全室温泉、ヒノキ風呂…ドーミーインがスゴイ進化を遂げる理由 | FRIDAYデジタル

全室温泉、ヒノキ風呂…ドーミーインがスゴイ進化を遂げる理由

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

ホテルの中でいわゆる「ビジネスホテル」と呼ばれるカテゴリーがより高級に、プレミアム化する動きが、近年見られる。例えば、大阪のビジネス街、淀屋橋エリアに1月オープンしたホテル「天然温泉 花波の湯 御宿 野乃 大阪淀屋橋」は、客室やフロント、廊下も含めて全館畳張りで天然温泉付き、「まるで温泉旅館」と今、話題のホテルブランドだ。

このブランドを手掛けるのは、全国展開するホテルチェーン「ドーミーイン」をはじめ、学生寮事業やリゾート事業を行う株式会社 共立メンテナンス。「ドーミーイン」シリーズの和風プレミアムホテルとして「御宿 野乃」を運営している。

オフィス街にあって、まるで旅館のような佇まい。「天然温泉 花波の湯 御宿 野乃 大阪淀屋橋」のエントランス
靴を脱いで畳の上でくつろぐことができる「天然温泉 花波の湯 御宿 野乃 大阪淀屋橋」の客室

競合他社でも、大浴場付き施設や朝食に地元産品を使って充実させるなど、ただ泊まるだけにとどまらない宿泊施設が着々と増えている。これらの動きの背景、ほかにもあるコストパフォーマンス抜群で満足度の高いホテルを、ホテル評論家の瀧澤信秋氏に聞いた。

生駒西村温泉から毎日運搬! 最上階13階の露天壺風呂もある大浴場

「御宿 野乃」は2016年に誕生し、東京・浅草、京都・七条など全国8ヵ所に展開する。ビジネスホテルと言われるカテゴリーでは珍しい全館畳敷きで、まず靴を脱いでフロントでチェックインし、畳敷きの廊下を通り、客室も和風インテリアで統一されている。

フロントがあるエントランスも畳敷き。「天然温泉 花波の湯 御宿 野乃 大阪淀屋橋」
廊下も畳張りで温泉旅館風。「天然温泉 花波の湯 御宿 野乃 大阪淀屋橋」

2022年1月11日に開業した「天然温泉 花波の湯 御宿 野乃 大阪淀屋橋」は、「御宿 野乃」ブランドとして大阪ではなんばに続く2ヵ所目。ホテル最上階13階にある大浴場には、宿泊者専用の強冷水風呂、露天壺風呂、打たせ湯、高温サウナなどを完備。泉質は、療養効果が高いとされるラドン温泉で、生駒西村温泉(大阪府四条畷市)の湯を現地から毎日運んできている。男女別でバスアメニティなども若干異なる。

生駒西村温泉(大阪府四条畷市)の湯を現地から毎日運んできている「天然温泉 花波の湯 御宿 野乃 大阪淀屋橋」の大浴場
露天部分にある壺風呂。「天然温泉 花波の湯 御宿 野乃 大阪淀屋橋」
裏には休憩コーナーやマンガも置いてある「天然温泉 花波の湯 御宿 野乃 大阪淀屋橋」の大浴場入口

客室内も畳に直に座ってくつろげるほか、椅子も畳張りで座布団が置かれている。窓はカーテンでなく障子、大浴場にそのまま持っていける湯籠、各種アメニティなどを引き出しなどに収納して“見えない仕様”にするなど、細かい点にもこだわりが見られる。全客室にはシャワーのみ付いている。

さらに、大浴場には豊臣秀吉の馬印だった千成瓢箪、フロントに「堂島米市場」をモチーフにした障子絵などがあり、ホテル近隣にゆかりある歴史を彷彿とさせる。全国のドーミーインで好評のマンガ本やアイスモナカなどが置かれたラウンジに加え、大阪関連の書籍が並ぶコーナーも。朝食では、自分好みの具材を乗せるオリジナル海鮮丼、季節の食材を使った揚げたて天ぷらが特に好評という。

「天然温泉 花波の湯 御宿 野乃 大阪淀屋橋」の外観

チェックイン後に客室へ案内してもらう、上げ膳据え膳や布団敷きなど旅館ならではのサービスはないものの、全館畳敷き、大浴場に天然温泉など、まさに温泉旅館の気分が気軽に味わえるのがいい。どの年齢層や宿泊目的でも利用しやすいと感じた。最新の宿泊施設ならではで、高速Wi-Fiや電源も完備し、ホテル1階にはコンビニエンスストアもある。

ドーミーインは事業開業時(1993年)から、当時まで珍しかった大浴場を設置。共立メンテナンスが寮事業から始まり、社員寮に入居する人から「出張先でも寮のようなサービスがあったら」との要望でドーミーインができたとのこと。通常のドーミーインからさらに進化した「ドーミーインPREMIUM」をベースに、街じゅうで日本文化を感じる旅館スタイルの滞在をとの想いから「御宿 野乃」が立ち上がった。今後いずれのブランドもまだないエリアに拡大予定という。

 

駅前旅館から進化したビジネスホテルは、「ローコスト」「ハイブランド」の二極化へ

そもそも「ビジネスホテル」と言うと、まず“出張マン御用達の宿”といったイメージを抱くだろう。瀧澤氏によると「実は『宿泊特化型ホテル』という表現が正しく、レストランや宴会場などを省いた宿泊のみ提供する施設」とのこと。海外ではこういった宿泊施設はINN(イン)と呼ばれ、日本にある「東横イン」、「ルートイン」、「ドーミーイン」などまさに「イン」というブランド名を持つホテルのイメージとも合致する。

