日本に入国した「避難民のその後」の残酷すぎる実態 | FRIDAYデジタル

日本に入国した「避難民のその後」の残酷すぎる実態

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認定率0.5%の難民申請を繰り返しながら「仮放免」状態で生活する人たち

2月24日から始まったロシア軍による侵攻で、3月3日まででウクライナに住む100万人が国境を超えて避難し、8日にはその数は200万人に達し、日々増えている。

ウクライナの人口は4413万人(2020年)。国民の約20人に1人が既に避難していることになる。多くは隣国のポーランドへ逃げるが、すでに日本へも親族や知人のいる人を中心に8人が「避難民」として入国。松野博一官房長官は8日の会見で、避難民のビザ(査証)申請手続きを簡略化し、90日間の短期ビザの発給を開始したことを発表した。

日本に入国した「避難民」は、その後どうなるのか?  ウクライナの戦闘激化で難民は増加の一途だ(写真はイメージ:アフロ)

そうした避難民の人たちには90日間のビザが切れた後、就労が可能となる「特定活動」と分類される在留資格(6~12カ月間)を認め、情勢が改善されるまで更新を続ける予定だという。しかし、その後はどうするのか? その人たちが難民申請をしたら? 実は問題が山積みだ。

最近では度々報道がされ、多くの人が知るところであろうが、日本は難民申請をほとんど認めてきていない。1982年に難民認定制度が始まってから、85,479人の申請者に対して認定者はわずか841人(2021年)。0.5%の認定率だ。ウクライナ避難民をどうしていくか? を問われても政府は「適切に認定する」としか答えておらず、先行きが見通せていない。

そうした難民申請をしながら認定されず、故郷の国の情勢が安定しないことなどで帰国できない人はどうなるのか? 悪名高い「出入国在留管理庁」の施設に収容され、その後は難民申請を繰り返しながら、「仮放免」という名目で、日本で生活をすることになる。しかし、この仮放免の制度があまりに酷いのだ。

厚生労働省で行われた「外国人仮放免者 生活実態調査報告」の記者会見。日本で初めてのデータ調査の結果、その生活実態が明らかになった(撮影:Yuki Kuroyanagi)
コロナ禍でさらに生活困窮の状態に(北関東医療相談会の調査から)

生きていけない状態…

現在、国内には仮放免者が5781人いる(2020年末)。この人たちは、働くことが許されず、生活保護は受けられず、国民健康保険などの社会保障も一切使えない。では、どうやって生きていくのか?

「ひとことで言えば、生きていけない状態です」

9日に厚生労働省で行われた「外国人仮放免者 生活実態調査報告」の記者会見で、仮放免者たちの支援を行う北関東医療相談会の大澤優真さんはいささか怒った調子でそう強く言った。

「仮放免者は働くことが認められていません。賃金を得ることがまったくできないんですね。 

代わりに社会保障があるかというと一切なく、病院に行けば全額自己負担になります。当然、払えないのでみなさん我慢を重ね、重症化して緊急搬送されたり、亡くなることもある。受け入れた病院側にも未収金が派生します。 

家賃も払えずホームレスになっても、生活保護も受けられませんから、その状態に押しとどめられています」(大澤さん)

実際にそうやって亡くなったのが、カメルーン人女性のマイさん、42歳。

パートナーからのDVなどで親族を頼って来日する間に故郷の情勢が不安定に。帰国がままならない中でオーバーステイが発覚して入管施設にいったん収容される。仮放免されたが、乳がんが全身に転移。まともな治療を受けられないままホームレスになり、友人宅などを点々とし、最後は支援を受けて入院したが、2021年1月に亡くなった。皮肉なことに亡くなった同じ日、彼女の在留資格を認める在留カードが届いた。

同様に仮放免中の女性が卵巣がんになり、資金難で手術が受けられず、支援者たちが寄付を募って治療を受け、一命をとりとめた例もある。

「酷いのはインバウンドを利用しようと診療報酬を300%に引き上げ、仮放免者にも必ずそれを適用しようとするんですね。しかもそれが、国立系の病院で起きています。地域に住む貧しい人を助けようとする態度が見えない。信じがたいことです。人を死なせる制度をそのままにしてはいけません」(北関東医療相談会・長澤正隆さん)

