プーチンは使用示唆…米元高官が明かしていた「核戦争の戦慄危機」 | FRIDAYデジタル

プーチンは使用示唆…米元高官が明かしていた「核戦争の戦慄危機」

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精神面の不安定さが指摘されるプーチン大統領。偶発的な核戦争はいつでも起きうる(画像:ロイター/アフロ)
精神面の不安定さが指摘されるプーチン大統領。偶発的な核戦争はいつでも起きうる(画像:ロイター/アフロ)

18年1月13日、ハワイは美しい日の出とともに土曜日の朝を迎えた。だが午前8時7分、のどかな雰囲気は一変。ハワイ緊急事態管理庁が、100万人以上の住民に対し恐ろしいニュースを放送したのだ。

「弾道ミサイルの脅威が、ハワイに迫っています! 近くのシェルターを探してください。訓練ではありません!」

ーーこれは、20年7月に出版された『核のボタン 新たな核開発競争とトルーマンからトランプまでの大統領権力』(朝日新聞出版)に記された実話だ。著者はクリントン政権などで国防長官を務めた「米国4賢人」の一人ウィリアム・ペリーと、防衛問題に詳しい政策ディレクターのトム・コリーナ。同書では、当時のハワイの住民たちの狼狽ぶりを次のように描いている。

〈人々は恐怖と混乱でパニックになった。親たちはマンホールのふたを開け、泣き叫ぶ子どもたちを守ろうと下水管に押し込んだ。(中略)ミサイルが着弾するまでどれくらいかかるのか? どこに着弾するのか? 核弾頭を搭載しているのか? だれにも分からなかった〉

戦慄の三つの不安要素

結局、ミサイルによる核攻撃はなかった。ハワイの人々を戦慄させた放送は、緊急事態管理庁による誤警報だったのだ。だが同書は、人間の常である小さなミスが核戦争を誘発すると指摘。実際に破滅的な事態に発展しかねないと、こう警鐘を鳴らしている。

〈大統領も誤警報を受けて核による報復をすることになったかもしれない。(中略)米国もロシアも意図的に核戦争を始めるつもりはなくても、先制攻撃や、奇襲攻撃に迅速に報復するという発射オプションを双方が持っている。

だが、迅速なオプションは、解決するよりも問題を生み出す。今日の脅威は、ロシアが米国を意図的に攻撃することではなく、ハワイで起きたように間違いや誤警報で核戦争が始まることである〉

核攻撃の決定は、大統領の専権事項だ。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナに対し核ミサイルの使用を示唆。プーチン氏の耳に攻撃を仕向けさせる誤った情報が入れば、いつでも「核のボタン」が押される可能性はある。同書は、三つの不安要素をあげている。

〈第一に、不十分な情報で大統領が動いてしまえば大惨事につながるだろう。10分かそれ以内に発射するかどうかを決めなくてはならないため、情報を十分に精査できない。(中略)第二に、大統領が情緒不安定だったり、薬や酒の影響を受けていたりしたら、いつでも衝動的に核戦争を起こしてしまう。第三に、誤警報やサイバー攻撃などの技術的誤算による情報によって、大統領が核兵器を発射してしまう〉

米国での誤警報は、冒頭で紹介したハワイの一件だけではない。80年6月3日にも、緊迫した事態が起きていた。引用を続ける。

〈真夜中の午前2時30分、国家安全保障担当大統領補佐官ズビグネフ・ブレジンスキーは軍事顧問のウィリアム・オドムからの電話を受け、ソ連の潜水艦が220発のミサイルを米国に向けて発射したと伝えられた。ソ連はアフガニスタンへ侵攻したばかりであり、実際に攻撃があってもおかしくなかった。(中略)

ブレジンスキーが何をしようと、米国は全滅だろう。彼は妻を起こさないと決めた。30分以内に、みんな死んでしまうだろう〉

この時も、別の警報システムがミサイル攻撃を探知していないと報告。警報が誤りだったことが判明した。だが大統領補佐官が一刻を争って、核ミサイル発射の権利を持つ当時のカーター大統領に報告していたら……。

人間が常に正しい判断をし、防衛システムが絶対に誤作動しないという保障などない。たった一つの誤った情報により、人類は滅亡に危機にさらされるかもしれないのだ。

  • 写真ロイター/アフロ

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