女子パシュート「悲劇の転倒現場」にいたバッハ会長のヒドい反応 | FRIDAYデジタル

女子パシュート「悲劇の転倒現場」にいたバッハ会長のヒドい反応

関係者らと一緒にお忍び観戦を……

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女子パシュート決勝を観戦するバッハ会長。隣の女性との会話に夢中だった。

北京冬季五輪のスピードスケート競技が開催される『ナショナルスピードスケートオーバル』。2月15日の午後5時すぎ、その観客席の一角がにわかに騒がしくなった。お供の男性と、2名の女性選手を引き連れて会場に現れたのは、IOCのトーマス・バッハ会長(68)である。

バッハ会長はゴールが目の前の「一等席」に腰かけた。すぐ近くの観客などは口々に「トーマス・バッハ?」などと噂しあったが、会場の大多数の人々やほとんどの報道陣は気がついていなかった。

この日、ナショナルスピードスケートオーバルでは男女の「パシュート」競技が開催されていた。バッハ会長はお忍びで観戦に訪れたというわけだ。席につくと、上着を脱いで、となりの女性選手に笑いながら話しかけるなど、かなりのリラックスムード。ときおり女性の肩に触れながら談笑するなど、すこぶるご機嫌な様子だった。女子のパシュート決勝の時間が迫り、会場が暗転しても、まだ話し続けていた。東京五輪の際も、今回の北京五輪でも、開会式での話が長すぎると批判が集まったが、根っからの話好きなのかもしれない。

関係者らと記念撮影をするバッハ会長。とにかくご機嫌な様子だった

バッハ会長が現れて15分ほど経ったころ、日本対カナダによる女子パシュート決勝がスタートした。日本は高木美帆、高木菜那、佐藤綾乃の前回大会の金メダルメンバーそのままで臨んだ。準々決勝では五輪新記録を叩き出し、準決勝ではROCに大差をつけて勝利した。この日も日本の3人が組む隊列の美しさは健在で、ラップを重ねるごとに会場からは大きな歓声が起こっていた。

このレースの結末はほとんどの方がご存知だろう。周回を重ねるごとにカナダは日本との差をつめてくる。日本が逃げ切るか、カナダが最後に逆転するのか。ラスト一周の最終コーナーで、僅差のゴールシーンを見逃すまいと会場中の人間が前のめりになったとき、日本の隊列が乱れた。

次の瞬間、一人の選手の身体がリンクを滑り、壁に衝突していく姿が見えた。高木姉妹の姉・菜那がゴールまで残り60mで転倒したのだ。残りの二人は後ろを振り返り、すべてを悟って、膝に手をついたままゴールした。リンク上には、ウイニングランをするカナダチーム、泣きじゃくり、現実を受け止められない日本チームというあまりに残酷な光景が広がっていた。

最終コーナーで転倒する高木菜那。ゴールまで残りわずか60mだった

この3分ほどの間、バッハ会長はなにをしていたのか。競技が始まっても、会長はほとんどリンクを見ない。さすがに隣の女性選手に話しかけるのは遠慮していたが、所在なさげにボーっとしていた。最終コーナーで「悲劇」が起き、会場から悲鳴のような声があがっても、まったくリンクのほうを見ようとしない。カナダチームがゴールし、会場から拍手が起きると、周囲をキョロキョロと見て、「あ、拍手するところなんだ」とばかりに笑みを浮かべながら拍手をしていた。競技終了から15分ほどで、バッハ会長は会場を後にした。

日本チームの転倒は迫りくるカナダを振り切ろうとする過程で起きた。勝利と敗北は紙一重だというスポーツの怖さと本質が凝縮されたような光景を目の前にしても、バッハ会長はまったくと言っていいほど興味を示さなかった。「スポーツを通じてよりよい世界をつくる」ことが目的のIOCの会長が、である。

泣きじゃくる高木菜那を慰める、高木美帆と佐藤綾乃

レース後に取材エリアに現れた妹の高木美帆は気丈に振る舞っていたが、「競技スポーツは結果がすべてなので」と話したとき、わずかに目が潤んだ。年間300日以上をメンバーとともにすごして目指してきた勝利が、すぐそこで手からこぼれ落ちていったという事実の大きさを、自分の言葉で実感しているように映った。

バッハ会長には、政治的な振る舞いばかりで、五輪やスポーツそのものには興味がないのではないかという批判が度々されてきた。このお忍び観戦を見る限り、日本チームの涙やその意味には、一切関心がなさそうだった。

  • 撮影日本雑誌協会(競技)

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