メダル超有力の北京冬季五輪「次世代ニュースター」を一挙紹介!
スキージャンプの小林陵侑、女子アイスホッケーの志賀姉妹、 5種目でメダルを狙う・女王・高木美帆、3連覇に挑む羽生結弦まで……
志賀紅音(あかね)(20) アイスホッケー

いよいよ北京冬季五輪の開幕が目前に迫ってきた。2月4日から開幕するが、今回の五輪は次世代のニュースターたちが揃(そろ)っている。
小林陵侑(りょうゆう)(25) スキージャンプ男子

その筆頭がスキージャンプの小林陵侑だ。平昌五輪後に頭角を現し、’18~’19年シーズンには13勝をあげ、日本人初のW杯総合優勝を果たした。今季の年末年始のジャンプ週間でも開幕3連勝し、今季W杯で計6勝(1月18日時点)。最も金メダルに近い男だ。
小林の非凡さを、彼が通っていた八幡平市立松尾中学校(岩手県)のスキー部顧問、永井陽一氏が振り返る。
「入学してきた当初、小林君は身体が小さかったんです。でも運動神経、とくにバランス能力が飛び抜けていました。感心したのは、指導したことをすぐに実践できたこと。飛び出しや空中での姿勢について、ちょっとアドバイスすると、次のジャンプのときにはすぐに改善できるのです」
スポーツライター・折山淑美氏が語る。
「今回使用されるジャンプ台は中国勢以外、誰も飛んだことがないなど、未知な部分があります。ただ彼が普通に自分の力を出し切れば、金メダルを獲れるでしょう」
小林は頂点だけを見据(みす)えている。
志賀紅音(あかね)(20) アイスホッケー
「私の強みはゴールに貪欲に向かう姿勢です。遠い場所からでも、条件が悪くても、ゴールに向かい、得点していきたい。(得点の目標を)何点とは決めず、取れるだけ取りたいです!」
そう語るのは女子アイスホッケー代表「スマイルジャパン」の志賀紅音。紅音と姉の葵(22)の「志賀姉妹」がチームを引っ張る。
女子のアイスホッケーが五輪種目になったのは’98年の長野五輪から。日本代表は前回の平昌五輪で悲願の初勝利をあげた。いまの日本の世界ランキングは6位。高い得点力を誇る紅音らを擁し、初の表彰台を目指す。
「4年間オリンピックに向けて努力してきたので、いまは楽しみな気持ちでいっぱいです。積極的にゴールを狙い、チームの勝利に貢献したいです」(紅音)
ロコ・ソラーレ カーリング

藤澤五月(30)率いる『ロコ・ソラーレ』が五輪の舞台に帰ってくる。平昌五輪では銅メダルを獲得し、「カーリング旋風」を巻き起こした。平昌五輪の男子カーリング日本代表で、藤澤とミックスダブルスで北京五輪予選でもペアを組んだ、山口剛史氏が語る。
「彼女たちの強みはコミュニケーションがずば抜けているところ。カーリングの氷というのは、一試合の中でどんどん変化していく。それを過去の経験などを踏まえて、ストーンの滑りを各自が予測していく。ロコ・ソラーレがいまの形になったのが’16年頃で、チームとして経験を積む中で、氷の理解を互いに共有する方法が確立され、磨き上げられてきた。2大会連続のメダルや、前回五輪以上の結果を残す可能性も十分にあると思います」
高木美帆(27) スピードスケート

前回の平昌五輪で、団体追い抜きでの金メダルを含む3つのメダルを獲得した高木美帆。しかし”氷上の女王”はまだ満足していない。北京五輪では5種目に挑戦し、全種目でメダル獲得を目指す。帯広南商業高校の恩師・東出俊一氏は、その活躍に太鼓判を押す。
「昔から勝つための努力を怠らない子でした。高校3年の2月、ノルウェーでの大会を終え、そのままイタリアで世界ジュニア選手権に挑(いど)もうとしていたときのことです。私はたまたま朝5時に目が覚めたのですが、宿舎から外を見ると、高木が一人で走っているんです。海外で、しかも連戦の疲労もあるのに、早朝の真っ暗な中、白い息を吐いて黙々と走る姿には感心しました。もちろん世界ジュニア選手権は優勝しました。勝つためにあらゆることを怠らない。だからこそ普通では考えられない複数種目の挑戦ができるんだと思います」
たゆまぬ努力で、快挙達成を狙う。
菊池純礼(すみれ)(26) 菊池悠希(31) ショートトラック
個人、混合リレー

