一体何が…!楽天イーグルスキャンプ「消えた吉田沙保里」のナゾ
楽天イーグルスの1軍が拠点を置く沖縄県中部の金武町ベースボールスタジアムでは、2年ぶりに有観客でキャンプが実施された。毎日ファンが訪れにぎわうこのキャンプ地で、ちょっとしたイベントがあった。第2クール初日の2月6日正午ごろ。観覧エリアとなっている三塁側芝生席のファンたちがざわつきだしたのだ。
「多分、絶対そうじゃない?」
「思ったより小さいよね~」
カメラを持つ観客はホームベース付近を望遠レンズでのぞき込み、スマホのカメラを向ける人も。その近くを報道陣が慌ただしく駆け抜けていく。カメラマンだけでなく記者たちも。お目当ての選手を一目見ようと見学に訪れていた女性ファンは、当時の様子をこのように明かした。
「ビブスを着た取材の人たちが通路を走って、グラウンドにいる小柄な女性に一斉にカメラを向けていて。〝吉田沙保里が来てるぞ〟という声が聞こえたので、観客席にいた人たちもそれで気付いた感じでしたね」
この日は、毎年恒例の楽天グループ〝総裁〟三木谷浩史オーナーのキャンプ視察日でもあった。
「毎年のことですが、会長がいらっしゃる日はちょっと緊張した空気になるんです」(球団関係者)
今年も例に漏れず、球団職員はオーナーの受け入れ態勢を万全に整えていたが、予想していない同行者がいた。それが、レスリング女子で五輪3大会連続金メダルを獲得した、あの吉田沙保里だったのだ。
吉田は黒の帽子に黒のブルゾン、黒のパンツというあまり目立たない装い。薄いピンクのマスクが顔のほとんどを覆っていたが、ただならぬオーラは隠し切れない。グラウンド内で練習を見学する様子はJ -SPORTSの生中継でも流れていた。
「三木谷オーナーがアテンドしたようです。打撃練習をベンチに座って見学するなど、かなり楽しんでいたみたいですね」(テレビ局スポーツ担当デスク)
キャンプ中のニュースとして話題性は抜群。当然、楽天球団を取材するスポーツ紙が、吉田の来訪を伝える速報記事をアップした。
ところが、これらの記事が突然、削除されたのだ……。いったいなぜ?
キャンプ地に著名人が訪れることは何ら珍しいことではない。そうした著名人が来訪した場合、各メディアがネット記事やSNSですぐに情報を発信するのが常だ。
では、なぜ今回は記事が削除されるという不可解な事態が発生したのか?
複数のメディア関係者によると、球団広報が現地にいたメディアに対して「吉田さんが来ているのはあくまでプライベートだから、記事化や映像化はしないでほしい。もう出してしまったものについては、今からでもいいので取り下げるように」というお達しを出したというのだ。
そこまで敏感にならなくても…と思うのだが、そこにはある事情があったようだ。
「今年のキャンプはどの球団もコロナ対策として規制を敷いている。楽天は〝12球団で一番〟と自負するほど厳しいルールを設けており、メディアはもちろん、解説者やプロ野球OB、他球団のスコアラーや編成担当者もグラウンド内に一切入れていない。
それなのに、オーナーが了承しているゲストとはいえ、吉田沙保里さんはグラウンドやベンチにまで入って監督や選手と会話をしているわけですから。自ら策定した厳しいルールとの整合性がとれていないことを批判される可能性もある。そうならないように手を打ったのでは」(スポーツ紙デスク)
スポーツ記者やファンの間では「消えた吉田沙保里」として話題になっているこの一件、球団広報に確認したが、期限までに回答はなかった。
著名人の訪問ひとつにも敏感にならなければいけないのがコロナ禍。まもなくオープン戦が始まるが、吉田沙保里の「幻の訪問」が球団にどんな効果をもたらすのか。
写真:AFLO