脱・4年に一度ブーム…カーリング協会が仕掛ける「カーリング沼」 | FRIDAYデジタル

脱・4年に一度ブーム…カーリング協会が仕掛ける「カーリング沼」

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劇的勝利で公式アカウントも「手が震えて上手くツイートできない」状態に

平昌五輪に続き、北京五輪でも激闘を続けるカーリング女子日本代表のロコ・ソラーレ。彼女らの活躍によって、日本でもカーリング熱が再燃し、連日カーリングの話題がニュースなどで取り上げられ、SNSでもトレンド入りするなど、前回以上の盛り上がりを見せている。

2大会連続のメダルに期待がかかるロコ・ソラーレ。「カーリング沼へようこそ!」では現役選手による解説で、毎試合を振り返っている(写真:アフロ)

そんなロコ・ソラーレが活躍を見せている中、にわかにファンの関心を集めているのが「公益社団法人日本カーリング協会」の活動だ。

デンマーク戦の劇的勝利後に公式アカウントによる「ちょっと手が震えて……」というツイートが取り上げられたニュースを見た人も多いのではないだろうか。カーリングの盛り上がりに合わせて、その日本カーリング協会のSNSの公式アカウントや公式YouTubeチャンネルもフォロワーや登録者数が右肩上がりで増加中だ。

思わず手が震えて話題となったツイート。日本カーリング協会公式アカウントより。(C)JCA

そして今、その協会が仕掛けているのが「カーリング沼」なるもの。このカーリング沼は、日本カーリング協会による施策のひとつで、特にYouTubeの日本カーリング協会公式チャンネルで話題のキーワードだ。「カーリング沼へようこそ!」というタイトルで、毎回「スキップ」や「リード」などのカーリングのポジションごとの知られざる役割や魅力、五輪開催中は日本戦の試合の振り返りを、現役のトップ選手も参加してライブ配信で行っている。

2021年9月にロコ・ソラーレと日本代表の座を争ったライバルチーム、フォルティウスの吉村紗也香選手、小野寺佳歩選手、近江谷杏奈選手、船山弓枝選手をはじめ、平昌五輪男子代表の山口剛史選手、両角公佑選手や現男子日本代表チーム、コンサドーレの阿部晋也選手、谷田康真選手、清水徹郎選手、富士急の石垣真央選手、ロコ・ソラーレを立ち上げた平昌五輪銅メダリストの本橋麻里さん、現在は解説者として活躍中の市川美余さんら、日本を代表するカーリング選手が連日出演。

現役選手ならではの視点で、初心者にもわかりやすく丁寧かつ、マニアックな視点も交えた、かゆいところに手が届く解説が評判となっている。

そんな「カーリング沼」の仕掛け人であり、配信番組では司会進行役を務め、公式SNSでの発信も担当するのが公益社団社団法人日本カーリング協会マーケティング委員で、自身も選手として日本カーリング選手権準優勝3回などの実績をもつ岩永直樹さんだ。

SNSにYouTube配信とカーリングの普及に奔走する岩永さんに、今回のカーリングの盛り上がりやカーリング沼の手応えを訊いた。

写真はトップ選手がファンとともに試合の振り返りを行う「カーリング沼へようこそ!」。画面左下が岩永さん。日本カーリング協会公式YouTubeチャンネルより。(C)JCA

ロコ・ソラーレと最後まで代表を争ったライバルチームも積極的にライブ配信に参加

「YouTubeの『カーリング沼へようこそ!』はライブ配信で、チャットコメントも公開しているので、心配も正直ありました。でも、ライブ配信をしてみると、ファンの皆さんのポジティブなフィードがすごく多くて。 

僕が嬉しいのはもちろんですが、出演している選手たちにとってもすごくモチベーションになっているんです。 

特にフォルティウスの選手たちは2021年9月にロコ・ソラーレと日本代表を争ったライバルですが、ロコ・ソラーレが代表になった以上は、日本代表チームの各選手を最大限に応援して、試合後の振り返りも積極的に参加してくれています。 

カーリングという競技を日本で盛り上げることの価値に共感して、楽しんで、使命感を持って、すごく真摯に前向きに取り組んでくれる。 

そこには、盛り上がりによって、自分たちを含めた現役アスリートはもちろん、もっと若い世代の選手にいい環境でプレーできるようになってほしいという思いもあるようです」 

「カーリング沼」を企画したのは岩永さんだが、毎回のテーマや内容は五輪経験者かつ日本カーリング協会アスリート委員でもある山口剛史選手と近江谷杏菜選手にも協力を仰いでいる。

