ロシアドーピング問題 女子フィギュアと中国「馬軍団」の共通点 | FRIDAYデジタル

ロシアドーピング問題 女子フィギュアと中国「馬軍団」の共通点

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ドーピング疑惑が浮上したワリエワ選手と彼女を指導してきたエテリコーチ
ドーピング疑惑が浮上したワリエワ選手と彼女を指導してきたエテリコーチ

失格問題や疑惑の判定など、相次ぐゴタゴタに揺れた北京五輪。なかでも、フィギュアスケートは団体戦のメダル授与式が延期となった。

「国際オリンピック委員会(IOC)は、団体戦で暫定3位だった日本選手に配慮し記念品を贈呈した。ですが、肝心のメダル授与式がいつになるのか、まったく不透明な状況です」(スポーツ紙デスク)

理由はもちろん、ロシア・オリンピック委員会(ROC)代表で15歳のカミラ・ワリエワのドーピング違反問題だ。

「スポーツ仲裁委員会(CAS)は個人戦出場を認めましたが、禁止物質以外にも2種類の薬物(ともに禁止物質ではない)が検出されたという報道が流れるなど、先行きが見えません。

個人戦では、ワリエワがまさかの4位となり、無事に表彰式こそ行われましたが、銀メダルだったROCのアレクサンドル・トルソワがコーチのエテリ・トゥトベリゼ氏の祝福を拒絶し、『みんな知っているのよ!』と意味深な言葉を投げつけた。その映像が残っているだけに、事態は深刻です」(前出・スポーツ紙デスク)

ワリエワ選手サイドが陽性反応の理由として、『心臓疾患を抱える祖父と同じグラスを使ったと主張している』という旨の報道もまた、信ぴょう性を疑われているそうで、

「医師や専門家からは『あり得ない』『信じ難い』という話が聞かれます。同時に、ROCが団体戦のSP(ショートプログラム)とフリーで、ワリエワだけを起用した理由についても、『(金メダルの)アンナ・シェルバコワと(銀メダルの)トルソワのドーピング違反の発覚を恐れたのではないか』という憶測まで聞かれ始めています」(スポーツライター)

組織ぐるみの疑惑ともなれば、事態はより深刻化しそうだ。

「真っ先に思い出されるのが、中国の『馬軍団』ですね。’93年に陸上長距離で馬俊仁コーチが率いる陸上長距離の女子チームが世界記録を連発。特に女子3000メートルの世界記録はいまだに抜かれていないし、3位までが『馬軍団』で占められている。

翌’94年、広島アジア大会で競泳チームの組織的ドーピングが発覚したこともあり、国際陸上競技連盟(IAAF)も度々、抜き打ち検査を試みるが常に『陰性』。エースの王軍霞さんは’96年のアトランタ五輪(米国)の女子5000メートルで金メダルを獲得した」(前出・スポーツ紙デスク)

ところが、’00年シドニー五輪直前、中国オリンピック委員会は馬軍団を含む27人の選手を代表から外した。

「組織ぐるみのドーピング疑惑を持たれたことで、8年後の北京五輪開催を見据えて、本格的なドーピング撲滅に舵を切ったと言われた。馬コーチは陸上界から追放されましたが、それにしてもドーピング疑惑が若い女子だったというのも、エテリコーチと似ていますね」(前出・スポーツ紙デスク)

この「馬軍団」のドーピング疑惑は、’16年2月に再燃していた。

「元エースの王軍霞さんが組織的なドーピングを告白し、9人のチームメートとともに署名された手紙の存在が分かり、国際陸連が事実関係の調査に乗り出したと、香港紙の『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が報じた。ちょうど、ロシアによる組織的なドーピングで陸上界が揺れていたころでしたね。

王さんの『私たちは人間であって機械じゃない。家畜なんかじゃない』という悲痛な叫びや、手紙の日付が’95年3月28日だったことで、ドーピング問題の根深さを思い知らされました。銀メダリストのトルソワがコーチにぶつけた『みんな知っているのよ』という言葉と、何かリンクしている気がしてしまいます…」(前出・スポーツ紙デスク)

ロシアのドーピング問題の陰に隠れた感じだが、北京五輪開催中には東京五輪陸上男子400メートルリレーで英国チームがメンバー1人のドーピング違反で失格し銀メダルを剥奪されている。

「国際スポーツ仲裁裁判所(CAS)が18日に発表したもので、昨年8月6日が決勝だったので約半年後の裁定ということになります。今回のフィギュアスケート団体戦のメダル確定となると、ワリエワが未成年ということもあり、もっと長引くと見られています」(前出・スポーツライター)

フィギュアスケート女子にしても、組織的なドーピングと認定されれば、’10年バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央以来となる12年ぶりの表彰台に上った坂本花織のメダルの色が変更になる可能性もあるという。

「ROC代表の3人娘は『エテリ組』と呼ばれるようにコーチのエテリ・トゥトベリゼ氏の教え子ですからね。チームスタッフには過去にドーピングに関わった関係者が同行していたという話もあり、こちらも注目です」(前出・スポーツライター)

ただ、ドーピング違反による失格確定までには、長い歳月が流れるケースも。

「’08年北京五輪の陸上男子400メートルリレーの日本代表チームは、日本男子短距離界初のメダルを獲得。それから10年して、上位チームのドーピング違反が確定し、’19年5月に新たに銀メダルを手にしたのです」(前出・スポーツライター)

坂本花織が金メダル、樋口新葉が銅メダル、日本女子フィギュアスケート史上初のダブル表彰台という可能性もゼロではない状況。ただ、日の丸も君が代もない表彰式では寂しそうだが――。

  • 写真共同

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