悲願の金を狙う高梨沙羅に立ちはだかる「世界一ヤバいジャンプ台」 | FRIDAYデジタル

悲願の金を狙う高梨沙羅に立ちはだかる「世界一ヤバいジャンプ台」

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ライトアップされた北京五輪スキージャンプ会場の河北省張家口にある「国家スキージャンプセンター」。放射線状の光が出ている円盤状の場所は選手の待機所で、そのすぐ下の部分からスタートする(新華社/共同通信)
ライトアップされた北京五輪スキージャンプ会場の河北省張家口にある「国家スキージャンプセンター」。放射線状の光が出ている円盤状の場所は選手の待機所で、そのすぐ下の部分からスタートする(新華社/共同通信)

北京冬季五輪が来月4日に開幕する。日本の金メダル候補といえば、五輪3連覇を目指すフィギュアスケート男子の羽生結弦(27)と、前回の平昌大会銅メダルのスキージャンプ女子の高梨沙羅(25)である。全国紙の五輪担当記者は「羽生は大丈夫でしょう。でも高梨は、今度こそ金と言いたいけど、悪条件が重なって…」と苦戦を予想する。

冬季競技は天候によって勝敗が左右される。屋内のフィギュアと違って屋外のジャンプは試合当日どころか、自分の順番が来たときの風の強さや向きによって順位が決まるケースがある。

「勝負は時の運といわれますけど、今回はかつてないほど風の影響を受けるでしょう。だって、周りに何もない丘の上にポツンとジャンプ台を作っちゃったんだから。タワーの上から滑り出し、まともに追い風や横風を食らったらバランスを崩して転倒する選手が続出するのでは、と心配されています。頭でも打てば選手生命、いや、命にかかわります。高梨は10年以上、欧米や日本のジャンプ台を飛んでいますが、経験したことのない恐怖感だと思いますよ」(全国紙記者)

会場の「国家スキージャンプセンター」は北京から約180キロも離れた河北省張家口にある。外観が中国古代の宮廷で、吉祥の象徴として用いられた器「如意」に似ていることから「雪如意」と名付けられ、国内で初めて国際基準に合格した自慢のジャンプ台である。さすが4000年の歴史を誇る中国らしい名称だが、空飛ぶ円盤が荒野の丘の上に舞い降りたようにも見える。

通常、風の影響をあまり受けないよう、山に囲まれた場所に作られるのが一般的なのだが…。「横風何メートル以内の場所」といった国際基準は特に設けられていないものの、「ポツンとジャンプ台だけ作っちゃった」というコメントは決して誇張ではない。

さて、気象条件はどうなのか。観光ガイド「旅情中国」によれば、乾燥した晴れの日が続き、高梨が出場する個人戦(ノーマルヒル)が行われる2月5日の平均気温は最高が0度、最低がマイナス12度、過去にはマイナス22度を記録したことがあるという。雪はほとんど降らないため、人工降雪機をフル稼働させる。

「雪不足の懸念はありませんが、雪質はどうなのか。どのワックスが合うのかコーチ、スタッフたちは悩むでしょうね、何しろ人工雪ですから。それ以上に風をどうよむかが難しい。この4年間の努力が一瞬の風によって吹き飛ばされる可能性があります。実力通りではなく、まったくノーマークの選手が優勝するという大番狂わせだって十分あり得ます。

それにしても、こんな危険なジャンプ台に国際スキー連盟はよくお墨付きを出しましたよ。アクシデントが起きたら責任問題です」(スキー関係者)

ジャンプの女王として君臨してきた高梨は2014年ソチで4位となり、帰国後「ベストを尽くせず申し訳ありませんでした」と頭を垂れた。4年後の平昌で初めて表彰台に立ったとはいえ、いまだ頂点を極めていない。

今シーズンのワールドカップはわずか1勝、新型コロナウイルス感染拡大のため、日本国内の試合が中止となり、調整が遅れている。21日にオーストリアのインスブルックで勝ったとはいえ、下部大会だった。

長年にわたり、高梨のジャンプを見守ってきたスキー関係者は次のように指摘する。

「飛距離を伸ばすために最も重要なサッツ(踏み切り)のタイミングがとれていません。技術的というよりはビンディング(スキー板に靴を固定させる器具)が合っていない。いろいろ試行錯誤しているのかも」

悲願の金メダルというプレッシャーがのしかかるなか、高梨は超危険なジャンプ台に挑まなければならない。

トップの写真を横から見た写真。右上の円盤状の部分の近辺から左斜め下に滑り、ジャンプする。選手に横風が吹き付けても、さえぎるものが何もないことがわかる(写真:新華社/共同通信)
トップの写真を横から見た写真。右上の円盤状の部分の近辺から左斜め下に滑り、ジャンプする。選手に横風が吹き付けても、さえぎるものが何もないことがわかる(写真:新華社/共同通信)
ジャンプ会場を上空背後から撮影した写真。円盤状の場所がジャンプに挑む選手の待機場所。ジャンプ場を覆うように木が生えているわけではないので、風の影響は避けられない(写真:新華社/共同通信)
ジャンプ会場を上空背後から撮影した写真。円盤状の場所がジャンプに挑む選手の待機場所。ジャンプ場を覆うように木が生えているわけではないので、風の影響は避けられない(写真:新華社/共同通信)
昨年12月11日、スキージャンプの女子 W杯 クリンゲンタール大会(ドイツ)に出場した高梨のジャンプ。一般的なジャンプ場のように山を切り開いて作ると、跳んでいる高梨の背後に木々が見える(写真:アフロ)
昨年12月11日、スキージャンプの女子 W杯 クリンゲンタール大会(ドイツ)に出場した高梨のジャンプ。一般的なジャンプ場のように山を切り開いて作ると、跳んでいる高梨の背後に木々が見える(写真:アフロ)

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