「息子というだけ」レぺゼン地球動画で殺害予告が来たネットの恐怖
《事実誤認に基づく誹謗中傷や殺害予告などを受けるに至りました》
1月18日、メンズ地下アイドル『13月のプラズマ』のメンバー・神宮寺シャイが、自身のツイッター上で『皆様へのご報告とお願い』という文章を弁護士と連名で発表した。そこには冒頭のように、自身に対して殺害予告まで来たことを明かした上で、今後も続くようであれば民事刑事を問わずに法的措置を講じるとしている。
まだ無名に近い若手アーティストがここまで追い詰められた背景には、いったい何があったのか…。
きっかけは昨年6月、人気グループ『レぺゼン地球』のリーダー・DJ社長が「本当のレぺセン地球解散の経緯について」と題する動画を公開したこと。
事務所の実質的な支配権を持ったH氏と経理の行き違いや権利問題などで関係が悪化。DJ社長が役員をクビになり、事務所を飛び出した経緯などを告白した。
その際、レぺゼンのメンバーが、同じ事務所に所属するH氏の息子より給料が安いと主張。その息子というのが、神宮寺のことだった。
公開動画が1000万回再生を超えるなど、ネット上ではカリスマ的な人気を誇るレぺゼン。たとえ名前を出さなくとも、H氏とその息子が特定されるのに時間はかからなかった。
そのときの恐怖を神宮寺は今も鮮明に覚えているという。
「DJ社長さんがYouTube上で件の告白動画をアップしてから、2、3日で僕の身元も分かってしまった。つまり、H氏の息子ということがバレたのです」
そこから、DJ社長と対立構造にあったH氏だけでなく、その息子というだけで神宮寺へのアンチからの攻撃は日に日に増していった。
「“もう終わりだな”とか、“社会的に消えろよ”など、脅し文句が来ました。初めはDMで見知らぬアカウントから10件くらいだったのですが、ツイッターで僕のアカウントを晒されてからは、レぺゼンのファンなどが見つけて、ツイートしてワーっと広まっていって…」
誹謗中傷の数はツイッターだけで2万件を超えた。その他、TikTokやYouTube、インスタグラムなどに寄せられた批判的なコメントも万単位で押し寄せてきた。
「生きている感じがしなかった。恐怖でもあり、不安や怒りという気持ちもありました。きっかけを作ったDJ社長へというよりは、やはりアンチコメントなどを送ってくる人たちに対してですね」
そんな状況に彼はただ黙っているだけではなかった。6月4日には自身のツイッターでウソや事実誤認について反論したのだが…。
「それで誹謗中傷がやむどころか、さらに激しくなりました。でも、全くのウソが広められて、追い詰めるようなDMやリプライが来て、悔しいのとウソが広がっていくのが耐えられなかったんです。
“高額な給料”とか“車とか時計とかを会社の経費で買っていた…”とか、本当に事実と違う。あくまで僕の給料は月10万円でしたし、車や時計は父個人のお金で買ってもらったものですから…。ただ、彼らのファンの方々は10万円とはいえ、レぺゼンの儲けから、そのお金を出しているというのが面白くなかったのかもしれませんね」
そんなDJ社長とH氏の争いも、昨年12月27日に裁判所で和解が成立したことが動画で発表された。そこでDJ社長は
「僕とH氏とのトラブルはもう全て解決しましたので、今後一切、H氏とH氏の息子さんへの誹謗中傷などはやめて頂きたいです」
と話している。
にもかかわらず、神宮寺に対し、いまだにネット上で攻撃する人がいるという。
「今もだいたい10~20人くらいが攻撃してきますね。レぺゼン側とも話がついて終わっているのに、“早くお金返せ”とか“生きててもムダ”“早く辞めろカス”みたいな…。
“なんで僕が攻撃されなきゃいけないんだ”って感情ですよ。ウソでも言った数が大きければ、それが信じられてしまうんだなと。それがネット上では真実みたいになっちゃう。だから、和解しても、まだまだ僕を攻撃する人が10数人いるというのは、そういう事なんでしょう」
ネット攻撃が始まってから、神宮寺は動悸、不眠、食欲不振に悩まされ、体重は7キロも落ちて、40キロ台になってしまった時期も。昨年7月上旬から心療内科に通い始め、2か月後にはPTSDの診断が下った。今も睡眠薬と安定剤を服用しているという。
「関係の無いところに非難の声がいってしまうのが、一番堪えましたね。事務所や家族、メンバーなどに非難のコメントが来ていましたから。ネット上での相手へ殺害予告や誹謗中傷などは、現行法ではなかなか調べることが出来ませんし、捕まったとしても刑は軽い。ですので、彼らは野放しになっているのでしょう。
心療内科の先生からは“原因を取り除くこと。それしかない”って言われました。徐々に良くはなって来ています。寝られるようになりましたし、落ち着いた気分で過ごせる日も増えてきました。ネットとはいえ誹謗中傷は相手の心に大きな傷を残します。1回、相手の気持ちを考えて投稿してほしいです」
YouTubeで行ったDJ社長の告白から始まった今回の騒動。神宮寺は自ら何かした訳ではないのに、何万という誹謗中傷や殺害予告が波のように押し寄せてきた。ネット社会ではいつ、誰の身にも起こり得る“恐怖”なのだ――。
- 取材・文:荒木田 範文(FRIDAYデジタル芸能デスク)