在住日本人が明かすミャンマー「恐怖の国軍支配」のヤバイ現実 | FRIDAYデジタル

在住日本人が明かすミャンマー「恐怖の国軍支配」のヤバイ現実

フォトルポルタージュ 携帯は盗聴され、銀行のATMは完全停止、 カメラを構えただけで逮捕の危険、 支配者の背後には中国の存在

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クーデター発生から約1ヵ月後の昨年3月上旬、ヤンゴンで武装した軍・警察とデモ隊が対峙。連日緊迫していた

ミャンマーでクーデターが発生してから間もなく1年が経つ。国軍による弾圧で大規模な抗議デモが抑え込まれ、多数の犠牲者を出して流血の事態となった最大都市ヤンゴンはいま――。

クーデター発生前からその変遷を見つめてきた、ヤンゴン在住の日本人男性A氏が、匿名を条件に取材に応じた。

「街で見かける軍用トラックや国軍兵士の数はクーデター直後に比べて減っていますが、それでも軍の施設や役所には土嚢(どのう)が積まれ、鉄条網の奥では兵士が銃を構えています。ダウンタウンなど人通りの多い場所は7~8割まで人出が戻ってきました。見た目はクーデター前の日常と変わりませんが、内情は違います」

市場や飲食店には庶民の姿が見られるが、その光景はあくまで、「表面的な平穏」を取り戻したに過ぎないという。

街を埋め尽くした大規模な抗議デモは、すっかり鳴りを潜めた。その代わりに現在、行われているのが小規模デモだ。若者たち数人が横断幕を掲げ、「ミャンマーに民主化を」とシュプレヒコールを上げ、数分で解散するというゲリラ的なデモである。昨年12月10日には、国連が定めた世界人権デーに合わせ、出勤や外出を控えて抗議の意思を示す「沈黙のストライキ」も行われた。こうした活動に加え、民主派の若者たちの一部は、国軍に対抗するため武力闘争にも転じた。

民主派は昨年5月、カレン民族同盟(KNU)などの少数民族武装勢力とともに国民防衛隊(PDF)を組織した。若者たちは、KNUの軍事訓練を受け、PDFに参加。国軍との交戦は主に地方で繰り返されたが、いまではヤンゴンにも飛び火し、死傷者が相次いでいるというのだ。A氏が解説する。

「ヤンゴンでも短時間の撃ち合いは頻発しています。PDFの若者たちが警察署に向かって爆弾を投げ、銃撃しています。外出時に爆破現場を通りかかったこともあります。大きな衝撃音が聞こえたので見に行くと、金属片が散乱し、駐車してあった車のドアがへこんでいました」

現地の人権団体『政治犯支援協会』によると、国軍の弾圧による死者は1月22日現在、1493人で、拘束者は1万1737人に上る。なかには「獄中死」した者もいる。A氏の友人のミャンマー人男性も拘束され、刑務所に収監中だ。

「弁護士以外は面会できませんが、担当弁護士から彼の近況を聞くことができました。健康状態に問題はなさそうですが、体重がかなり落ちたようです」

クーデターの影響で、日常生活への制約も多い。外出禁止令(午後10時~午前4時)は現在も継続中だ。街では一眼レフを持ち歩けず、携帯電話での通話は国軍から盗聴される危険性があるため、注意が必要だとして、A氏はこう続けた。

「そんなピリピリした状況なので、飲食店へ入っても、店員の笑顔が少なくなりました。以前だと話し掛けるとニコニコ応じてくれましたが、いまだと『国軍関係者かもしれない』と警戒されますね」

現金の引き出しも不便な状態が続く。銀行のATMは昨年秋、すべての稼働が停止された。窓口に予約して引き出す場合、1週間の上限額が決まっており、日本円で約1万3000円までという。

「その上限額では正直、日本人にとっては厳しいです。ブローカーに頼んでも引き出しは可能ですが、数パーセントの手数料がかかります。だからみんな現金の調達方法には困っていますね。生活面ではほかに停電がひどくなっていますので、非常時のために車のバッテリーを購入しました」

クーデターによる交戦や日常生活への制約がくすぶり続けるミャンマー。欧米は経済制裁を実施し、民主化を推進するが、国軍は動じない。背後にちらつくのは中国とロシアの影だ。

2月1日で発生から丸1年を迎えるが、収束の見通しはいまだに立っていない。

昨年12月10日、国連の世界人権デーに合わせて「沈黙のスト」が行われ、最大都市ヤンゴンの街から人が消えた
昨年3月、犠牲になった若者のために供えられた真っ赤な薔薇。その近くではデモ隊が気勢をあげて行進していた
ヤンゴンで最も人気のショッピングモール『ミャンマープラザ』は、クリスマス間近でも人気(ひとけ)がほとんどなかった

『FRIDAY』2022年2月11日号より

  • 取材・文水谷竹秀

    ノンフィクションライター

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