企画内容はもちろんだが、それ以上に現役トップ選手が関わることによって、ゲスト出演する選手が豪華になることも大きなポイントで、ゲストが発表されるたびにコアなファンは大喜びしている。

チームの壁を超えて毎回3~4人のトップ選手が出演できるのは、山口・近江谷両選手の声かけによるもので、その輪が選手同士でも広がってさらに選手を呼ぶ好循環になっているとか。そして、毎回多彩なゲストを招くことで、ファンだけでなく、選手にも相乗効果が出ているという。

「選手間の横のつながりがすごく強くなっていると感じています。中心は山口君と近江谷さんですが、ほかの選手も声をかけられれば快く協力してくれますし、なにより同じ配信内で違うチームの選手同士が共通のテーマについて話すことはとても新鮮なようです」

ライバルチームでもあるロコ・ソラーレの選手の特徴や魅力を伝えるフォルティウスの選手たち(画面左上・左下)。今ではカーリング沼の常連に。日本カーリング協会公式YouTubeチャンネルより。(C)JCA

“脱・4年”のカギを握るのは情報を拡散してくれるファン

まさに選手、協会の“オールジャパン”で普及活動に取り組んでいる中、岩永さんは平昌のときと今回の北京での盛り上がり方について、大きな違いを感じている。それはやはりSNSによる情報の拡散とファンによって作られる交流の輪だ。

「これまで、協会としてはWEBサイトでの掲示やメディアを通じての会見、プレスリリースなどでの情報伝達が主な広報活動でした。 

ファンの方も個々にカーリングを楽しんでいる人が大多数だったのが、平昌五輪後にSNSの公式アカウントを作ったことや“カーリング沼”を用意したことで“一緒に盛り上がる”感覚を持ってもらえるようになったことを実感しています。 

試合結果をツイートすると、それを自分のコメントや感想と一緒にリツイートしてくれたり、YouTubeにチャットコメントを残してくれたり、ファンだけでなく、協会や選手も含めて一体感を持って盛り上がっていますよね」 

こうして、ファン同士が一緒になって盛り上がり、ファンからファンへとさまざまな情報が広がるようになると、初心者ファンの疑問にコアなファンが答えたり、高度なショットを称えたりということが繰り返されるようになっていく。

すると、メディアでも「そだねー」や「もぐもぐタイム」のような内容ではなく、より競技の本質的な部分が取り上げられるようになった。

「YouTubeの視聴回数が増えていることで、競技の中身に興味が集まっていると感じています。僕たちだけでは競技の奥深さを発信できることも限られていますが、競技をわかっているコアファンが増えることで、ファンに競技の本質的な魅力がどんどん広まっていっていますよね。 

協会からの1つの発信がファンのみなさんによって、100倍にも1000倍にもなって広がっていく。もちろん、メディアにも期待をしていますが、それ以上にファンのみなさんが競技の魅力を広めてくれるのは本当に心強いです」

連日日本代表の試合が続く中、Twitterやインスタグラム、YouTubeの動画配信と八面六臂の活躍をしている岩永さんだが、本業は日本企業のアメリカ支社に赴任中の会社員だ。

日本のファン向けにライブ配信をするのは夜の8~10時で、現地時間では早朝の4時~7時になったり、大会の試合結果もリアルタイムで発信したりと、本業と並行する作業や時差をものともせず、なかなかのハードワークをこなしている。岩永さんを動かす原動力はなんなのだろうか。 

「競技者として強化指定選手に選ばれたり、海外合宿の機会をいただいたりしましたが、僕が日本代表として残せた実績はなにもないんです。カーリングに貢献したことより、カーリングから受けた恩の方がずっと大きい。 

カーリングの発展に何か役立てることはないかと考えたとき、僕には会社員としての経験もあり、組織の動かし方などはアスリートよりも経験を積んでいる部分があります。そこに自分が活躍できる場を見出して、なにかを残すことができるかもしれないと思って。カーリングへの恩返しですね」 

かつて五輪のたびに盛り上がるも“4年に一度のスポーツ”と言われることが多かったが、ここに来て、いよいよその人気が定着する段階にあるカーリング。北京五輪をきっかけに、カーリング沼にどっぷり浸かるファンが急増しそうな予感。

■日本カーリング協会公式YouTubeチャンネルはコチラ

  • 取材・文高橋ダイスケ

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