やりすぎ「ふるさと納税」大公開!ピアノ、仏壇、1日町長…… | FRIDAYデジタル

やりすぎ「ふるさと納税」大公開!ピアノ、仏壇、1日町長……

800万円でグランドピアノ、750万円で屋久杉仏壇など、驚きの高額返礼品を一挙公開

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9月、”ブラックリスト”を公表、ふるさと納税の見直しに本腰を入れると発言した野田聖子総務相(当時)
9月、”ブラックリスト”を公表、ふるさと納税の見直しに本腰を入れると発言した野田聖子総務相(当時)

白く光り輝く豪華なグランドピアノ(寄付額800万円〜)、成人男性が着ることもできる「真田幸村モデル」の鎧兜(よろいかぶと)(寄付額380万円〜)、住宅と同じ作りの「わんこ御殿」を我が家の敷地まで大工さんが来て建ててくれるサービス(寄付額198万円〜)……。「ふるさと納税返礼品」は、もはやなんでもアリの状況に突入している。なにせ、100万円寄付してくれれば「町長の椅子」も一日お譲りしますという自治体まであるのだ。寄付額の高額化と返礼品の豪華さは留まるところを知らず、いまや寄付額100万円以上に対する返礼品は500件を軽く超えている。

「現状では、手を替え品を替え寄付金を集めようとする自治体と、それを規制する総務省のいたちごっことなっています。ふるさと納税制度が始まった’08年から、そうした傾向は見られたのですが、そのサイクルが徐々に加速していて、特に今年はすごい。参加する自治体も増えて、いまでは返礼品は無数にあり、出品されたかと思うと1ヵ月後には廃止されていたり。正直言って、私たちも情報を追いかけるのに必死です」

ふるさと納税の活用法を指南するウェブサイト『ふるさと納税ナビ』の内田綾子編集長はこう語る。

年末までに寄付すれば、翌年3月の確定申告で税控除が受けられるとあって、これから12月までは「ふるさと納税」の駆け込み需要が激増する時期。少しでも税収を増やしたい自治体の”悪知恵”比べが始まっている。

ふるさと納税は自治体にとって麻薬のようなもの

ふるさと納税を管轄する総務省は、自治体に対して繰り返し返礼額の規制を通知してきた。その目安が寄付金に対して返礼金額を3割以内とすること。これまで多くの自治体が1万円の寄付に対して5000円の品を返礼に送っていたが、昨年、今年と立て続けに総務大臣通知が出て、「3割超え」の品を出す団体の割合は13.8%にまで低下。また、商品券など地場産品ではない返礼品を出すことも控えるようにと伝えている。

「自治体側はヒット返礼品が出せれば一気に収入がアップする。たとえば昨年iPadや還元率5割の旅行券を出していた佐賀県みやき町は、人口2万5000人あまりの町なのに県内トップの72億円超の寄付受け入れ額がありました。ふるさと納税は麻薬みたいなもので、一度収入額が増えたら、自治体はなかなかやめられない」(全国紙経済部記者)

しかし「高還元率返礼、地場産以外の物品の返礼を控えるように」という通知を無視する自治体に対し、ついに野田聖子総務相(当時)がキレた。9月11日の会見で「ふるさと納税は存続の危機にある」と話し、あわせて総務省は”通知を聞かない自治体”を実名公表。以後も通知に従わない場合は、その自治体への寄付は税優遇対象から外すことも検討する、と警告した。さらに先の会見からわずか2ヵ月後の11月16日には、この2ヵ月間で「返礼品の見直し」をしなかった自治体がどこであるかを再び公表したのだ。

そんな”ブラックリスト”のなかで随一の悪質自治体として名指しされたのが、大阪府泉佐野市である。他の自治体は原材料は他地域産でも加工工場が市内にある、など苦心して”言い訳”をつけている。ところが、泉佐野市は堂々と「静岡の高級メロン」「築地から直送のマグロ」など、泉佐野市といっさい関係ない返礼品を掲載し続けているのだ。しかも、総務省の「見直し調査」に対して、全自治体中唯一、無回答を貫いている。

泉佐野市側にも言い分はある。

「牛肉やカニなど人気の特産品がある自治体ならそれでいいでしょうが、私たちのような自治体は地場産の返礼品を出せと言われても困る。そもそも”寄付金の3割”という基準についても、一方的な通達で議論がなされていません」(泉佐野市担当者)

