プーチンと親しいはずなのに…山下泰裕氏「掌返しの強烈な違和感」 | FRIDAYデジタル

プーチンと親しいはずなのに…山下泰裕氏「掌返しの強烈な違和感」

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肩を並べてプーチンと歩く山下氏(16年)

ウクライナに侵攻したロシアのウラジミール・プーチン大統領(69)と親交のある1984年ロサンゼルス五輪柔道無差別級金メダリストで、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(64)は、国際オリンピック委員会(IOC)がロシアとベラルーシの選手、役員を国際大会から除外するよう勧告したのを全面的に支持すると表明した。

国際柔道連盟(IJF)から名誉会長職と名誉九段を停止・剥奪されたプーチン大統領との個人的関係については「皆さんが思っておられるほど親しいわけではない。ロシアでは、そう錯覚している人が多いですけど」と懇意であることを否定した。

国士舘大非常勤講師でスポーツライターの津田俊樹氏は「もともとスポーツ界のリーダーとして期待していませんでしたが、手のひら返しの発言に呆れました」と、山下氏の言葉が虚しく響いたと明かす。

この抱擁はさすがに親しくなければ…?

「ロシアでは錯覚」というのは意味不明だが、日本では多くの人が二人の親密さを窺い知る場面に接してきた。山下氏は軍事行動に打って出て世界的な非難を浴びる強権的な人物と距離を置きたい気持ちがあるようだが、過去におきた事が2人の関係の真実を物語る。

柔道家でもあるプーチン氏は来日すると、必ずと言っていいほど東京・文京区にある「柔道の総本山」といわれる講道館を訪れる。報道資料などによるとプーチン氏は「(講道館は)第二の故郷だ」と一礼し、名誉六段の紅白帯を贈られた際には「今の自分は、この帯を絞める力量、境地に達していない」と謙虚な姿勢をみせて、日本人の胸に飛び込んでみせたという。

さらに、ここぞとばかりに決めゼリフを口にする。「私は柔道家だから、この紅白帯の価値を知っている。帰国後、一日も早く絞められるように研鑽、精進を重ねる」と畳みかけて、「柔道への敬愛」を口にしたのだ。このプーチン氏の言葉にシンパシーを感じた関係者も少なくなかった。

決めゼリフを吐いたプーチン氏のすぐ横で案内役を務めていたのが山下会長である。2014年には「ロシア友好勲章」、2019年には「ロシア名誉勲章」を授与され、プーチン氏から「日本人の中で最も尊敬できる」とまで持ち上げられた。津田氏は続ける。

「プーチン大統領は日本人の心に分け入るために次から次へと手を打ってきた。繰り返されるリップサービスと勲章に山下会長は舞い上がっていたことでしょう。この機に及んで『皆さんが思っておられるほど親しくない』と言っても白々しく聞こえるだけです。『いや、プーチン大統領を誤解している』と擁護するほうが、まだ筋が通るのでは」

プーチン氏がウクライナへの侵攻をすすめた今、決めゼリフを吐き、日本柔道界の象徴的な人物の一人である山下氏を掴んでいた時点で、日本での情報網を広げようとしていたプーチン氏の“一本勝ち”だったのかもしれない。

加えて、痛恨の極みは「日本柔道界の至宝」がプーチン氏に渡ってしまったことだ。

2017年9月、ウラジオストックで行われた日ロ首脳会談で安倍晋三首相(当時)はプーチン大統領に講道館の創立者、嘉納治五郎による直筆の書「精力善用」をプレゼントした。この書は1938年4月ごろ、アメリカで書かれ、講道館で大事に所蔵されてきた。

精力善用とは「何事をするにも、その目的を達するために精神力と身体の力を有効に働かす」という治五郎の教えで「自他共栄」とともに柔道の根本原則である。

「もはや返してくれとは言えません。何度も修羅場をくぐり抜け、したたかなプーチン氏に日本の政界、スポーツ界のトップが手玉にとられてきた証ともいえるでしょう。残念というか、なんとも後味が悪い」(津田氏)

日本、日本人にとって、ロシアのウクライナ侵攻は遠いヨーロッパの戦争ではない。

2016年12月、プーチン大統領は訪日した際、講道館も訪れた。左は安倍晋三首相(当時)、右が山下泰裕氏(写真:アフロ)
2005年12月、プーチン大統領が生まれ故郷のロシア・サンクトペテルブルクで子供向けに柔道指導をしたとき。当時、東海大教授だった金メダリストの山下泰裕氏やのちに柔道日本代表監督になる井上康生選手も招かれ、指導にあたっていた(ロイター/ アフロ)
2005年12月、プーチン大統領が生まれ故郷のロシア・サンクトペテルブルクで子供向けに柔道指導をしたとき。プーチン大統領は山下泰裕氏と道着を着て稽古も行った(写真:アフロ)
  • 写真有村拓真

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