注目の3ピースバンド羊文学がアニメ主題歌で紡いだ「生と死」 | FRIDAYデジタル

注目の3ピースバンド羊文学がアニメ主題歌で紡いだ「生と死」

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3ピースロックバンドが紡ぐシンプルな楽曲構成ながら、浮遊感のあるサウンドと切なさが入り交じる歌詞が広い世代の心を掴むロックバンド『羊文学』。2021年は『フジロックフェスティバル』などフェスに多数出演、アニメ映画『岬のマヨイガ』に主題歌『マヨイガ』を提供するなど、大きく飛躍した1年になった。現在放映中のアニメ『平家物語』には、主題歌『光るとき』を提供。2021年の振り返りと、2022年の目標を3人に聞いた。

左からフクダヒロア(Dr)、塩塚モエカ(Vo/Gt)、河西ゆりか(Ba)

――羊文学にとって、2021年はどんな1年でしたか?

塩塚モエカ(以下、塩塚):いろんな人がそうだと思うんですけど、2020年と2021年の区切りみたいなものがはっきりなくて。あっという間に過ぎたというか、21年の春先を思い出しても、なにしていたのか、ぼんやりしています。

河西ゆりか(以下、河西):確かに、20年と記憶がごっちゃになることが多いですね。

塩塚:映画『岬のマヨイガ』の主題歌は20年末から21年の頭にかけて、私が原型を作っていて。それをアレンジしてレコーディングして。あと、アニメ『平家物語』の主題歌のタイアップのお話をいただいて、それを夏ぐらいに作っていて、という1年でした。

――コニカミノルタプラネタリウムで上映されるドラマ『流れ星を待つ夜に』の主題歌『ワンダー』の提供も決まりました。

塩塚:そうですね、プラネタリウムの音楽も、今年レコーディングしたり。今までは、CDを出すためにレコーディングしてきたんですけど、最近は作品のために提供する曲を作って録る、という感覚が加わりました。

しかも、これまでは友達や同年代のミュージシャン同士で作ったりしていたのが色々な方の意見が入ってくる。規模の大きい仕事が多くなって、発見が増えました。今までだったら、そこまで詰めなかったような部分も、ぎりぎりまで詰めて曲を作れるようになった気がしますね。

河西:これまでの羊文学は、「塩塚の頭の中の物語」をどう共有して作り込んでいくか、という部分がありました。でも、『マヨイガ』では、3人が同じイメージを(映画の)監督さんからいただいてから作るのが、新しかったです。あとは映画で使われている「色」とか、共有できる情報も多くて。

フクダ:ドラムの演奏で言うと、『岬のマヨイガ』では「『リトル・フォレスト』に影響を受けて撮ったんです」と監督さんに言われました。私は、『岬のマヨイガ』が持つ、母親のような優しさや包容力、強さを意識して、イントロのタイトなフレーズや、サビのやや広がりのある音像を作ったりしました。

――2012年の結成当時からのオリジナルメンバーである塩塚さんは、当時リーガル・リリーのサポートドラムを務めていたフクダヒロアさんを、ツイッターのDMでスカウト。河西は同じくツイッターでのメンバー公募を経て加入し、現在の3ピースが完成したと聞きます。

塩塚:最初は、初対面で2人とも知らない人でした(笑)。しかも、(河西とフクダの)2人は言葉数が少なめなので、「何考えているんだろう」って思っていた時期もありました。

ここ2年間近く、コロナで直接会う機会が少なくなって、オンライン会議をすごくやりました。何も決まらないんですけど、寂しいし暇だから、みんなでリモート会議して。DAWのソフトを画面共有で映して、「どうやったらリモートで遅延なく合奏できるんだろうね」とか試行錯誤しながら(笑)。

少し会える機会が増えて、2人と「ようやく会えたね」みたいになって。こうした時期を経たりして、メンバーとは、年々つながってきている気がします。

――コロナの影響で、ライブハウスでの演奏にさまざまな制約がかけられた2021年。オープンエアでソーシャルディスタンスも取りやすい「屋外フェス」は、例年以上にフォーカスされた年になりました。羊文学は2016年以来となった『フジロックフェスティバル』をはじめ、全国各地のフェスに出演しました。

