プーチンは正気か…トランプ政権でもあった「核戦争の戦慄危機」 | FRIDAYデジタル

プーチンは正気か…トランプ政権でもあった「核戦争の戦慄危機」

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現在も全米各地で集会を開き政権返り咲きを狙うトランプ氏(画像:ロイター/アフロ)
現在も全米各地で集会を開き政権返り咲きを狙うトランプ氏(画像:ロイター/アフロ)

ロシアのプーチン大統領がウクライナへの使用を示唆し、人類が核戦争に巻き込まれる可能性が高まっている。

悪夢が現実となる危機は、これまでにも度々あった。韓国と北朝鮮のバックについた米国と中国が、極度の緊張状態となった朝鮮戦争(50年6月開始)。旧ソ連が、カリブ海に核ミサイル基地を建設したことにより起きたキューバ危機(62年10月)……。だが世界が絶望の淵に追い込まれたのは、決して50年以上前の「歴史上の事件」が起きた時だけではない。ほんの1年前にも、恐ろしい事態が勃発していたのだーー。

〈現実味を帯びていた。トランプ大統領が無法者になり、求められている手順を通さずに軍事行動や核兵器使用を命じるという暗い可能性は、理論的にありうることだった〉

昨年12月に出版された話題の書『PERIL  危機』(日本経済新聞出版)。アメリカの政権移行の前後に何が起こったかを克明に記した同書は、2021年1月に起きた「アメリカの重大異変」について記している。著者は50年にわたり米紙『ワシントン・ポスト』で記者をつとめ、ニクソン大統領の辞任のキッカケとなったウォーターゲート事件(72年6月から74年8月)をスクープしたボブ・ウッドワード氏と、85年10月生まれの若き政治記者ロバート・コスタ氏だ。

両氏は、20年11月の米国大統領選でバイデン氏に負けたことで、トランプ氏は心身ともに窮地に追い込まれていたと指摘。こう綴っている。

〈トランプがいつも衝動的で予測できないのを、(総合参謀本部議長マーク・)ミリーは間近で目にしていた。選挙の余波でトランプが精神的にかなり参っていることが、事態をさらに悪化させているとミリーは思っていた。いまのトランプはまったく常軌を逸していて、高官たちをどなり散らし、つぎつぎと現れる選挙関連の陰謀理論について自分自身のパラレルワールドを打ち立てていた〉

酒に頼ったニクソン氏との共通点

こうしたトランプ氏の情緒不安に強い警戒心を抱いていたのが中国だ。トランプ氏は、中国を敵視し常に激しく批判していたからである。同書からの引用を続ける。

〈たえず中国を攻撃し、新型コロナウイルスのことで非難した。「このいかれたチャイナウイルスを打倒する」と(20年)10月11日のFOXニュースでいった。政治と軍事行動が開始される可能性とは別物だということを中国は知らないのかもしれないと、(前出の)ミリーは思った〉

核攻撃の決定は、米国大統領の専権だ。飲酒や薬、精神状態の不安などで、大統領が衝動的に「核のボタン」を押し、取り返しのつかない事態になることは十分ありうる。同書で指摘されたのは、トランプ氏と、同じく政権末期に正常な判断ができなくなっていたと言われるニクソン氏の共通点だ。

〈ニクソンとトランプは恐ろしく似ていると、ミリーは思った。1974年のニクソンは、いらだちを強め、孤立して、かなり飲酒し、やけになって、当時の国務長官ヘンリー・キッシンジャーといっしょにひざまずいて祈りながら、絨毯を叩いた〉

当時の高官たちが、核兵器の使用事項を含む重大な海外交渉に、泥酔したニクソン氏を参加させなかったのは有名な話だ。同書で度々登場する参謀本部議長のミリーも、似たような決断をする。国家軍事指揮センターの幹部将校を招集し、トランプ氏から「核の専権」を取り上げようと画策したのだ。

背筋も凍るような事態の結末は同書を読んでいただきたいが、ミリーはトランプ氏の暴走を止めることに成功。すんでのところで核戦争を回避していたことが、緊張感をともなって伝わってくる。

ひるがえってロシアでは、プーチン氏が「核のボタン」を持ち続けている。「独裁者」の衝動的行動を、阻止できる人間はいるのか。3月14日、ニューヨークの国連本部でアントニオ・グテレス事務総長は、こう警告した。

「かつて考えられなかった核戦争が、いまや起こりうる」

人類は、再び滅亡の危機に瀕しているのだろうかーー。

米大統領選が人類の危機につながっていた可能性を描く話題の書
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  • 写真ロイター/アフロ

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