大量発生中の「ヤバいウニ」をたった一人で駆除し続ける男の戦い | FRIDAYデジタル

大量発生中の「ヤバいウニ」をたった一人で駆除し続ける男の戦い

『スイチャンネル』スイさん (38) 日本各地の海で「ガンガゼ」が大量発生 磯焼けから海を救え!

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実際の駆除風景。一回で200~300匹を駆除するという。周りにはおこぼれでウニの身をもらおうとする魚が群がる

「コンコンコン、カッカッカッ」

心地よい音を海中に響かせながら、トンカチでウニを叩き割るのはYouTubeチャンネル「スイチャンネル」を運営するスイさん(38)。九州地方を中心に、4年ほど前からボランティアでウニ駆除に勤しむスペシャリストだ。高級食材のウニを殺すなんてもったいない! と言いたいところだが、スイさんが駆除するウニは、実は海にとって厄介な存在なのである。

「ガンガゼという種類で、味や匂いのクセが強く、一部の地域を除きほぼ食用にされません。ガンガゼには特筆すべき生態が二つあります。一つは数十匹以上の群れを作ること。二つ目は独特な食性です。ガンガゼは海藻だけではなく、サンゴから魚肉まで食べてしまう超雑食性。食欲もすさまじく、水槽のアクリル板をかじることもあります。大食いのくせに飢餓にも強いウニなのです」(スイさん、以下「 」内は同)

いまガンガゼを始めとしたウニ類が日本各地で大量発生し、「磯焼け」という深刻な問題を引き起こしている。

「磯焼けは”海の砂漠化”と言われ、海底に生える海藻やサンゴの芽をガンガゼに根こそぎ食べられ、岩場がツルツルに磨かれることで発生します。アジやメバルの稚魚、伊勢海老の幼生など海藻を隠れ家とし、岩場で成長する生物が定着しづらい環境となってしまうのです」

スイさんによれば、ガンガゼの大量発生には「人災」の側面もあるという。

「地球温暖化の影響で起きた海水温上昇が原因の一つになっているのです。ガンガゼは本来、鹿児島付近の南の海で暮らす生物でした。それが現在では瀬戸内海など北に生息地を拡大させました。また、本来なら活動が鈍るはずの冬にも海藻を食べるようになってしまった。海中環境が変化する過程で大量発生しただけで、ガンガゼも本来は小型生物のシェルターになるなど海の多様性に欠かせない生物です。生態系を観察しながら適度に数を間引くことが大切。元の海に戻すことは難しいですが、海藻が増えるなど少しずつ、駆除の成果が出ています」

スイさんは今日も海の環境を守るべく、人知れずウニを割り続ける――。

岩場に密集するガンガゼ。食用としてポピュラーなムラサキウニなどと比べてトゲは細長く、激痛を伴う毒を持つ

『FRIDAY』2022年2月4日号より

  • PHOTOスイさん提供

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