。短い期間で年俸4000万ドル(約46億円)水準のオファーを出すのではないでしょうか」

以前は「勝てるチームに移籍したい」と語っていたこともある大谷。もし移籍となれば、どのチームが現実的なのか。

「残留が基本線ですが、わずかに可能性があるのはマリナーズです。今でも『任天堂』が球団の株を10%保有しており、日本人選手の補強に積極的です。投手層も厚くなく、二刀流も継続できる。今後の移籍市場の動向にも注目です」(同前)

2月末からはオープン戦が、3月末からはいよいよ’22年シーズンが幕を開ける。投打に成長した”最強の二刀流”が、再びメジャーを席捲する。

’21年シーズンの間、常に人気だったという漢字名入りのユニフォーム。それ以外にもサイン入りグッズは軒並み品切れ状態が続いたという
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サービスボールをキャッチし損ねたファンへ、サインを入れてスタンドへ投げ返すなど神対応でも知られる。試合前でもサインに快く応じる
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「最強の二刀流」へと歩みを進める大谷。メジャー挑戦時に掲げた「(世界で)一番の選手になりたい」という夢に向けて、今年も走り続ける
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『FRIDAY』2022年1月28日号より

  • PHOTO西原 秀(1枚目) 朝日新聞社 アフロ ゲッティイメージズ

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