河西:フェスって外が多いですよね。暗いライブハウスだと、自分の演奏に入り込んじゃうんですけど、フェスって屋外だから、明るいじゃないですか。そうすると、みんなを楽しませたいなっていう気持ちが、演奏ににじみ出るんです。

塩塚:私は、会場に小さい子供がいると、ずっと注目しちゃう。お祭りだよね。

フクダ:フェスとライブハウスでの演奏の違いは、音作りに出ます。ドラムに関しては、スネアをフェスだとよく抜けるような感じにしたり、逆にライブハウスだと、音をふくよかにするためにミュートを工夫してみたり。

――アニメ主題歌『マヨイガ』の別テイクでは、蓮沼執太フィルを客演しての演奏など、バンドサウンドにとらわれない表現スタイルに挑戦しています。あくまでバンドの主体が3ピースにある理由はなんでしょうか。

塩塚:私がはじめてライブハウスに中学生の時に行った時に見たバンドが3ピースで、それがカッコよくて、「やるなら3ピースでやりたいな」とずっと思っていました。

曲も、ごちゃごちゃ作り込んだものより2コードとかでできている曲のほうが好きで、できるだけシンプルに作っていくほうが自分の頭の中でもコントロールしやすいです。3人でありながら「これ3人で出してるの?」っていう音圧を追求するのも好きですね。もちろん、いろいろ実験していきたいとは思っているんですけど

河西:見た目の話になるんですけど、3ピースバンドだとキレイな三角形になりますよね。4人だと、ボーカルがドラムに被っちゃったりして、3人がはっきり見えるのがいいな、って思っていました。

フクダ:もともと、the cabsとか、自分が好きなバンドもみんな3ピースでした。ビジュアル面でもシンプルなところに惹かれるものがあって。3人だけでやってると、誰もサボれないですし(笑)

塩塚:本当は、サボりたい(笑)

――羊文学の書き下ろし曲『光るとき』が、22年1月スタートのアニメ『平家物語』のオープニングテーマに決定しました(現在放映中)。制作の経緯を教えて下さい。

塩塚:『光るとき』は、『平家物語』の脚本をいただいて作りました。平家物語のストーリーはざっくりと知っていましたけど、改めて読むとけっこう重いテーマで。毎日の美しさとか幸せとか、そういうことだけを追い求めたい人たちが戦いに巻き込まれていく歴史がショックでした。

普段の私の歌詞は、日常のウダウダした感情を歌うような部分があって、生と死を目の当たりにしている登場人物に対して、自分の経験から歌詞を引き出していくことはできないと思いました。

せめて戦いで喪われた人々の魂が安らかに眠ってくれるような曲になればいいな、と。『平家物語』のチームの方たちも、「このアニメには鎮魂の気持ちを込めている」とおっしゃっていたので、沿うように作りました。

――『光るとき』のリリースに続いて、2022年の羊文学は何が目標ですか?

塩塚:5月29日から全国ツアーがあるので、それにアルバム制作を間に合わせます。21年はコロナで3ヵ所しか回れなかったけれど、今年は6ヵ所あるので、それまでは淡々と仕事を……って、これは目標じゃないですね。とにかく、アルバムを完成させます。

――最後に、2022年に達成したい「個人的な目標」を教えて下さい。

フクダ:苦手な食べ物が多いんです。チョコレートとか抹茶とか紅茶とか、食べ慣れないものがあるんで……。食べても大丈夫になりたいです。

河西:全身のコリをなくす。(ヘアメイクの)kikaさんに、身体のコリのことをメチャクチャ言われるので。

塩塚:23年に家を買うために貯金する、めっちゃ働く。え、ポップな目標を……?じゃあ、中国語を喋れるようになる!中国語検定に合格する!

(本記事は『FRIDAY』1月21日号のインタビューを再編集したものです)

『マヨイガ』『光るとき』ほか全12曲を収録した羊文学のセカンド・アルバム 『our hope』が4月20日にリリース予定。購入はこちらから。

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