浜辺美波好演も新作医療ドラマが『ドクターX』にはなれない理由 | FRIDAYデジタル

浜辺美波好演も新作医療ドラマが『ドクターX』にはなれない理由

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ファンやスタッフへ笑顔を絶やさず神対応の浜辺。19年1月撮影
ファンやスタッフへ笑顔を絶やさず神対応の浜辺。19年1月撮影

無理な設定も、数えきれないほどの矛盾も、浜辺美波(21)の魅力オンリーで乗り切っている。そんな印象の月曜ドラマ『ドクターホワイト』(関西テレビ放送)だ。

物語は、記憶をなくした謎の女性・雪村白夜(浜辺美波)が、医療ジャーナリストの狩岡将貴(柄本佑)と出会い、病院の診断チームで働くことになる。そして圧倒的な医療知識で誤った診断を正していく、というもの。決めゼリフは、毎回白夜が様々な表情で繰り出す「それ、誤診です」だ。記憶を失っているゆえの無垢な白夜のキョトン顔や、必死に練習している「にーっ」という作り笑顔が天使すぎると、ドラマは予想外の(と言っては失礼だが)好評ぶり。2回の放送を終えて、2ケタ視聴率をキープしている。

さて、このあり得ない設定の医療もの、決めゼリフ、といった要素を聞いて、思い出した作品があるのでは。そう、米倉涼子(46)主演の『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)だ。こちらも絶対に失敗しないフリーランスドクターというあり得ない設定のもと、多くの命が救われていく。そしてやはり、毎回繰り出される決めゼリフがある。もはや誰もが知るところの「私、失敗しないので」だ。

医療ものドラマは、取り上げる病気や、患者の人生模様などを変えていけば、無限にと言っていいぐらい作品を作り続けることができる。『ドクターホワイト』もこのまま好評を博せば、『ドクターX』のようにシリーズ化されることもあり得ない話ではないだろう。

乗り越えるべき「2つの壁」

では『ドクターホワイト』は第二の『ドクターX』になれるか? ドラマに詳しい関係者たちに取材をおこない、2作の違いを探っていったところ、まだまだ『ドクターホワイト』が乗り越えるべき壁は高いことが見えてきた。

その理由の1つは、医療ものストーリーとしてのクオリティにあるという。

「同じあり得ない設定でも、『ドクターX』は難しい手術を成功させる、というのがメインテーマなので、あり得なさもスルーできます。しかし『ドクターホワイト』は誤診を指摘する話なので、そこの面白さが必須です。白夜が見抜く真実の病気は、ビタミンB12欠乏症やエコノミー症候群などが中心で、医療もの好きには『え、その病気で誤診……?』と思ってしまうようなものが多いんです。

しかも、何でもかんでも外科手術にもっていこうとするなど、さすがに視聴者の医療知識を軽く見ている印象がある。ストーリーの緻密さをもう少し追求しないと、浜辺さんや柄本さんの好演をもってしても、やがて飽きられてしまうでしょう」(芸能ライター)

実際、ネット上には「徹夜仕事でエコノミークラス症候群になって死にかけるって、随分強引な展開だなあ……」、「誤診するために無理やり血液検査しなかったりCT撮らなかったり、やー、リアルなさすぎ」といった感想が上がるなど、ストーリー面での不満が強く感じられる。

そしてもう一つの壁は、意外な浜辺の弱みにあると指摘する。

「『ドクターホワイト』は、Twitterのトレンドに入るなどネットに強い層から高い注目を集めています。このことからも、主にドラマを見ているのはネットの得意な比較的若い層、あとは主演の浜辺のファンだと思われます。

一方、『ドクターX』はネットでのバズり方は弱いのですが、視聴率は抜群に高い。これは、ネットには弱い高齢者が多く見ている、という表れ。『ドクターホワイト』も、浜辺の魅力で押し切るにしても、今後1315%の視聴率は欲しいところです。が、頼みの浜辺はNHK大河も朝ドラ出演も皆無に等しい(15年に『まれ』で3話出演したのみ)。高齢層への認知度が低いので、これが足枷となって視聴率が伸び悩む可能性が高いでしょう」(テレビ局社員)

とはいえ、浜辺の主演に関しては「原作の白夜のイメージとピッタリ」、「ドラマはシリアスとコメディが入り混じっていて、コメディエンヌ・浜辺の良さが生かされている」といったポジティブなコメントも多い。今後の改善次第では、十分に令和版・ドクターXとなる可能性は残されている。

  • 取材・文奈々子

    愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター

  • 撮影田中俊勝

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