岐阜の養豚場は567頭を殺処分 豚コレラがヒトに感染する恐怖

豚コレラ感染拡大の原因は野生のイノシシとの説も

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11月16日、2例目の養豚場で石灰による消毒が行われた。この付近でイノシシの感染が確認されている

「’10年に九州で流行し29万頭も殺処分された牛や豚の口蹄疫や、’11年に日本でも爆発的に広まった鳥インフルエンザも、当初は『人間には伝染らない』とされていました。しかし、どちらも海外ではヒトに感染している。豚コレラが人間に伝染らない、とたかをくくるのは危険です」

豚コレラの感染拡大に、こう警鐘を鳴らすのは長崎大学熱帯医学研究所の山本太郎教授だ。

9月9日、岐阜県岐阜市内の養豚場で豚コレラに感染した豚が確認され、同養豚場の546頭の豚が緊急殺処分された。

県が徹底消毒と豚の移動を禁じたことで、落ち着いたかと思った矢先、11月16日に岐阜市内の別の養豚場で再び発生。2例目の養豚場でも即座に全豚の殺処分が行われ、合計567頭もの豚が犠牲になっている。

一頭でも見つかった時点で、即座にその養豚場の豚すべてを殺処分しなければならないほど豚コレラは危険な感染症だ。宮崎大学産業動物防疫リサーチセンターの末吉益雄教授が解説する。

「豚コレラに感染すると早ければ1日、生き延びても1ヵ月でほぼ100%死んでしまいます。感染豚に直接、あるいは鼻汁や排泄物に触れることで感染します。初期の症状が『うずくまり』や下痢なので、他の病気と区別がつきにくく、発見が遅れがちなのも感染拡大の原因です」

豚コレラに感染した豚は、はじめは発熱、食欲不振、うずくまりといった症状を見せ、ついで結膜炎、リンパの腫れ、呼吸障害に陥る。さらに、麻痺、痙攣などの神経障害を発症し、最後は奇声を発しながら暴れまわり、死に至る。

現状、有効な治療法がなく、発見次第殺処分の豚コレラが、人間に感染するような事態になれば、まさに悪夢だ。

鳥インフルエンザも、当初は鳥だけの病気とされていたが、人間の体内に入り込んだウイルスが、遺伝子を変化させて人間に感染する新型へと進化した。豚コレラも、ウイルスがいつ人間の体内に入り込み、突然変異するかわからない。

実は、豚コレラの感染が広まっているのは、野生のイノシシが原因だと見られている。

「9月にイノシシからも豚コレラが検出されたので、県の要請で、24時間体制でイノシシを捕獲しています。すでに50頭の陽性反応が出ている(11月19日現在)。500以上の罠をしかけていますが、今は繁殖期なので行動範囲が広く、捕獲は難しい。温暖化の影響もあり北上しているイノシシも多い。このままでは、野生イノシシを介して豚コレラが日本中に広まらないか心配しています。餌を求めて山を下りてくるイノシシには気をつけてください」(岐阜県猟友会所属の猟師)

感染拡大を食い止めないと、豚コレラが東海から日本全国に広まりかねない。

さらに、豚コレラのウイルスが海外から入り込んだ可能性も指摘されている。

「今回見つかった豚コレラウイルスは’15年に中国で発生したものと似ています。日本にあった豚コレラとは違うことは明らかです。外国人旅行者がいろいろなウイルスを持ち込んでくる。羽田でもアフリカ豚コレラウイルスが見つかっています。観光地に捨てられた生ゴミをイノシシがあさって、感染が拡大した可能性もある。岐阜で起きたことは日本中で起きる危険性があります」(前出・末吉氏)

岐阜でたった1頭から始まった豚コレラが、日本中を恐怖に陥れる。

9月9日、豚コレラが発生した養豚場では全頭の殺処分が決まった
  • 撮影川柳まさ裕(1枚目)写真岐阜県

Photo Gallary2

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