「3月から入国制限緩和」観光目的の旅行はいつから行けるか | FRIDAYデジタル

「3月から入国制限緩和」観光目的の旅行はいつから行けるか

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欧米はほぼ通常通り…

新型コロナウイルスの水際対策での日本入国が、ついに規制緩和される。欧米諸国の多くは、ワクチン接種完了などを条件として入国後の隔離義務を早々に撤廃している。

なぜ、欧米諸国などは旅行客を含む外国人に対する入国規制を早々に緩和したのか。日本との違いはどこにあるのか。さらに、日本人は海外旅行へいつ行くことができるのかなど、諸外国や航空各社の動きなどをもとに、旅行の専門家からも話を聞いた。

岸田文雄首相は、2月17日の会見で日本入国規制の緩和について言及したが…(写真:アフロ)
岸田文雄首相は、2月17日の会見で日本入国規制の緩和について言及したが…(写真:アフロ)

アメリカ・ヨーロッパ:一定条件クリアで「隔離なし」が一般的

2020年春ごろから、新型コロナウイルスによる感染症の拡大で、世界各国が入国規制を行った。ビジネスや旅行、一時帰国を含むすべての海外渡航が、以前のように気軽にできなくなった。

世界の国・地域で当初多かったのは、入国をほぼ自国民に限定し、その入国後に14日程度の隔離、そして入国時や隔離中および隔離後に新型コロナ検査を行って陰性であれば晴れて自由の身、というパターンだ。14日は、WHOによる新型コロナの潜伏期間での最大日数とされていた。

しかし次第に、入国後の隔離義務を、一定の条件を満たすと期間短縮または撤廃する国々が出てきた。

例えば、アメリカ本土では当初から入国後の隔離義務はほぼ任意。大半の外国人は、ワクチン接種済みなのに加え、出発前の新型コロナ検査で陰性であれば入国でき、アメリカ到着後の検査や自主隔離はあくまで推奨だ。ハワイグアムなどは本土と別の入国規制が敷かれている。

2022年2月の成田空港 第2ターミナル出発フロア。搭乗客はまだごくわずか、スタッフのほうが多く目についた
2022年2月の成田空港 第2ターミナル出発フロア。搭乗客はまだごくわずか、スタッフのほうが多く目についた
2021年9月のアメリカ・ロサンゼルス空港 トムブラッドリー国際ターミナル出発エリア。まだ発着便は少ないが、搭乗客はそれなりの数がいた
2021年9月のアメリカ・ロサンゼルス空港 トムブラッドリー国際ターミナル出発エリア。まだ発着便は少ないが、搭乗客はそれなりの数がいた

ヨーロッパ、特にEU圏も、入国後の隔離義務を早々に撤廃。ワクチン接種が完了していれば陰性証明書すら不要で、入国後の隔離義務がない国もある。ただ、隔離が必須でないどの国も「ワクチン接種」が条件であることが多い。2022年2月現在、イギリス、フランス、スイスなどが該当する。

EU圏内の移動でも国によってバラつきがあるものの、ノルウェーではワクチン接種の有無関係なく隔離義務を撤廃している。また、トルコは当初から緩めで、現在はほとんどの外国人が何の規制もなく入国できる。

アジア:厳しい入国規制が継続中。しかし、一部の国では旅行客受け入れの動きも

アジア諸国は、欧米に比べると入国規制が緩和されるペースは遅いようだ。

ただ、タイでは2021年7月から他国に先駆け、プーケット島で「サンドボックス」を実施。ワクチン接種済みの外国人観光客が隔離なしで滞在でき、プーケット島で7日滞在後は一定条件を満たせば、タイ国内の他の地域へ移動できる仕組みだ。さらにタイは中国やマレーシア、インドなどの国々と隔離なしの相互往来を協議中との報道もある。観光産業への依存が大きいタイでは、感染状況が落ち着くまで入国規制を厳格にする「ゼロコロナ対策」よりも、観光再開を優先させた形と言える。

アジアでいち早く、外国人観光客の受け入れを本格再開したタイ(写真:アフロ)
アジアでいち早く、外国人観光客の受け入れを本格再開したタイ(写真:アフロ)

インドも2021年11月から出発前の陰性証明書が必要なものの、入国後の隔離義務は撤廃済み。

マレーシアでは、観光目的ではランカウイ島への「ランカウイ国際トラベルバブル」でのみ入国できる。入国規制に厳格だった台湾も、隔離期間の短縮や外国人観光客の受入再開を優先する緩和方針を先日発表した。

フィリピンはすでに、ビザ免除国を対象に観光目的の入国を許可している。

ただ、中国台湾韓国シンガポールなどその他の国・地域では、厳しい入国規制や隔離義務が残るところもまだ多い。その中でも、規制緩和に向けて徐々に動きつつある。

航空会社:アジア圏の国際線は増便にはまだ慎重姿勢が続く気配

入国後の隔離義務が事実上ない欧米では、航空需要はすでにコロナ前に戻りつつある。一方、アジア諸国などはいまだ厳しい入国規制を敷いているため、運航便の回復は遅れている。

