プーチンはここにいる…?反体制が暴いた「ヤバすぎる隠し宮殿」 | FRIDAYデジタル

プーチンはここにいる…?反体制が暴いた「ヤバすぎる隠し宮殿」

プーチンウォッチャー/軍事ジャーナリスト・黒井文太郎レポート

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YouTubeで公開され、世界中で再生されている「プーチン宮殿」動画
YouTubeで公開され、世界中で再生されている「プーチン宮殿」動画

<日々激化するウクライナ情勢。そんななか「プーチンは今どこにいるのか」が話題になっている。「戦時下、避難先の候補地の一つではないか」といわれているのが、反体制派によって暴かれた「プーチン御殿」だ。その壮絶なスケールと内部の様子を、黒井文太郎氏が振り返る。>

ドローン撮影により明らかになったプーチン大統領の「宮殿」。動画ではナワリヌイ氏の解説とともに、CGで可視化された宮殿内部の様子が見られる。1時間52分の「大作」は世界中で8600万回再生されている
ドローン撮影により明らかになったプーチン大統領の「宮殿」。動画ではナワリヌイ氏の解説とともに、CGで可視化された宮殿内部の様子が見られる。1時間52分の「大作」は世界中で8600万回再生されている

2020年8月にロシア連邦保安庁(FSB)によって毒殺されかけ、ドイツで治療を受けていたロシア人反体制活動家のアレクセイ・ナワリヌイ氏。翌年1月17日、彼は大胆にも母国ロシアに帰国し。到着した空港で、即逮捕された。

これに対し、彼の釈放を求めるデモが1月23日、ロシア各地で開催された。デモは100都市以上で行われ、プーチン政権当局はこれを「未許可の不法集会」と断じ、弾圧した。集会に先立って当局は、ナワリヌイ派の活動家たちを事前に逮捕しており、デモ当日も警官隊を各地に展開させたが、人々はそれでも氷点下の街頭に繰り出し、ナワリヌイ支持を叫んだ。

山手線の内側より広い「大邸宅」の存在が発覚

このとき反プーチン・デモがこれだけ盛り上がったのは、2021年の1月19日、ナワリヌイ氏のグループが、黒海に面した保養地にあるプーチン大統領の「秘密の宮殿」を暴露した影響もある。

総費用1400億円の大邸宅は、敷地が山手線の内側より広い7800ヘクタールもあり、屋内スケート場やカジノ、劇場もある。トイレ洗浄用のブラシが1個で約9万円もするとも紹介された。

壮大な宮殿だが、当然ながら資金の出所が問題だ。プーチン大統領の側近およびその親族が出したことになっているが、要は大統領という地位を利用しての不正蓄財だ。

プーチン政権は、反対派を弾圧するきわめて独裁色の強い体制だが、その基盤は制度的には独裁体制・権威主義体制ではなく、民主的な選挙制度にある。プーチン政権は、ナワリヌイ氏の大統領選出馬を妨害するなどもしているが、大統領も議員も国民の普通選挙で選ばれている。プーチン大統領を支持してきたロシア国民は少なくないのだ。

プーチンが冷戦時代に勤務していた旧KGBドレスデン支局(ドイツ)。黒井氏が取材した2018年には医療関係会社の事務所になっていた 撮影:黒井文太郎
プーチンが冷戦時代に勤務していた旧KGBドレスデン支局(ドイツ)。黒井氏が取材した2018年には医療関係会社の事務所になっていた 撮影:黒井文太郎

報道、ネット情報を徹底的にコントロール

プーチン氏は大統領に就任するとすかさず、情報機関の仲間と協力して、新興財閥の追放に乗り出す。最初に標的となったのがメディア王と呼ばれたウラジーミル・グシンスキー氏で、2000年6月に逮捕された。プーチン政権はそれにより3大テレビ・ネットワークをはじめ、有力メディアを支配。以後、国内報道をコントロールした。プーチン政権に批判的なメディア職員・経営者は解雇され、独立系メディアの記者はときに暗殺され、ときに不審死を遂げた。

その後もプーチン政権は新興財閥のほとんどを逮捕・追放したが、それはロシア国民から拍手された。エリツィン時代の最大の財閥だったボリス・ベレゾフスキー氏は2000年11月に国外脱出し、後にイギリスに亡命したが、2013年に不審死を遂げた。

こうした新興財閥追放は、実際には利権がプーチン側近に移されただけというケースも多かったが、そうしたことは国内ではほとんど報道されなかった。

プーチン政権はポピュリズム的政策で国民を“洗脳”するとともに、情報統制で国民世論を誘導している。2019年3月には、ネット上のフェイクニュース流布および、ロシア国家への不敬を犯罪とする法律まで成立させた。

それにより、プーチン政権に都合の悪い情報は、当局が「これはフェイクだ」と断定することで恣意的に排除できるようになった。また、プーチン大統領への批判や非難も、国家への不敬と見なして取り締まれることになった。完全なる統制の完成である。

こうした手法で大統領への忠誠を養成し、国の全権を握って実質的な“総統”として振る舞ってきたのがプーチン氏だ。ところが昨年のデモと隠し宮殿の公開で、大統領が権力を利用して私腹を肥やしていたことや、国民を正当な理由なく弾圧していることが、このとき、ロシア国内で露呈したのだ。

プーチンは支持率アップのためにウクライナ侵攻をしたわけではない。プーチンがどこまでも自身の強権支配を望むなら、今後、民主制度自体に手を付ける可能性も否定はできない。それはすなわち、さらなる恐怖政治ということだ――。

<黒井文太郎:1963年生まれ。軍事ジャーナリスト。モスクワ、ニューヨーク、カイロを拠点に紛争地を多数取材。ゴルバチョフ~エリツィン時代、モスクワに居住し長期取材した。軍事、インテリジェンス関連の著書多数。最新刊『超地政学で読み解く! 激動の世界情勢 タブーの地図帳』(宝島社)>

*この記事は、2021年1月26日に公開した「スクープ 反『プーチン宮殿』デモで露呈したロシア・圧政のほころび」を再構成したものです。

YouTubeで暴露された「秘密の宮殿」
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  • 取材・文黒井文太郎

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