ポスト渡辺直美のゆめちゃんが明かす「シ・カ・ゴが出来るまで」
直撃インタビュー ミュージカル調の異色ギャグで 芸人の登竜門『おもしろ荘』を制覇!
「自分が優勝するとは夢にも思ってませんでした。本当に信じられないです。『ま・さ・か』です(笑)」
これまで『ブルゾンちえみ』や『ぺこぱ』、『ラランド』ら売れっ子芸人を輩出してきた『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の人気企画『新春おもしろ荘』。若手芸人の登竜門と呼ばれる同企画で今年のチャンピオンとなったのが、ピン芸人のゆめちゃん(28)だ。ミュージカル調の曲に合わせて『シ・カ・ゴ』とボケる「シカゴの女」が放送直後から話題沸騰となっている彼女が、優勝までの10年を振り返る。

「正直、何かの間違いじゃないかといまでも思ってます。『シカゴの女』は1年ほど前にできたネタで、コロナ禍でライブでも思うようにお客さんに見てもらえず、ブラッシュアップができていなかった。『おもしろ荘』のオーディションも手応えは全くなかったので、番組に出られたことすら驚きでした」
芸人になるきっかけとなったのはピン芸人の大先輩、渡辺直美(34)だ。
「高校生のときに渡辺直美さんがブレイクしたんですよ。見た目が似ていることもあって同級生から『マネしてよ』と言われ、『ピカルの定理』に出て来るキャラ、白鳥美麗のモノマネをしていました。ただ、お笑いとしてはコントより漫才が好き。とくに『アンタッチャブル』さんのボケまくるスタイルが大好きで、吉本ではなく人力舎の養成所に入学しました。
ところが入って早々、講師の人に『あなたは漫才に向いてない。というか人力舎っぽくない』と言われて目が点に(笑)」
デビュー当時は同期の女芸人と『デンキスタンド』というコンビを組んで、派手なメイクをし、ギャル語でボケまくるコントをしていたという。しかし日の目を見ることはなく、結成5年目の’16年5月に解散。「心が折れかけた」と言う。
「それからピンになって、ずっとミュージカル調のネタをやっていました。多いときは年100回近く通った『東京ディズニーランド』の影響です。しかし、ずっとウケない時期が続きました。ライブもネタ作りも1人でやらないといけなくなって、クオリティは下がる一方……。絶望でしたね。毎日『クビになるかも』とビクビクでした」
転機になったのは、「シカゴの女」を発案するきっかけとなった、先輩からのアドバイスだ。
「昨年の『R-1グランプリ』に出場したとき、事務所の先輩にネタの相談をすると『見た目がポップなのにネタまでポップじゃダメ。セクシーなものにしたら?』と言われたんです。色っぽいミュージカルで真っ先に思い浮かんだのが『シカゴ』でした。ネタ中のダンスもできるだけセクシーなものにしようと『TWICE』さんの振り付けを参考に猛練習しました。
ただ、ネタよりダンスに磨きをかけすぎたせいか、昨年の『R-1』は2回戦で敗退(笑)。それでもやっていてすごく楽しかったし、新しいキャラクターを確立できた手ごたえがありました。ネタ作りはもちろん、事務所主催のライブでも、自分が何をすべきかが明確になって迷いが消えたからか、ウケるようになっていきました。
そうそう、『おもしろ荘』の優勝を両親に報告すると、いつも『つまらないから早くやめろ』と言っていた母親が、泣いて喜んでくれたんですよ。本心では心配してくれてたんでしょうね。安心させてあげられて本当によかったです」
最後に今後の夢を聞くと、壮大な野望が返ってきた。
「目指すは世界進出! 渡辺直美さんのようなエンターテイナーになって、アメリカに渡り、いつかブロードウェイの舞台に立つのが夢です。でも当面の目標はテレアポとカレー販売のバイトを辞めてお笑い一本で食べていけるようになることです。実家から出て『じ・り・つ』できるように頑張ります(笑)」
ゆめちゃんのお笑いショーは幕を開けたばかり。『ひ・や・く』の年となるか。






『FRIDAY』2022年2月4日号より
PHOTO:結束武郎