総務省の警告で、かえって人気に

たしかに、9月の総務省発表までは、高級食材、家電、商品券が人気ランキング上位を占め、自治体からは”三種の神器”と言われていた。ところが、換金性が高いとして家電と商品券は総務省による締め付けが一気に厳しくなり、出品が激減。結局、人気の品種としては高級食材だけが残っているというのが現状で、高級食材が地場産品にない自治体は苦戦を強いられている。実際、ネットなどでは「がんばれ泉佐野市」という利用者からの声が圧倒的なのだ。

『ふるさと納税ナビ』内田編集長が言う。

「総務省に目をつけられても、報告書で公表された自治体が『今月で出品をやめます』と発表することで、逆に(お得な返礼品を出す自治体として)注目が集まり、駆け込み需要が生まれる、という皮肉な構図もあるのです。

また、返礼品競争が過熱する要因の一つとして、今では多数ある『ふるさと納税申し込みサイト』の存在も大きい。どのウェブサイトもいかに自分たちのページから寄付してもらえるかが勝負ですから、人間ドックやドローン講習など、体験型のユニークな返礼品が出てきているのもその影響かもしれません」

先に紹介したグランドピアノを用意している静岡県湖西市の観光交流課担当者は「昨年は金箔をあしらったグランドピアノ(寄付額340万円)が出ましたし、今年すでに寄付額200万円のピアノが2台申し込まれている。需要はあると見込んでいます」と強気の構えを崩さない。

「最初の通知を出してから1年半。もはや『お願い』で通じないのであれば、法改正しかない。具体的には決まっていませんが、年明けの国会に改正案を提出して、3月末までの成立を目指しています。そうすればあまりに高い返礼割合などは控除の対象外にして、是正できますから」(総務省市町村税課)

ここまできたら、制度を廃止しなければ”仁義なき戦い”は終わらないだろう。

福岡県上毛町 寄付額100万円 からあげ100人分出張サービス/中津からあげの店「聖林」が出張して100人前を揚げる(西日本限定)

神奈川県秦野市 寄付額780万円 旅館「陣屋」貸し切り1泊2食つき/将棋の名人戦などで有名な旅館を40名で貸し切りに。(月〜木曜限定)

福岡県大川市 寄付額750万円 屋久杉仏壇/市内の木工業者が製造した屋久杉の仏壇。高さ140㎝でLED照明つき

和歌山県美浜町 寄付額190万円 全自動麻雀卓/和歌山県に本社がある大洋化学の「AMOS REXXⅡ」は100万円近い品

神奈川県鎌倉市 寄付額100万円 鎌倉で和装結婚式/鶴岡八幡宮や神社仏閣での挙式プラン。衣裳や美容、記念写真つき

沖縄県恩納村 寄付額200万円 貸別荘1ヵ月/ビーチから3分、120坪の敷地に立つ30坪の貸別荘を1ヵ月貸し切り

静岡県湖西市 寄付額800万円 グランドピアノ/市内のピアノ工房が再生加工した消音機能つきインテリアピアノ

高知県室戸市 寄付額198万円 杉のわんこ御殿/高知産の杉を使用した一般住宅と同じ作りの犬小屋をオーダー寸法で

福岡県みやこ町 寄付額100万円 一日町長/寄付者を町長として町へ招待(写真はテレビの体験取材風景)

兵庫県多可町 寄付額100万円 ご当地ヒーロー・タカゴールドになれる権/「タカレンジャー」の特別キャラ・タカゴールドに。1日宿泊券つき

北海道美深町 寄付額200万円 美深牛1頭ぶん牛肉/美深町で一貫生産したブランド牛。部位別ブロックを真空パックで提供

長野県白馬村 寄付額100万円 ふるさと納税動画出演権/白馬村で米、特産品などを食べ、アクティビティを楽しむ様子を収録

宮城県岩沼市 寄付額180万円 プライベート花火大会188発/ウルトラスターマイン188発をお好みで。打ち上げ場所は宮城県仙南地域など限定アリ

和歌山県九度山町 寄付額380万円 真田幸村甲冑/時代劇などで使用される甲冑を製作する工房が作る「真田幸村モデル」

「返礼品の基準がなぜ3割なのか」など総務省に真っ向から反対する大阪府泉佐野市。応援する人も多い
「返礼品の基準がなぜ3割なのか」など総務省に真っ向から反対する大阪府泉佐野市。応援する人も多い

  • 写真時事通信、共同通信 返礼品の画像は自治体HPなどより

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