北京五輪「終わってみれば中国がメダル量産」の特殊背景 | FRIDAYデジタル

北京五輪「終わってみれば中国がメダル量産」の特殊背景

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スキー3種目でメダルを獲得した米国出身の谷。カエルの被り物がトレードマーク(画像:アフロ)

「私の最大の目標は、楽しむだけではなく限界を突破すること。とても光栄です。人生が変わりました」

2月18日に行われた、北京冬季五輪女子ハーフパイプ決勝。金メダルを獲得した中国の谷愛凌(18)は、自信たっぷりに記者団へ語った。谷が表彰台に登るのは、ビッグエア(金)、スロースタイル(銀)に次いで3度目。これまで中国が冬季五輪で獲得したスキー競技の金メダルは1つだっただけに、谷は「救世主」として一躍スターになった。

「谷は米国人の父と中国人の母を持ち、03年9月にカリフォルニア州サンフランシスコで生まれました。英語名は『アイリーン・グー』で、米国代表として世界選手権に出場したこともあります。スタンフォード大学でMBA(経営学修士)を取得し、『グッチ』や『ルイ・ヴィトン』などのモデルとしても活躍。スポンサー契約する企業は、30近くになるといわれるんです。

そんな谷が突然、中国国籍を取得したのは19年。北京五輪に出場するためだとし、当時こう説明していました。『(米国でなく)中国のほうが私のホーム』と。中国ではテレビ番組やCMに引っ張りだこの超人気者です」(スポーツ紙担当記者)

2月20日に閉幕した北京五輪。開催国のメリットも影響したのか、中国はこれまでで最も多いメダルを獲得した。金メダルは、過去最多の10年バンクーバー五輪(5個)を大きく上回る9個。総メダル数は、同大会と06年のトリノ五輪(11個)から15個と躍進したのだ。

「要因の一つが、谷ら外国からの帰化選手の活躍でしょう。谷が専門の、スキーだけではありません。アイスホッケーの男子代表チームは、25人中15人が米国やカナダなどの出身者です。

米国シカゴ出身のジェーク・チェリオス(31)は、北京五輪直前に名前を変更。漢字で『傑克・凱利奥斯(ジエク・カイリオス)』にしました。チェリオスの父クリス氏は、北米プロアイスホッケー『NHL』で殿堂入りした名選手だった。またアイスホッケー女子代表も、23人中13人が外国にルーツを持っています」(同前)

結果が出なければ……

米国代表として世界選手権に出場したこともある谷(画像:アフロ)

帰化した選手が、中国で一様に賞賛されるわけではない。結果を出さなければ、必要以上のバッシングを受ける。非難の対象となったのが、女子フィギュアスケート選手の朱易(19)だ。

「米国ロサンゼルス出身で、18年に中国国籍を取得しました。しかし2月6日に行われた団体戦ショートプログラムでは、ジャンプで転倒するなどのミスを連発。中国は、参加10ヵ国中最低の47・30点に終わったんです。

翌7日のフリーでも精彩を欠き、最下位に。朱が中国語を片言しか話せないこともあり、ネット上で激しく批判されました。『恥さらし』『なぜ中国生まれの選手を代表にしなかったのか』『コネによる選出だろう』と」(スケート連盟関係者)

習近平国家主席は、「中華民国の偉大な復興」のために「体育強国」の実現を掲げている。海外の有力な選手の国籍所得も、その一環なのだろう。だが、負の部分もある。女子フィギュア団体戦が終わると、英国紙『デイリーメイル』はこう報じた。

〈米国籍から中国籍となったフィギュアスケート選手が、異常なバッシングにさらされている。中国は北京五輪のために、少なくとも12人の帰化選手を準備した。その対応には格差があり、朱は中国語を満足に話せないからという理由で批判されていた。他国での五輪より、強いプレッシャーを感じていただろう〉

もちろん多様なバックグラウンドをもつ人々が、スポーツ競技に参加するのは素晴らしいことだ。だが結果が出ない、母国語が話せないからという理由で、選手が批判の対象となった中国の事例は問題だろう。今後の大会でも課題として残りそうだ。

モデルとしても活躍する谷。20年春夏「パリコレクション」での1枚(画像:アフロ)
米国出身のフィギュア選手・朱は本番でミスを連発。バッシングを浴びた(画像:共同通信社)
演技後、泣き崩れる朱(画像:共同通信社)
  • 写真アフロ 共同通信社

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