ANAでは、2022年2月14日発表のプレスリリースで、国際線について「新型コロナウイルス感染症の影響により本格的な需要の回復には引き続き一定程度の時間を要すると判断」としている。2022年6月30日までの運航概要として、“運航率”は2月が23%、6月でも24%とまだ増便には慎重な姿勢がうかがえる。

JALも、2022年2月15日発表のプレスリリースでは、国際線の“減便率”が3月71%/4月71%/5月69%/6月70%とし、まだしばらく現状維持の状態が続く。

ANA国際線 2022年2月~6月 運航概要(ANAのプレスリリースより)
ANA国際線 2022年2月~6月 運航概要(ANAのプレスリリースより)

日本に就航する外資系エアラインも同様だ。

フィンエアーは2022年2月17日、夏期スケジュールの運航計画を発表。プレスリリースで「当初の予定から一部路線の減便や就航・再開時期を遅らせる等の調整を行いました」としている。

ユナイテッド航空も、羽田発着のロサンゼルス・ニューアーク・サンフランシスコ、成田発着のデンバー・ホノルルの各路線の再開を3月26日の夏期スケジュール開始時期まで延期済みだ。

ニュージーランド航空は、同国政府による入国制限緩和の方針を受け、ロードマップを公式サイトで公表している。「ニュージーランド市民権および永住権保持者以外で、特定の入国ビザを持たない日本からの一般旅行者のニュージーランドへの入国は、2022年7月からの見込みとなります」とあり、わかりやすい。

ニュージーランド航空の公式サイトより
ニュージーランド航空の公式サイトより

「鎖国」した日本と「開国」を進めた欧米諸国の「差」は…

日本が厳しい入国規制を敷く「鎖国」状態でも、欧米諸国には一定条件はあるものの外国人が旅行目的で「行くことができる」状況だ。

欧米諸国は、「ワクチン接種済み」だと隔離なし、「未接種」だと出発前の陰性証明書および隔離義務とのパターンが多い。EU圏内では、規定回数のワクチン接種済みで発行される「ワクチンパス」がないと、飲食店や公共施設の利用などにも制限がかかる。当初から「ワクチンありき」で入国の規制緩和も進めてきた。

日本でも、2021年7月からワクチンパスポートの発行が始まったが、国内の飲食店などの利用で提示を求められることはほぼない。海外からの入国時、2回接種済みでもしばらくの間、未接種と同じ条件での自己隔離だった。また、感染拡大したデルタなどの変異株が海外から持ち込まれたものだと判明した際、いち早く外国人の入国禁止などを行ったのは、日本政府が世論に配慮したことに他ならないだろう。

旅行専門紙の編集長に聞いた「海外旅行、意外な再開もあり得る」

海外旅行は近い将来どうなるのか。実は今でも、行くことはできる。しかし、帰国後の隔離義務が多くの日本在住者にとっては最大のネックだ。帰国前に現地でPCR検査を受け、日本政府指定の書式で陰性証明書を提出しなければならないなど、コロナ前になかった手間も多い。

入国規制緩和のニュースを受け、海外旅行の今後の見通しについて、「トラベルニュースat」の富本一幸編集長に話を聞いた。

「IATA(国際航空運送協会)による国際線の航空需要が戻る予測が先日、2024年から2026年に延びました。航空便の数が増えないと航空券の価格が高騰したままで、誰もが海外旅行をするのは厳しいでしょう」

横浜港に停泊する「飛鳥Ⅱ」は世界一周クルーズなどで高い人気を誇る。感染対策も万全。2021年8月撮影
横浜港に停泊する「飛鳥Ⅱ」は世界一周クルーズなどで高い人気を誇る。感染対策も万全。2021年8月撮影

その中でも「個人的に思うのは、クルーズ旅行が日本における海外旅行の需要が戻るキッカケになるのでは」と指摘する。

「2020年2月のダイヤモンドプリンセス号での一件で、クルーズ各社は徹底した感染対策を行っています。 

しかも、クルーズ参加者は従来、時間に余裕がある富裕層が多い。バブル方式で寄港地に立ち寄るケースも考えられます。旅行会社にとっても、今は(現地の会社やスタッフが不安定な)ツアーよりクルーズのほうがパッケージとして販売しやすい。 

うまくいけば今年中にクルーズ市場からポストコロナが進み、若年層まで参加者の幅を広げられるかもしれません」

との見込みを語ってくれた。

海外旅行から遠ざかること、2年あまり。日本もやっと「開国」に向けて進みつつある状況になってきた。コロナ前に完全に戻るのはまだまだ先だが、わずかながらも光明が見えてきたと言えるだろう。

■記事中の情報、データは2022年2月22日現在のものです。

■シカマアキさんのウェブサイトはコチラ 

  • 文・写真(特記以外)Aki Shikama / シカマアキ

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