ウクライナ侵略戦争で高まる日本の「核共有」と原発再稼働の足音 | FRIDAYデジタル

ウクライナ侵略戦争で高まる日本の「核共有」と原発再稼働の足音

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岸田首相は3日夜にも会見を行い、エネルギー問題など喫緊の課題について語った。その内容は薄く、防戦一方だったものの、危機感だけは伝わっていた 写真:代表撮影/ロイター/アフロ

「日本は、核共有を議論するべきだ」

この発言に大きな衝撃が広がっている。安倍晋三元首相のテレビ番組での発言だ。ロシアのウクライナ侵攻を受け、アメリカ核兵器を日本国内配備とする、「核共有(ニュークリア・シェアリング)」を「提案」したように受け取れる。

「核拡散防止条約(NPT)に加盟している日本がこれをやれば条約破りです。

なにより、世界唯一の被爆国である我が国には、佐藤栄作元首相が唱えた『非核三原則』がある。この安倍元首相の発言は、けっして『うっかり』や『軽率』ではありません。岸田政権を揺さぶり、憲法改正を促そうとする、確信犯的発言なんです」(官邸スタッフ)

広島が地元の首相が…

核共有は、ベルギー、ドイツ、イタリアで採用されているが、いずれも核拡散防止条約発効前のことである。

「条約締結後に核共有を採用するなんてありえない。核共有を、私の政権で許すわけがない!」

官邸執務室で岸田文雄首相は、こう言って怒りを露わにしたという。しかし安倍元首相はさらにこうも言って岸田首相を揺さぶった。

「ウクライナ情勢の最中に北朝鮮が弾道ミサイルを発射するこことは予想できたのではないか」

このような状況で「核共有はもはや避けて通れない喫緊の国防問題」と、乱暴な言いがかりなのである。

「岸田首相に核のボタンを押させるつもりなのか。あまりに身勝手で無責任な発言に憤りがこみ上げる」(岸田派幹部)

生活を直撃するエネルギー問題

ロシアのウクライナ侵攻が、日本では「核兵器使用」という飛躍した政治論議を招くことになった。遠い欧州の戦争だが、日本国民の生活にも波紋は広がっている。エネルギー問題である。

ロシアへの抗議表明としてドイツは、天然ガスパイプライン「ノード・ストリーム2」の承認手続きを停止してロシア産天然ガス取引を拒否した。ロシアからのエネルギー輸入は、EU全体で40%、ドイツでは60%に達している。

石油・ガス開発事業「サハリン2」には三井物産と三菱商事が出資し、液化天然ガスを生産している。

「すでにサハリン1ではエクソンモービル社が撤退を表明し、三菱、三井も引き上げる事になるでしょう。代替エネルギーはEU、日本とも、今後はアメリカ、カタールなどから手当てすることになるのですが、この結果、日本のガス料金が3050%高くなるのは避けられない見込みです」(経産省キャリア)

原発全廃を宣言したドイツは今年、稼働中の残る3基を停止する予定だったが、ウクライナ戦争の長期化によって議論が再燃。「日本国内でも、原発再稼働論議は避けて通れなくなるだろう」とエネルギー業界の幹部はいう。

「予想される原油や天然ガスの高騰によって、島根2号機3号機、女川原発、志賀原発の再稼働を早期に検討しなければならない状況になっています。参院選挙前に、岸田政権は原発再稼働の決断を強いられるかもしれません」(自民党エネルギー族)

岸田首相の新資本主義、クリーンエネルギー戦略は参院選挙前の6月に発表される。

ウクライナ戦争という非常事態を鑑み、経産省は電力、ガス各社に対して燃料調達費の価格転嫁をしないよう指導している。岸田首相は3日の会見で「ガソリン補助金の引き上げ」と「省エネ」を訴えた。が、長引けば「原発再稼働」を視野に入れなければならないだろう。

今、現に戦争が起きている。仮にプーチンの思惑通りウクライナにロシア傀儡政権が樹立しても、反ロシア運動によって内戦は避けられない。各国のロシアへの経済制裁が長期化する可能性は極めて高い」(他の自民党エネルギー族議員)

ロシアのウクライナ侵略戦争は、日本の核兵器使用論議に飛び火し、また、エネルギー問題を直撃している。戦争の終結はもちろんのこと、この社会混乱をもたらす危険を早急に回避しなければならない。岸田首相には、世界のリーダーたちととともに、断固とした信念と政治力、外交力を期待する。

  • 取材・文岩城周太郎写真代表撮影/ロイター/アフロ

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