「天然温泉 富山 剱の湯 御宿 野乃」にはヒノキ風呂付きの客室がある(画像:共立メンテナンス)

日本におけるビジネスホテルの発祥は「法華クラブ」といわれているが、業態としては駅前旅館がそもそもの発祥だ。当初は出張客、その後に旅行客も利用し始め、さらに近年ではインバウンド活況とともに訪日客の利用が急増。

「同じエリアに競合するホテルが増えると“差別化”を図る動きが出始め、大浴場付き、朝食が豪華、広い客室など、次第に高級化が進んでいきました」

瀧澤氏によると、ビジネスホテルは大きく「ローコスト」「ハイブランド」の2タイプに分類できるといい、前者は東横インやルートイン、スーパーホテルなど、後者はリッチモンド、ダイワロイネット、ドーミーインなどが該当するとのこと。この差は主に客室の広さ、朝食が無料か有料かなどで、近年、「スーパーホテルPremier」「ルートインGrand」などローコストタイプだったホテルチェーンが“サブブランド”としてより高級なブランドを立ち上げる動きも見られるという。

いくら載せ放題など「豪快盛」は評判高い朝食(画像:共立メンテナンス)

ドーミーインについて、瀧澤氏の評価は高い。「開業当時からほとんどの施設に大浴場があり、しかも基本的に天然温泉。他のホテルも真似る動きが見られ、今でこそ大浴場付きビジネスホテルは増えているものの、朝食の充実ぶりや深夜に無料で提供される『夜鳴きそば』など他にない魅力で圧倒している」

ドーミーイン名物「夜鳴きそば」は宿泊者に無料提供(画像:共立メンテナンス)

 

ホテル評論家イチオシ! 満足度が高い「ご当地小規模独立系ホテルブランド」

ドーミーイン以外にも、全国には満足度が高い宿泊施設があるという。もはやビジネスホテルというイメージに似つかわしくない施設もあるが、瀧澤氏がイチオシするホテルを、いくつか挙げてもらった。

■レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ(愛媛県松山市)

瀧澤氏曰く「ご当地小規模独立系ホテルブランド」と呼ばれるホテルでのおすすめ、その1つが「ベッセルホテルズ」のホテル。広島県福山市に本社を置くベッセルホテル開発は「ベッセルホテル」「ベッセルイン」「ベッセルホテルカンパーナ」などを全国展開する。

「レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ」からの眺め(画像:瀧澤さん提供)

愛媛県松山市に2021年12月開業した「レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ」は、ホテルのコンセプトに「THE STATION」を掲げており、伊予鉄松山市駅に隣接する抜群の立地。加えて、愛媛のご当地グルメが楽しめる朝食、伝統の伊予絣や砥部焼を使ったデザイン、鉄道がコンセプトの客室「伊予鉄ルーム」も。

「レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ」伊予鉄のコンセプトルーム(画像:瀧澤さん提供)

「近くに道後温泉があるにもかかわらず、大浴場やサウナ、貸切可能な家族風呂もある。ホテルと地元企業が一体となり、地域の活性化に貢献するという姿勢も見られる」

「レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ」の朝食。ご当地名物が並ぶ(画像:瀧澤さん提供)

■ホテル ココ・グラン高崎(群馬県高崎市)

また、福岡市が本社のエフ・ジェイ ホテルズが手掛ける「ホテルフォルツァ」は、大分や長崎、博多などで展開。「使い勝手の優れた居心地いい客室」「お客様目線の備品」「地元名物が揃う朝食」などが好評で、現在は大阪、名古屋、金沢、札幌まで進出する。山陰・中国地方などで6施設を運営する「グリーンホテルモーリス」は鳥取市に本社があり、当初からサウナや水風呂などがある大浴場を備え、出張やレジャーなど幅広い年齢層に人気でリピーターも。

「ホテル ココ・グラン高崎」のプレミアム ココスイート(画像:瀧澤さん提供)

さらに、瀧澤氏が「ここまで満足度の高いビジネスホテルは皆無」とまで絶賛するのが、群馬県高崎市にある「ホテル ココ・グラン高崎」だ。炭酸泉露天風呂やサウナのある温浴施設、18平方メートルからの客室全室に高級マッサージチェア、地元民にも人気のレストランでの充実した朝食、さらに最上階のプレミアムを冠するスイートルームにはデッキテラスに露天風呂、テレビ付きジャグジーバスやスチームサウナまで揃うという。

「ホテル ココ・グラン高崎」のラグジュアリーツイン(画像:瀧澤さん提供)

ビジネスホテルと言われる所以は、主に出張のビジネスパーソンをターゲットにしていたのが理由。一方、プレミアム化を図ることで、旅行客も含めあらゆる年齢層、宿泊目的の取り込みも狙う。ニーズが多様化する昨今、利用者にとっても選択肢が増えるのはメリットが大きい。

■記事中の情報、データは2022年2月13日現在のものです。

「ドーミーイン」のウェブサイトはコチラ

ホテル評論家・瀧澤信秋さんのウェブサイトはコチラ

シカマアキさんのウェブサイトはコチラ 

  • 取材・文・写真(特記以外)Aki Shikama / シカマアキ

Photo Gallery16

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事