感染爆発で荒れる小池都知事 マスコミや国に次々ダメ出しのワケ
小池百合子東京都知事が荒ぶっている――。
オミクロン株の急拡大によって、再び小池都政の手腕が試されているからだ。かねて小池氏は緊急事態宣言の要請について、病床使用率50%を目安に挙げていた。
感染スピードを考えると、それは時間の問題。一部メディアは先走って「都が緊急事態宣言の要請検討か」と報じた。これに小池氏は27日の会見で
「予定稿を流しているようですがそういうことはございません。私がこれから申し上げます」
とピシャリ。その上で
「緊急事態宣言については専門家と意見交換しながら、全体的な医療提供体制などを確認して総合的に検討したい」
と述べた。
マスコミに食ってかかるのは、これが初めてではない。今月14日の定例記者会見でも、会見場に入るなり、すみにいたカメラマン集団に向かって
「ちょっと密じゃないですか! バラけてください」
と苦言。会見中にもしきりに
「密にならないように。間合いをとっていただけませんでしょうか」
と訴えた。
さらにある新聞社が「まん延防止等重点措置の申請見送り」と報じたことに、反発。記者をつかまえ
「なんで今日の1面の見出しは『申請見送り』という見出しになったのですか?」
と詰め寄った。記者が説明しても「ちょっと理解ができない」と首をかしげ
「都にとっても重要。いろいろ意見交換しながら進めていきたい」
と牽制した。
同様の出来事は昨年11月にもあった。東京都議会の所信表明後に取材に応じた小池氏は、会場に入るなり
「密じゃないですか!」
と報道陣を注意。代表取材を担当したテレビ局記者にマイクを向けられると
「あぁ、ワイドショー担当ね」
とニラみつけた。このテレビ局は静養から公務復帰した小池氏に重病説や辞任説をぶつけた記者が在籍する局だった。
「最近は特にピリピリしていますね。意にそぐわない報道には逆質問したり、食ってかかるようになった。お得意の『密じゃないですか!』は半ばアピールみたいなところもあって、カメラが回っている前でしかやりませんね」(スポーツ紙記者)
イライラの対象はマスコミだけではない。国に対しても不快感を隠さない。
爆発的に感染が広がるなか、小池氏は従来通り「不要不急の外出自粛」を求めている。ところが、政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は
「『人流抑制』ではなく『人数制限』というのがキーワードになる」
と発言。小池氏の方針と矛盾したため「一体どっち!?」と混乱を招いた。
これにイラッときたのか、小池氏は21日の会見で
「重要なのは人流と人との接触の機会の削減で、不要不急の都道府県間の移動の自粛は(国の)基本的対処方針に書かれている。尾身先生はそれを超えたことをおっしゃっている。そこは国と尾身先生で整合性を取っていただきたい」
と名指しで批判。続けて
「国からは励ましの言葉をいただいているが、いただきたいのはワクチン、経口薬、中和抗体だ」
と皮肉ってみせた。
小池氏が荒ぶる理由について政界関係者は、
「菅首相のあとを継いだ岸田(文雄)首相も、小池さんに深く関わろうとしない。だから、政府の伝達事項が下りてくるのが遅く『聞いていない』という現象が起きる。
昨年6月に小池さんが過度の疲労で入院した時も、背景には国とのバトルがあり、小池さんは2日間徹夜せざるをえなかった。その時の恨みもある」
と話す。
しかも、休養すれば「重病説」や「辞任説」を流される。
「小池都知事はそれも、永田町にいる自分のアンチが御用記者に書かせたとニラんでいる」(同・政界関係者)
という。
もっか4回目の緊急事態宣言をめぐり、水面下で国との“暗闘”が繰り広げられている最中。小池氏のピリピリムードは当分続きそうだ。
- 写真:つのだよしお/アフロ