裁判で分かった年商21億円売春クラブ元責任者の「ヤバイ手腕」 | FRIDAYデジタル

裁判で分かった年商21億円売春クラブ元責任者の「ヤバイ手腕」

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50人ほどの「打ち子」を使い、売春ビジネスで年間21億円もの売り上げをあげた栗木駿容疑者(撮影:蓮尾真司)

東京都内の路上で女性に売春をさせていたとして、売春防止法違反で起訴されていた派遣型売春クラブ責任者の栗木駿被告(25)に対して東京地裁は2月18日に懲役2年、執行猶予5年の判決を言い渡した(求刑懲役2年)。

警視庁のサイバーパトロールにより発覚したこの事件では、栗木被告をはじめ13名が逮捕された。渋谷や池袋など、繁華街の路上で、買春目的の客らに女性を引き合わせていたという。公判では、栗木被告が年間およそ21億円を売り上げるまでに売春クラブを拡大させた方法や、メンバーらの士気向上のための“福利厚生”ともいうべき独自の心遣いまでが明らかになった。

冒頭陳述によれば栗木被告は都内の大学を中退後、別の売春組織のメンバーに加わり、2018年に“独立”。渋谷や池袋などの各繁華街に拠点を設け、メンバーを拠点ごとにグループで分けた。拠点には“店長”が配置され、適宜、“店長会議”を実施。店長の教育も怠らなかったという。

各拠点にはSNSや出会い系サイトに女性を装って男性を誘う投稿を行う“打ち子”と呼ばれるメンバーらが“出勤”して、作業を行っていた。拠点ごとに売り上げを競わせ、その実績をもとに各メンバーに報酬を払っていたが、それとは別に、各拠点にスマホやPCを揃え、ネットワーク回線費用など、作業にかかる経費はすべて栗木被告が拠出していた。拠点捜索時には合計164台のスマホが押収されている。メンバーから見れば持ち出しが発生しない、“魅力的な”仕事だったことだろう。

そのうえ栗木被告は「メンバーらを高級クラブで慰労」(調書より)していたともいう。

「飲みに連れていくこともありました。キャバクラとか……1日100万とか使ってました」

モデルのような痩せ型高身長、銀髪の栗木被告は被告人質問でこの独自の“福利厚生”を問われ淡々と答える。さらに“打ち子”にリモートワークをさせず、各拠点に集めていた理由も明かした。

栗木(被告、以下栗木)「出勤させることで、日によって本数(仕事量)に幅がないようにしていました」
検察官「士気というか、そういう気持ちになるように?」
栗木「はい、あとは情報共有のために。打ち子の報酬は売り上げから引いて、自分の手元にはだいたい、月300万ぐらい残る……」
検察官「仕組みはどうやって作ったの?」
栗木「マニュアルを自分で考えて、それぞれの店長に教えてやらせていました」
検察官「マンションの家賃もあなたが払ってたんですね。光熱費や経費も」
栗木「はい」

また通常の企業さながらに“打ち子”には研修期間を設けていたことも語った。

栗木「研修期間の報酬の最低保証は2万5000円……最初の方は、仕事を覚えるのに時間かかるんで。それ以降は歩合にしていました」

こうして独自に編み出したルールや福利厚生により、内輪での揉め事はほぼなかったようだ。「トラブルはあったが、それは客と女の子のトラブルでした」(栗木被告)という。

違法ながらビジネススキルを発揮してきた若き元責任者は、今回の逮捕を経て、真っ当な仕事に就くことを約束した。

検察官「あなた仕事のアテはあるの?」
栗木「多少は……マーケ(マーケティング)が得意なんで、SNSとかで……」
検察官「今回と変わらない気がしますが?」
栗木「あ、広告のほうで」

裁判官「あなた今回違法な仕事してましたが、違法でない仕事したことあるの?」
栗木「アルバイトとか……」
裁判官「ちゃんとした仕事で月300万って、稼ぐの相当大変ですよ。わかりますかね?」
栗木「ハイ」

「企業の形態をとった売春グループの組織的犯行。摘発を避けながら必要に応じて拠点を変えつつ多くの利益を得てきた。拠点には整然とPCが配置され、さながら企業、オフィスのようだった。SNSで投稿を多くの人の目に留まるようにして、店回しが確実に客と女性を引き合わせる。利益を最大限に高めるシステムを構築した……」(論告より)

論告ではこのように違法なビジネスを非難しながらも、“利益を最大限に高める”など、かえって栗木被告の手腕が光ってしまう内容となっていた。弁論で弁護人は「就業の重要性を自覚した」などとして執行猶予を求めていたが、判決で西野吾一裁判官も「今後は正業に就くと誓っている」とこれを認め、栗木被告には執行猶予が付されている。

  • 取材・文高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)、『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

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