日本人の3倍の医療費を仮放免の外国人からむしり取る? 開いた口がふさがらないが、困ることは病気だけではない。

ミャンマーで迫害を受け、2006年に来日したロヒンギャ族の男性ミョーチョーチョーさん「働けなくてお金がないから、お父さんに治療費を送ってあげられなかった」(撮影:Yuki Kuroyanagi)

色んな人にお願いします、お願いしますと頭を下げて、助けてもらって、今この場にいます…

「生活費をあげるからと、性的関係を要求され続けている仮放免の女性たちもいます。これは奴隷と言ってもいいんじゃないか?と思います。子どもがいても働けず、学校から未払いの給食費を請求され続けた東南アジア出身の母子家庭もあります」(大澤さん)

会見にはミャンマーで迫害を受け、2006年に来日した、ロヒンギャ族の男性ミョーチョーチョーさんも同席した。これまで3度の難民申請をしてきたがいまだ認められていないミョーさんは、仮放免のまま日本に暮らす。

「今までどうやって生きてきたの? と言われたら、色んな人にお願いします、お願いしますと頭を下げて、助けてもらって、今この場にいます。 

仮放免をもらってる人たち、ほんとに何もできません。日本に助けを求めて来ました。平和で安全な国の中で、自分らしく頑張って生きたいです」(ミョーさん)

ミョーさんの父親は、やはりミャンマーからバングラデシュに避難。しかし先月、病気のために亡くなったという。「働けなくてお金がないから、お父さんに治療費を送ってあげられなかった」と泣くミョーさんに、会見場では涙を流す記者もいた。

さらにもう一人、会見には名前も出身地も明かせない仮放免中の男性も出席した。この数日前に駅の階段で転び、歩くこともままならなず、周りにいた人たちに「救急車を呼びましょうか?」と聞かれたが、お金が払えないからと止めてもらったと話した。そして、

「電気、ガス、水道、ご飯、ぜんぶ、ぜんぶ、大変なこと。難民申請、3回して、ぜんぶ、ダメ。たいへん、たいへん。助けてください」(男性) 

そう、切々と訴えた。仮放免の人たちは、こうやって必死に日本語も覚え、日本の社会で生きていこうとしている。

ビザのない不法滞在者は国に帰れ!と簡単に言う人がいる。でも、ウクライナの状況を見てみればいい。彼女、彼らにも、同じように言えるだろうか? 状況の程度は違えど、帰れない理由がある人たちなのだ。反政府運動などをしたことで、すでに家族のほとんどが故郷で殺されている人もいる。

「いちばん大事なのは、就労許可を出すことです。現在いる仮放免者の87%は働ける年代(20代~50代)だと、今回の生活実態調査で分かりました。 

働ければ、どうにかなります。仮放免者の命と生活を維持するために、就労許可を出すことが最も効果的で合理的な方法です。 

昨年からは一部のミャンマー人に対しては半年間の『特定活動』のビザを発給しています(注・今回ウクライナの人たちに対しても出すことが予定されているもの)」(大澤さん)

就労許可を出すことは「特定活動」という制度を使えば、何も法律を変える必要もない。すぐにやれることであり、即、やって欲しいという。

「働けないことで大変なことは、精神的な面も大きいです。働けるはずの人たちが頭を下げて下げて、家賃ください、食べ物くださいと言いながら生きることは、当然ながらメンタルがやられます」(大澤さん)

日本は労働力人口が2020年から減少に転じている。人口減少と急速な高齢化から、益々働く人は減る。頼みは外国人労働者だが、2030年には63万人が不足するとみられている(JICAの研究所の調べ)。

働きたいと言ってくれている外国の方々がいるなら、働いていただくことは、私たちの暮らしを支える。そもそも外国人排斥の姿勢を貫いていたら、今後日本に働きに来てくれる外国人はますます減り、2030年を待たずとも深刻な状況になる。

仮放免者たちへのひどい扱いは彼らの尊厳を傷つける人権問題であり、また私たちの暮らしの問題でもある。真剣に考えていきたい。

■NPO法人「北関東医療相談会(AMIGOS)」のHPはコチラ

  • 取材・文和田靜香

    相撲&音楽ライター。庶民目線で政治の世界にぶちかました「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。」、「選挙活動、ビラ配りからやってみた。『香川1区』密着日記」(共に左右社)が話題に。最近の関心は女性の政治参画で、鋭意調査中。

  • 撮影Yuki Kuroyanagi

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