ワリエワ4位の「諸悪の根源」IOCがロシアに弱腰の特殊背景 | FRIDAYデジタル

ワリエワ4位の「諸悪の根源」IOCがロシアに弱腰の特殊背景

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ショートプログラム(SP)1位でのぞんだワリエワはフリーの演技ではジャンプでの失敗が重なりまさかの4位に沈んだ(写真:日本雑誌協会)

昨年末のドーピング検査で陽性反応を示したにもかかわらず、北京五輪への出場が認められたフィギュアスケート女子の15歳、カミラ・ワリエワ(ロシア・オリンピック委員会、ROC)は17日、フリーの演技で2回も転倒するなどミスが重なり、まさかの4位。坂本花織が銅メダルに輝いた。

「五輪ではなくアイスショー」

ワリエワは団体戦に続き、15日のショートプログラム(SP)でも1位となっていて、個人でも1位になる可能性は十分にあった。ただ、国際オリンピック委員会(IOC)はワリエワが3位以内に入った場合、メダルセレモニーを行わないという決定を下す、異常事態の中での決戦だった。ワリエワは結果的にメダルに届かなかったため、「事なきを得た」ようにもみえるが、問題の本質はそう簡単ではない。

「今大会の女子フィギュアは単なるアイスショーに成り下がりました」

冬季五輪の取材経験を持つスポーツライターで国士舘大非常勤講師の津田俊樹氏は国際オリンピック委員会(IOC)を厳しく追及する。

「五輪憲章のオリンピズム(根本原則)で高らかにアンチ・ドーピングを謳っていながら、この件に関してはずっと逃げ腰でした。断固たる態度を打ち出せないスキをしたたかなロシアに突かれ、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に出場容認の裁定を出されてしまった。完全な敗北です」

ワリエワの暫定4位という結果により、メダルセレモニーは挙行されるものの、メダル獲得のために心血を注いできた選手を動揺、落胆させた罪は重い。

トップアスリートはアンチ・ドーピング機関から24時間、365日、監視されているといっても過言ではない。

「深夜に突然、自宅を訪れ尿検体の提出を求める検査員とトラブルになり、警察官が駆け付けるケースさえありました。選手がペットボトルの飲料水を放置して席を離れることなどありません。その間に禁止薬物を混入されるのを警戒するからです。風邪薬一つ服用するにも神経を使います。すべて自己責任、その精神的重圧は半端じゃありません。

バカがつくほど正直に真面目に取り組んでいる選手が大多数の中で、陽性反応が出てもオリンピックの舞台に堂々と立ててしまう。これはフェアプレー精神に反する暴挙と、IOCに怒りの矛先を向けるのは当然でしょう」(津田氏)

では、なぜIOCはロシアを特別扱いするのか。2014年ソチ冬季五輪で検体をすり替えるという極めて悪質なドーピングが摘発され、5人が金メダルをはく奪され、19人の失格者を出した。国家ぐるみと認定されたにもかかわらず、IOCは資格停止処分をあっさり解除、18年の平昌冬季五輪以降「ROC」という名のもとに五輪参加を認めてきた。

「スポーツ大国のロシアを追放すれば飛車角抜きで大会が盛り上がらない、ということでしょう。もちろん、プーチン大統領の威光もあります。中国のようにおカネを出すことはできませんが、得意の情報戦を使ってIOCの奥深くに忍び込んでいます」(津田氏)

ロシアが水面下でかき集めた情報の中に、IOCを震え上がらせるものでもあるのだろうか。それは定かではないが、情報を駆使して結果的に自分たちにとって優位な方向にしむける手法は、旧ソ連の情報機関・秘密警察のKGB出身のプーチン大統領率いるロシアの「得意技」とも言えるだろう。

ロシアのライバルで、莫大なテレビ放映権料を支払っている米NBCは実況中継にワリエワが登場すると、解説者の1998年長野五輪女子金メダリストのタラ・リピンスキー氏はほとんど言葉を発せず「見るべき演技ではない」と切り捨てた。この放送について米紙・ニューヨークポストは「静かなる怒り」と報じた。

ワリエワ・ショックは今後、スポンサーサイドにも及ぶとみられる。IOCがドーピングに毅然たる態度を示せず、中国の人権問題にも甘いとなると、自らにも火の粉が飛んでくるのでは…。企業はイメージを大事にするだけに距離を置くことが予測される。

現在のIOCはテレビ放映権料とスポンサー収入に支えられているが、その屋台骨が揺らぎ、商業五輪を崩壊させるかもしれない。元オリンピアンでもあるIOCのトーマス・バッハ会長は五輪憲章ではなく、ドーピング疑惑をかけられた15歳の少女を結果的に守った。「ぼったくり男爵」の異名を持つバッハ会長の決断によって、水面下で進んでいたスポンサー離れが一気に加速すれば、五輪の地位そのものが大きく低下することは免れないだろう。

演技後、顔を覆うワリエワ(写真:共同通信)
笑顔は一度も見られなかった(写真:共同通信)
得点を聞いて泣き崩れたワリエワ(写真:共同通信)

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