「内に秘めたガッツでは悠希が姉妹イチです。高校時代は怪我や体型の変化で思うように滑れないときもありましたが諦めなかった。純礼も見た目とは裏腹に負けん気が強く、気持ちでは誰にも負けません」
共に平昌五輪では届かなかった初のメダルを目指す。
「持ち前の気の強さを活かして上位に食らいついていければ、メダルは見えてくると思います!」(同前)
小平奈緒(35) スピードスケート

500mで連覇の期待がかかるスピードスケート短距離界の絶対女王。’21年12月に行われたW杯第4戦では、平昌五輪で記録した36秒94を超える36秒81をマーク。翌日も36秒76を記録するなど、調子は上向いている。
新濱立也(25) スピードスケート
男子500m
男子1000m

’19年に加藤条治の日本記録を更新した新エースだ。「身長183㎝、89㎏の恵まれた体型を活かしたパワフルなスケートが魅力。五輪初出場のプレッシャーに呑まれなければ金メダルも狙える大器です」(大手スポーツ紙記者)
戸塚優斗(20) スノーボード
男子ハーフパイプ

戸塚優斗は16歳で出場した平昌五輪で手痛い目にあった。着地を失敗して、身体を強打。担架で運ばれた。「練習を重ね、トラウマは消えたようです。4年間の悔しさをバネに戦うでしょう」(スポーツライター・矢内由美子氏)
平野歩夢(あゆむ)(23) スノーボード
男子ハーフパイプ

前回大会の銀メダリスト・平野歩夢は絶好調だ。「昨年12月の大会では世界で初めて『トリプルコーク1440』という大技を成功させました。直近のW杯でも2連勝しています」(前出・矢内氏)。頂点に向けて死角はない。
高梨沙羅(25) スキージャンプ
女子 個人ノーマルヒル
混合団体(出場予定)

高梨沙羅にとって、今回は3度目の五輪となる。’18年の平昌五輪で銅メダルを獲得し、日本女子史上初の快挙を成し遂げた。しかし、その結果に満足せず、平昌五輪後からスタートや助走、テイクオフなどを一から見直し、地道に努力を続けてきた。高梨が通っていた『グレースマウンテンインターナショナルスクール』の池田成二教頭が語る。
「彼女は学校にいたときから、学習面でも基本の繰り返しや、やるべきことをきちんとやる生徒でした。練習やトレーニングでも、基本的なことをおろそかにせず、きっちりやり続けることができるのだと思います。彼女は結果が出たときも、大きなリアクションをするタイプではありませんが、平昌五輪のときは飛び終わった後に小さくガッツポーズをしていました。今回も彼女が満足するパフォーマンスができて、笑顔でガッツポーズしてくれたら嬉しいです」
高梨が目指すのは、金メダルしかない。
鍵山優真(18) フィギュアスケート
男子シングル
団体

次期エース候補として初の五輪に挑む鍵山優真。恩師の星槎(せいさ)国際高校スケート部監督の松下清喜氏が語る。「技の確実性は羽生選手にも引けを取らない。持ち前の負けず嫌いを発揮し、表彰台に上ってほしいですね」
坂本花織(21) フィギュアスケート
女子シングル
団体

昨年のNHK杯と全日本選手権を制して波に乗る坂本花織。強みはパワフルなスケーティングだ。身体を目一杯大きく使ったステップ、スピードに乗った高さのあるジャンプが魅力。勢いそのままに初のメダル獲得を狙う。
羽生結弦(27) フィギュアスケート
男子シングル
団体

五輪3連覇の偉業に挑む日本の絶対エース・羽生結弦。昨年11月には練習中に右足を負傷したことを発表し、グランプリシリーズを全試合欠場したが、コンディションは上向きつつあるようだ。羽生を小学校2年生まで指導した元コーチの山田真実氏が語る。
「昨年末の全日本選手権は、フリーの演技では体力配分に気をつかい、100%ではなく、力を抑えているように見えた。これから練習を重ねていけば、もっとよくなる可能性があります。五輪では完成形が見られるのではないでしょうか」
意欲を燃やす4回転半ジャンプは、専門家によると3回転半より17㎝も高く跳ぶ必要があるという。山田氏が続ける。
「技術や精神力以外にも氷の状態などいろいろな条件が揃わないと到達できない人類にとって未知の領域です。成功するかどうかはもちろんですが、まずは元気に、悔いのないように滑ってほしいです」
北京五輪が王者の集大成となる。
『FRIDAY』2022年2月4日号より
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